- 2025年11月14日
【早期発見が命を救う】芸能人のニュースから学ぶ大腸がんのリアルと「要再検査」を放置しない重要性

こんにちは、たなか内科クリニック 院長の田中敏雄です。
最近、著名人の方々が「がん」の治療や闘病の状況を公表されるケースが続いています。特に大腸がんに関して、お二人の著名な方のニュースは、私たちに「早期発見の重要性」を改めて強く訴えかけています。
今回は、タレントの浜村淳さんと、ものまねタレントのSeikoさんの事例に触れながら、大腸がんの特性と、私たちが今すぐできる早期発見のための行動についてお伝えします。
1.「早期発見」と「進行がん」が分けた運命

先日、タレントの浜村淳さんが大腸がんの治療のため手術を受けることが公表されました。幸いなことに、浜村さんの病状は「早期に発見されたもの」であり、医師からも良好な経過が見込まれると説明されています。
一方、松田聖子さんのものまねタレントであるSeikoさんは、今年2月にステージ4(末期がん)のS字直腸がんを宣告されたという大変つらいニュースもありました。Seikoさんの場合、がんはすでに骨、肋骨、肝臓にまで転移している状態でした。
この二つの事例は、同じ「大腸がん」であっても、発見されたステージによって治療の難しさや予後が大きく異なる現実を突きつけています。
大腸がんは初期には「症状がない」病気です

大腸がんは、結腸や直腸に発生する悪性腫瘍であり、日本人の死亡原因の上位を占めます。胃がんや大腸がんなどの消化器系のがんは、初期の段階では目立った症状がないことが多く、症状が出てから受診した際には進行しているケースが少なくありません。
まさに大腸がんや胃がんは「サイレントキラー」であり、ご自身で自覚症状を感じにくい間に進行してしまうのです。
2.見逃してはいけない身体からの「サイン」

進行がんの宣告を受けたSeikoさんは、昨年あたりから毎日吐いたり、フラフラする症状が続き、検査の結果、肝臓の炎症の数値が異常だったことが発覚しています。
吐き気や嘔吐は、体が異物や毒素を排出しようとする防御反応の一つですが、胃腸の不調から深刻な疾患まで、様々な原因が隠れている可能性があります。また、意図しない急激な体重減少も、身体が異常を訴えている重要なサインです。

これらの症状は、胃もたれ、胸焼け、げっぷ、便秘、下痢、お腹の張り(腹部膨満感) といった比較的軽度に見える症状に紛れて現れることがあり、「単なる体調不良だろう」と見過ごされがちです。
健康診断の「要再検査」は命を守るチャンス

浜村淳さんのように早期発見に至るには、症状が出る前の「予防」と「健診」が極めて重要です。
- 便潜血検査:健康診断で行う便潜血検査で「陽性」と診断された場合、肉眼では確認できない微量な血液が消化管で出血しているサインであり、大腸がんやポリープの可能性があるため、速やかに精密検査を受ける必要があります。
- 「グレーゾーン」を放置しない:歌手でタレントの堀ちえみさんも、人間ドックで「要再検査」を指摘され精密検査を受けた経験から、「グレーゾーンは早く白黒ハッキリさせた方が、スッキリします」と語っています。「要再検査」や「要精密検査」という結果は、あなたの健康を見直すための大切なメッセージなのです。
3.大腸がん予防の鍵は「ポリープ切除」にあり

大腸がんの多くは、良性の「ポリープ」(特に腺腫性ポリープ)が時間をかけてがん化して発生することが分かっています。
ポリープの段階で切除してしまえば、将来のがん予防に直結します。
このポリープを発見し、その場で切除できるのが大腸カメラ(大腸内視鏡検査)です。早期の大腸がんであれば、お腹を切らずに内視鏡手術で完治できる場合も多いです。
当院では、胃がん・大腸がんの撲滅を目指し、内視鏡検査に力を入れています。
- 同日検査で負担を軽減:胃の不調(胃もたれ、げっぷなど) と大腸の不調(便通異常、お腹の張りなど) の両方が気になる方には、胃カメラと大腸カメラを同日に受けていただくことが可能です。鎮eské剤の使用も1回で済むため、時間的・身体的な負担を大幅に軽減できます。
- 辛くない検査へ:「胃カメラはつらい、オエッとなるのが怖い」というイメージから検査を避けている方も多いですが、鎮静剤を使ってウトウトと眠ったような状態で検査を受けることが可能です。
ポリープ切除後の注意点

もし検査中にポリープを切除した場合、術後1週間は出血や穿孔(腸に穴が開く)などの合併症が起きやすい大切な期間です。この期間は、激しい運動や腹圧がかかる行動は避け、生活に注意を払う必要があります。
健康診断や人間ドックで「便潜血陽性」や「要精密検査」と指摘されたにもかかわらず、まだ放置しているという方はいませんか? 芸能人のニュースを「他人事」で終わらせず、ぜひご自身の健康状態に関心を持ち、早期発見・早期治療のために一歩踏み出しましょう。
長引くお腹の不調や、急な体重減少、便通の異常 など、少しでも気になる症状がある方は、お気軽に当院にご相談ください。