- 2025年9月19日
お腹の痛みや血便、もしかして大腸がん?痔との違いと、知っておくべき初期症状

「最近、お腹の特定の場所がシクシク痛む…」
「トイレットペーパーに血がついていたけど、きっと痔だろう…」
こうしたお腹やお尻の症状、多くの人が一度は経験するかもしれません。しかし、その症状の裏に「大腸がん」という重大な病気が隠れている可能性もゼロではありません。
明石市のたなか内科クリニックです。
今回は、大腸がんのサインとして現れる腹痛の特徴や、見逃してはいけない初期症状、そして多くの方が自己判断してしまいがちな「痔」との違いについて、専門的な視点からお伝えします。
大腸がんを疑う「お腹の痛み」とは?

まず、大腸がんによる腹痛は、がんがある程度進行したステージⅡ〜Ⅲ以上で現れることが多い症状です。痛みがないからと安心はできません。もし痛みがある場合、その「種類」と「場所」に特徴があります。
痛みの種類
- 間欠痛(かんけつつう): 常に痛いのではなく、痛んだり治まったりを繰り返す、波のある痛み。
- 鈍痛(どんつう): キリキリとした鋭い痛みよりは、お腹が重苦しい、鈍い痛みとして感じることが多いです。
痛みの場所と関連する症状

がんが発生した場所によって、痛む場所や伴う症状が異なります。
- お腹の右側が痛む: 盲腸や上行結腸などのがんの可能性。がんからの出血が少しずつ続くことで、「貧血」を合併しやすいのが特徴です。
- お腹の左側が痛む: 下行結腸やS状結腸のがんの可能性。便が通りにくくなるため、「便秘」や「血便」を伴いやすいのが特徴です。
- 下腹部〜肛門あたりが痛む: 直腸やS状結腸のがんの可能性。便の通り道が狭くなることで「便が細くなる」などの症状が現れやすいのが特徴です。
【最重要】その出血、「痔」だと自己判断していませんか?

大腸がんの最も重要な初期症状の一つが「血便」です。しかし、ここには大きな落とし穴があります。
日本人の3人に1人が悩んでいると言われる「痔」。特に、肛門の内側にできる「内痔核(いぼ痔)」は、痛みがなく、排便時に出血するのが典型的な症状です。
この「痛みのない出血」という症状が、大腸がん(特に直腸がん)の初期症状と非常によく似ているのです。
医師は、「最も怖いのは『きっと痔だろう』と自己判断し、受診が遅れてしまうこと」と警鐘を鳴らしています。排便時の出血は、大腸がんの他にも、潰瘍性大腸炎やクローン病といった他の病気のサインである可能性もあります。出血に気づいたら、決して自己判断せず、必ず医療機関で診察を受けてください。
腹痛や血便以外の初期症状 – 体が発する危険信号

以下の症状も、大腸がんのサインである可能性があります。
- 排便習慣の変化: 便秘と下痢を繰り返す、便が細くなった、残便感がある。
- 貧血: 顔色が悪い、疲れやすい、動悸や息切れがする。
- 原因不明の体重減少
これらの症状が続く場合は、お早めに医療機関にご相談ください。
大腸がんのリスクを高める要因

大腸がんは、生活習慣と密接に関わっています。
- 食生活: 赤身肉・加工肉の過剰摂取、高脂肪食、食物繊維不足。
- 生活習慣: 肥満、運動不足、過度な飲酒、喫煙。
- その他: 40歳以上の加齢、大腸がんの家族歴。
早期発見が、あなたの未来を守ります

大腸がんは、生活習慣の見直しで予防が可能ながんの一つです。そして何より、早期に発見し、適切な治療を行えば、高い確率で治癒が期待できるがんでもあります。
早期発見の最大の障壁は、「まだ痛みがないから大丈夫」「この出血は痔に違いない」といった自己判断による受診の遅れです。
- 血便、腹痛、便通の変化など、少しでも気になる症状があれば、決して放置せずに医師に相談してください。
- 特に40歳を過ぎた方は、症状がなくても定期的な大腸がん検診を受けることが、ご自身の健康を守る上で最も重要です。
当院では、皆さまの不安に寄り添い、適切な検査と診断を行っております。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。