- 2025年9月18日
その「みぞおちの痛み」、胆石かもしれません|症状・検査・治療法を解説(明石市・たなか内科クリニック)

こんにちは。
JR大久保駅北口すぐの、たなか内科クリニックです。
「最近、脂っこい食事をした後に、みぞおちのあたりがキューっと痛むことがある」
「お腹の上の方が張って、吐き気を感じる時がある」
このような原因のわからない腹痛に悩まれてはいないでしょうか。もしかすると、その症状は「胆石」が原因かもしれません。
胆石は、日本人の10人に1人が持っているとも言われるほど身近な病気ですが、症状が出ないことも多いため、気づかずに過ごしている方も少なくありません。
今回は、「胆石症」をテーマに、どのような症状が起きるのか、どうやって検査し、治療するのかについて、お伝えいたします。
そもそも「胆のう」と「胆石」って何?
まずは痛みの原因を知るために、基本からご説明します。
胆のう(たんのう)とは?

肝臓の下にくっついている、西洋梨のような形をした袋状の臓器です。肝臓が作る「胆汁(たんじゅう)」という消化液を一時的に溜めて、濃縮する「保管庫」の役割をしています。
胆汁(たんじゅう)とは?

主に脂肪の消化を助ける液体です。食事をすると、胆のうが収縮して胆汁を十二指腸に送り出します。
胆石(たんせき)とは?

この胆汁の成分(主にコレステロール)が、何らかの原因で固まって結晶化した「石」のことです。その多くは胆のうの中で作られます。食生活の欧米化に伴い、胆石を持つ人は年々増加しています。
胆石の症状と、見逃してはいけない「危険なサイン」
「石がある」と聞くと、常に痛むのではと心配になりますよね。しかし、胆石を持っている人の半分以上は、生涯何も症状が出ない「無症状胆石」です。
では、どのような時に症状が出るのでしょうか。
典型的な「胆石発作」の症状
食事が引き金となり、胆のうが収縮した際に、石が動いて胆のうの出口を塞いでしまうことで痛みが起こります。
痛み

食後30分~数時間後に起こる、みぞおち(心窩部)から右上腹部にかけての激しい痛み(疝痛発作)。背中や右肩に痛みが響くこともあります。
その他の症状

吐き気や嘔吐、お腹の張り。
【要注意】すぐに受診が必要な危険なサイン

痛みに加えて、以下のような症状がある場合は、状態が悪化している可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。
激しい痛みが続き、発熱を伴う場合 → 急性胆のう炎

胆のうの出口が完全に塞がれ、細菌感染を起こしている状態です。入院治療が必要になることがあります。
発熱や黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)を伴う場合 → 総胆管結石・急性胆管炎

胆のうから転がり落ちた石が、胆汁の通り道である「総胆管」を塞いでいる可能性があります。重症化すると急性膵炎などを引き起こす危険な状態で、緊急の処置が必要です。
健康診断で見つかるもう一つの病気「胆のうポリープ」

腹部エコー検査では、胆石とあわせて「胆のうポリープ」が見つかることも少なくありません。その多くは、コレステロールが固まってできた良性のポリープで、がん化することはありません。しかし、ごく一部に悪性のポリープ(胆のうがん)が隠れている可能性もあります。ポリープの大きさや形、増大傾向などを定期的にエコー検査でチェックしていくことが重要です。
当院での診断の流れ

「胆石かもしれない」とご来院された場合、当院では以下のような流れで診断を進めていきます。
- 問診: 症状の種類、痛みが出るタイミング、食生活などを詳しくお伺いします。
- 腹部超音波(エコー)検査: 胆石の診断に最も有効な検査です。痛みもなく、その場で胆のうの中にある石の有無、大きさ、胆のう壁の状態やポリープの有無などを詳細に観察できます。
- 血液検査: 炎症反応や、肝臓・胆道系の数値に異常がないかを調べます。胆管が詰まっている場合などに数値が上昇します。
これらの検査で、ほとんどの場合診断がつきます。より精密な検査(CTやMRI)が必要と判断した場合は、速やかに地域の連携病院をご紹介いたしますのでご安心ください。
胆石の治療方針はどう決まる?
胆石の治療は、症状の有無や石のある場所によって大きく異なります。
1. 症状のない「無症状胆石」の場合
基本的には、すぐに治療を開始する必要はなく、定期的な経過観察を行います。ただし、やみくもに放置するのではなく、脂肪分の多い食事を避ける、バランスの良い食事を心がけるといった生活習慣の改善が大切です。
2. 症状のある「胆石発作」を繰り返す場合
生活に支障をきたすような痛みを繰り返す場合は、治療の対象となります。
- 胆のうの中にある石が原因の場合
根治的な治療は、胆のうを摘出する手術が第一選択です。現在では、お腹に小さな穴を数カ所開けるだけの「腹腔鏡下手術」が主流で、体への負担が少なく、入院期間も短いのが特徴です。
- 胆管に石が詰まっている「総胆管結石」の場合
こちらは手術ではなく、内視鏡(胃カメラ)を用いた治療が主流になっています。口から特殊な内視鏡を入れ、胆管の出口を少しだけ広げ、バスケットのような器具で石を取り出す治療です。これにより、お腹を切らずに治療することが可能になりました。
3. 胆のうポリープの場合
多くは経過観察となりますが、サイズが大きい(10mm以上が目安)、形が悪い、増大傾向があるなど、がんが疑われる場合には手術による胆のう摘出を検討します。
不安な方は、まずはお気軽にご相談ください

胆石について、ご理解いただけましたでしょうか。
大切なのは、「胆石=即手術」ではないこと、そして気になる症状があれば自己判断で放置せず、一度は医療機関に相談することです。
当院では、腹部エコー検査による的確な診断から、治療が必要な場合の適切な医療機関へのご紹介まで、責任を持ってサポートいたします。みぞおちの痛みや食後の腹痛でお悩みの方、あるいは健康診断で胆石を指摘された方は、JR大久保駅北口すぐの、たなか内科クリニックまで、どうぞお気軽にご相談ください。
※胆石は大きく分けると、胆のう内結石と総胆管結石に分かれます。
通常一般的に胆石と呼ばれるものは胆のう内結石に該当いたします。胆のう内結石で無症状の場合は定期検査継続となりますが、わずかな確率ですが胆のうがんを合併している場合もあります。胆のう炎を発症したことが無くても、必要時胆のう摘出術を受けることは可能です。(通常腹腔鏡下での手術となり、連携医療機関へ紹介します)
総胆管結石の場合は、対応が異なります。急性胆管炎を発症した場合は、ERCPと呼び専用の内視鏡を用いて胆管の検査を行い、条件が整えばその場で結石の除去を行います。
(出血や急性膵炎のリスクを伴います)、また胆管炎を発症していない、無症状の場合でも総胆管結石は治療の必要があります。胆管炎は数日で重症化のリスクもあり、急性膵炎も合併する場合もあるからです。胆管の検査については腹部エコーのみでは不十分な場合も多いので、必要時は連携施設へCTやMRIの依頼を行っております。