- 2025年11月14日
「バリウム検査は苦手…」と感じるあなたへ。苦痛の少ない胃カメラ検査をオススメします

健康診断の時期が来ると、胃の検査について考えますよね。「バリウム検査はちょっと苦手で…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
どろっとしたバリウムを飲んだり、検査台の上でぐるぐる回ったり、ゲップを我慢したりと、その大変さを想像すると、つい検査をためらってしまう気持ち、よくわかります。
でも、胃の検査はとても大切です。早期発見が、健康な生活を続けるためのカギとなります。そこで今回は、バリウム検査に代わる選択肢として、「胃カメラ(胃内視鏡検査)」について詳しくご紹介します。
特に、胃カメラに対して不安を感じている方のために、その不安を解消し、より楽に検査を受けていただくための情報をお伝えします。
「胃カメラ」は、より詳しく胃の状態を「リアルタイム」で見せてくれる

「胃カメラ」という言葉を聞くと、古い機械をイメージする方もいるかもしれませんが、現代の胃内視鏡検査は大きく進化しています。チューブの先端についた小型カメラで胃の中を直接、リアルタイムの鮮明な映像で観察できるのが特徴です。わずか数ミリの小さな病変も見つけられるほど、細部まで詳細に確認できます。
50歳を過ぎると、2年に1回のペースで胃内視鏡検査、またはバリウム検査を受けることが推奨されています。自分に合った検査方法を知ることで、検査へのハードルを下げ、安心して健康管理ができるようになりますよ。
胃カメラ検査にまつわる3つの不安、これなら解消できます!

初めて胃カメラ検査を受ける方や、過去に辛い経験をした方にとって、胃カメラにはいくつかの不安があるかもしれません。未経験者の方々が「胃内視鏡検査を受ける際に不安なこと」として挙げた上位3つは以下の通りです。
- 内視鏡が喉を通るのが苦しいのではないか?
- 検査中に嘔吐反射(えずくこと)が起こってつらいのではないか?
- バリウム検査とどちらが自分に適しているか分からない
これらの不安について、詳しく見ていきましょう。
1位・2位の不安:「喉を通る苦しさ」「嘔吐反射(えずき)」への対策

胃の粘膜は痛みを感じにくいのですが、喉に異物が入る際の「異物感」や、反射的に起こる「えずき(嘔吐反射)」は、多くの方が心配される点です。しかし、これらにはいくつかの軽減策があります。
- 極細スコープの選択肢:一般的に使用される内視鏡の直径は8~9mmですが、最近では5~6mmと非常に細く柔らかいスコープも登場しています。細いスコープは身体への負担を軽減する可能性があるので、不安が強い場合は医師に相談してみましょう。
- 「体勢」と「唾液の出し方」:検査中に肩や首の力を抜いてゆっくり息を吐き、全身の力を抜いておしりを後ろに引く姿勢をとると、えずきが起こりにくくなります。また、唾液は飲み込まず、顔の下に敷かれたペーパータオルにそのまま流すようにすると、えずきや咳込みの予防につながります。
- 「口」が苦手なら「鼻」から挿入:口からの挿入に抵抗がある方には、鼻から細いスコープを挿入する経鼻内視鏡検査という選択肢もあります。経鼻内視鏡は、スコープが喉の付け根を通らないため、嘔吐感が少なく、検査中に会話もできるというメリットがあります。ただし、鼻腔が狭い場合は挿入が難しかったり、痛みや鼻出血を伴う可能性もありますので、医師と相談して決めましょう。

- 麻酔や鎮静剤で不安を和らげる:検査前には、喉または鼻に局所麻酔を行います。さらに、嘔吐反射が強い方や不安が大きい方、検査時間が長くなる場合には、鎮静剤(点滴の麻酔)を使用することも可能です。鎮静剤を使うと、ウトウトと眠っているような状態で検査が終わるため、「いつの間にか終わっていた」と感じる方も多く、検査の苦痛や不安を大幅に軽減できます。当院でも、患者さんの状態やご希望に合わせて鎮静剤の使用を提案していますので、ご相談ください。
3位の不安:X線バリウムと内視鏡検査、どちらが自分に合っているの?

どちらも胃の検査ですが、方法や得意なこと、費用などが異なります。
| 項目 | 胃部X線検査(バリウム検査) | 胃内視鏡検査 |
| 特徴 | ・バリウムを飲んで、胃の外側からX線で撮影し、陰影を観察 ・胃全体の変形をとらえるのに適している ・比較的費用が安い傾向 | ・小型カメラで胃の中を直接、リアルタイム映像で観察 ・凹凸のない平坦な病変や、色の変化を詳細に観察できる ・検査中に疑わしい部位が見つかれば、その場で組織採取(生検)が可能 ・バリウム検査より高い診断精度が期待できる |
| 得意なこと | 胃全体の形の変化を大まかに捉える | 胃粘膜の色やわずかな変化、小さな病変を見つけるのに優れている(特に早期がんの発見) |
| 苦痛 | バリウムの味、ゲップ我慢、体位変換、検査後のバリウム排出 | 喉の異物感、嘔吐反射(軽減策あり) |
| 被ばく | 放射線被ばくがある | 放射線被ばくはない |
| 検査時間 | 約5分 | 5~10分 |
費用面ではバリウム検査の方が安い傾向にありますが、診断の正確性や詳細さ、生検の可否を考えると、胃カメラ検査がより優れていると言えます。特に、「初期の胃がん」や「ごく小さなびらん、色合いの変化」を発見するには、胃内視鏡検査が非常に有効です。最近では、自治体や健康保険組合でも、胃内視鏡検査とX線検査から選択できる場合が増えています。
「胃カメラ検査に求めること」から見えてくる、安心のポイント

鎮静剤の使用はご相談ください
ウトウトと眠っている間に検査が終わるため、苦痛が大幅に軽減されます。ただし、鎮静剤の効果が切れるまで時間がかかるため、お車や自転車でのご来院はできませんのでご注意ください。
検査の流れを丁寧に説明
検査前日から当日、そして検査後の流れまで、事前に詳しくご説明します。ご不明な点は、いつでもご質問ください。
・検査前日:夕食は午後9時までに軽めに済ませ、それ以降の食事や喫煙は控えてください。水は飲んでいただいて大丈夫です。常用薬を服用されている方は、事前に医師にご相談ください。
・検査当日:食事や喫煙はできません。ご来院後、胃をきれいにする薬剤を服用し、局所麻酔を行います。検査は5~15分程度で完了します。
・検査後:鎮静剤を使用した場合は1時間ほど安静にしていただき、落ち着いたら医師から検査結果をご説明します。
まとめ

胃のバリウム検査に苦手意識がある方も、胃カメラ検査には多くのメリットがあり、そして苦痛を軽減するための様々な工夫があることをご理解いただけたでしょうか。 当院では、患者様一人ひとりの不安に寄り添い、できるだけ安心して、そして楽に胃カメラ検査を受けていただけるよう努めています。ご自身の健康のためにも、ぜひ一度、胃カメラ検査をご検討ください。ご不明な点やご不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。