- 2025年4月23日
その胃の不調はただの胃炎じゃないかも!?胃がんの初期症状とは

「最近、胃がキリキリ痛む…」
「食後でもないのに胸やけがする…」
そんな胃の不調、もしかしたら「いつもの胃炎かな?」「ストレスかな?」と、つい様子を見てしまっていませんか?
日本人に多いがんの一つである胃がん。最新の統計(※)では、がんの罹患数(新たに診断される人の数)で男性第3位、女性第4位と、決して他人事ではない病気です。
(※出典:国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計)
胃の不調を感じると、「もしかして胃がん?」と不安になる方も多いでしょう。しかし、胃がんの怖いところは、初期段階では特有の自覚症状がほとんどないことが多い点です。
この記事では、胃がんの初期症状として考えられるサイン、なぜ気づきにくいのか、そして最も重要な早期発見の方法について、これまでの情報をまとめて解説します。
胃がんの初期症状に「これ」というものはない?

多くの情報源が指摘するように、胃がんには「これがあれば胃がんだ!」と断定できるような特有の初期症状は、残念ながらありません。
なぜなら、胃がんで見られることがある症状の多くは、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎といった、より一般的な胃の病気でもよく見られるものだからです。
「最近食べ過ぎたかな?」
「ちょっと疲れているだけかも」
このように、日常的な不調と区別がつきにくいため、発見が遅れてしまうケースが少なくありません。特に、胃壁の中で硬く広がっていくタイプの「スキルス胃がん」は、進行していても症状が出にくいことがあります。
注意したい胃の不調サイン(胃がん”かもしれない”症状)

特有の症状はないものの、以下のような症状が続く場合や、気になる場合は、胃がんの可能性もゼロではありません。あくまでも「可能性の一つ」として、注意しておきたいサインを挙げます。
- 胃(みぞおち)の痛み・不快感・違和感: シクシク、キリキリする痛み、おなかの張り、重苦しさなど。
- 胸やけ・吐き気・胃もたれ: 胃酸が逆流するような感覚、むかつき、げっぷ。(ただし、げっぷは進行してから出やすいという指摘もあります)
- 食欲不振: なんとなく食欲がない状態が続く。
- 体重減少: 食欲不振に伴うものや、がん自体が原因で体重が減ることも。(特に理由なく体重が減る場合は注意)
- 黒色便(タール便): 便が黒っぽくなる。がんからの出血が胃酸と混ざることで起こります。(貧血治療の鉄剤を飲んでいる場合を除く)
- 食べ物が飲み込みづらい・つかえる感じ: 進行した場合に見られることがあります。
【重要】これらの症状は胃がんを断定するものではありません!
繰り返しになりますが、これらの症状は胃炎や胃潰瘍など他の病気でも頻繁に見られます。「症状がある=胃がん」と短絡的に考えず、不安な場合は必ず医療機関に相談してください。
なぜ症状が出ているのに様子を見てしまうのか?

胃がんのサインかもしれない症状が出ていても、
「軽い症状だから大丈夫だろう」
「胃炎や胃潰瘍と同じような症状だし…」
「胃がん特有の症状じゃないなら、きっと違うだろう」
と考えてしまいがちです。
しかし、胃がんが発見されるきっかけで最も多いのは、皮肉にも「自覚症状が出てからの受診」というデータもあります。その時点では、がんが進行しているケースも少なくありません。
こんな人は特に注意!胃がんのリスク因子

胃がんになりやすいとされる要因もわかってきています。以下に当てはまる方は、より注意が必要です。
- ピロリ菌感染: 胃がんの最大の原因とされ、胃がん患者の多くが感染していると言われています。感染していても自覚症状はありません。
- 年齢(50歳以上): 40代から増え始め、特に60代以降に急増します。
- 喫煙: 非喫煙者に比べ、胃がんリスクが約1.6倍高まるとされています。
- 塩分の多い食生活: 胃の粘膜を傷つけ、がんのリスクを高めます。
- その他: 肥満、過度のストレス、遺伝的な要因なども関連が指摘されています。
最も確実な早期発見の方法は「胃がん検診」

症状が出にくく、出ても他の病気と見分けがつきにくい胃がん。では、どうすれば早期発見できるのでしょうか?
答えは「定期的な胃がん検診」です。
症状がない段階でがんを発見できる可能性が最も高いのが検診です。
主な検査方法には以下の2つがあります。
- 胃内視鏡検査(胃カメラ): 口や鼻からカメラを入れ、食道・胃・十二指腸を直接観察します。粘膜のわずかな変化や、ピロリ菌感染の有無も確認でき、必要なら組織を採取して詳しく調べる(生検)ことも可能です。
- 胃部X線検査(バリウム検査): バリウム(造影剤)と発泡剤を飲み、レントゲンで胃の形や粘膜の状態を調べます。
多くの自治体では、40歳または50歳以上を対象に、公費補助(無料または一部自己負担)で胃がん検診を実施しています。対象年齢になったら、症状がなくても定期的に受診することが、自分の胃を守るために非常に重要です。
胃の不調を見過ごさず、検診で早期発見を
胃がんの初期症状について解説しました。
- 胃がん特有の初期症状はほとんどない。
- 胃痛、胸やけ、食欲不振などの症状は、胃炎など他の病気でも起こる。
- 症状だけで自己判断せず、続く不調は必ず医療機関へ相談を。
- 最大の原因はピロリ菌感染。喫煙や塩分の多い食事もリスク。
- 症状がない段階での早期発見には「定期的な胃がん検診」が最も有効。
胃がんは、早期(ステージI)で発見できれば5年生存率が90%を超える、治る可能性が高いがんです。しかし、進行すると治療が難しくなり、生存率も大きく下がってしまいます。
「いつものこと」と胃の不調を軽視せず、気になることがあれば早めに専門医に相談しましょう。そして、症状がない方も、定期的な検診でご自身の健康をチェックする習慣を持つことが、胃がんから身を守るための最も大切なステップです。
胃がんだけでなく、すべてのがんに初期症状はありません。
しかし胃癌についてはピロリ菌による萎縮性胃炎は、症状ではありませんがリスク要因の一つであることが証明されています。
40歳以上の方は一度はピロリ菌検査+胃カメラを考えて頂ければ幸いです。