• 2025年10月15日

明石・大久保の消化器内科医が解説!「コロコロうんち」の原因と大腸がんを見逃さないためのチェックポイント

たなか内科クリニック院長の田中敏雄です。

「ウサギのフンのように硬くて小さなコロコロした便が続く」
「お腹が張ってスッキリしない」

こんなお悩みはありませんか?

コロコロうんちは、体からの「水分が足りていない」というサインであり、多くは生活習慣の乱れによるものですが、これが慢性化したり、特定の症状を伴ったりする場合は、病気が隠れている可能性があります。

今回は、コロコロうんちができるメカニズムから、大腸がんとの関連性、そしてご自宅でできる改善策についてお伝えします。


コロコロうんちができるメカニズムと主な原因

健康な便の約8割は水分でできており、理想は水分をたっぷり含んだバナナ状です。しかし、便が腸内(大腸)に長時間滞在すると、大腸が水分を過剰に吸収してしまい、その結果、硬く、小さくちぎれたコロコロうんちになってしまいます。コロコロうんちの主な原因は、以下の通りです。

生活習慣によるもの

水分と食物繊維の不足水分が少ないと便が硬くなり、便のかさを作る食物繊維が不足すると腸への刺激が減り、便秘につながります。
ストレスや緊張過度なストレスや緊張は、自律神経のバランスを乱し、腸の動きを鈍らせる(蠕動運動の停滞)原因となります。便が腸内に留まる時間が長くなり、コロコロ便になりやすくなります。
運動不足運動不足は腸の働きを鈍らせ、特に腹筋が弱い方は便を押し出す力が不足しがちになり、便秘を引き起こします。

病気によるもの

過敏性腸症候群(IBS)検査では異常が見つからないのに、ストレスなどが原因で腸が過敏になり、腹痛を伴う便秘や下痢が慢性的に続く病気です。コロコロうんちが続くのは、IBSの便秘型または混合型の特徴的な症状の一つです。

「コロコロ便」が出たときに注意すべきサイン

コロコロうんちが出たからといって、すぐに大腸がんであると心配する必要はありません。多くの場合、生活習慣の改善で良くなります。しかし、コロコロ便が慢性的に続いたり、以下の警告サインを伴ったりする場合は、大腸がんなどの重大な病気が隠れている可能性を否定できません。

要注意の症状潜む病気の可能性
便に血が混じっている (血便、または便潜血検査で陽性)大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患など
便が鉛筆のように細くなった大腸がんなどによる腸管の通過障害(狭窄)の可能性
急な体重減少 (ダイエットをしていないのに痩せた)がん、炎症性腸疾患など、全身の病気の可能性
強い腹痛や吐き気、嘔吐腸閉塞(イレウス)や強い炎症の可能性
便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)の混合型、または大腸がんの可能性
50歳以上で初めて症状が出た大腸がんの発生率が高まる年代のため、特に注意が必要

これらの症状がある場合は、自己判断せずに、速やかに消化器内科を受診することをおすすめします。


コロコロうんちから卒業するための改善策

数日間のコロコロうんちであれば、まずはご自宅でできる簡単なセルフケアから始めてみましょう。

こまめな水分補給

1日に1.2Lを目安に水を飲む習慣をつけましょう。起床時にコップ1杯の水を飲むと、腸の動きが活発になります。

食物繊維を摂る

海藻や果物、きのこ、根菜類などをバランスよく食事に取り入れることで、便のかさを増やし、腸の動きを助けます。ヨーグルトやオリゴ糖を摂取し、腸内環境(善玉菌)を整えることも有効です。

適度な運動

ウォーキングや軽い体操を日課にし、腸の動きを促進しましょう。腹部のマッサージも効果的です。

ストレスケア

十分な睡眠や趣味の時間を作るなど、心と体をリラックスさせる時間を持つことが大切です。


慢性の便秘やコロコロ便は当院にご相談ください

コロコロ便の多くは生活習慣の改善で良くなりますが、もし症状が長く続く場合や、上記のような危険なサインがある場合は、過敏性腸症候群(IBS) や大腸がんなどの病気が隠れている可能性を否定できません。

たなか内科クリニックでは、症状の原因を正確に特定し、適切な治療を提供いたします。

専門的な診断に不可欠な大腸カメラ

慢性的な便通異常(便秘・下痢)が続く場合、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、炎症性腸疾患や大腸がん、ポリープといった他の器質的な病気が隠れていないかを否定するために不可欠な検査です。

特に、40歳以上の方は、症状の有無にかかわらず、年に一度の大腸がん検診(便潜血検査)を受けることを強く推奨します。便潜血検査で陽性が出た場合は、必ず精密検査として大腸カメラが必要です。

患者様の負担を軽減する工夫

当院では、内視鏡検査への不安を軽減するための工夫を積極的に行っています。

鎮静剤の使用

「検査が怖い、つらい」と感じる方には、ご希望に応じて鎮静剤(眠って楽に受けられる麻酔)を使用し、ウトウトと眠っている間に検査を終えることができます。

注意: 鎮静剤を使用した場合は、検査後の運転はできません。当院はJR大久保駅北口からすぐのため、公共交通機関でのご来院・ご帰宅が便利です。

新しい下剤の選択肢

大腸カメラ検査前の下剤服用がつらいというお声にお応えし、内容量がコンパクトで、水に溶かす手間がない、飲みやすいタイプの新しい下剤も導入しております。患者様の状況に合わせて最適な前処置方法をご提案します。

薬物療法

生活習慣の改善で便秘が解消しない場合は、ガイドラインで第一選択とされる浸透圧性下剤(酸化マグネシウムなど)や、近年開発された耐性が起こりにくい新しい内服薬を用いた排便管理を継続的に行っていきます。

長引く便秘は、「体質」と諦めずに、まずは消化器内科医にご相談ください。原因を特定し、適切な対策を行うことで、お腹の悩みから解放され、快適な毎日を取り戻しましょう。


便がコロコロしていることは、便秘の症状の一つと考えています。
他の症状が無ければ問題ありませんが、水分摂取を十分行うようにお願いします。
お腹の症状がある場合は、お薬での調整が必要な場合があり、また腸の病気が隠れていることもあるため受診をお勧めいたします。

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