- 2025年10月15日
「緑色のうんち」が出たけれど大丈夫?便の色が教える体の状態と受診の目安

明石市大久保のたなか内科クリニック院長の田中敏雄です。
ある日、トイレで便の色がいつもと違う「緑色」になっていて驚いた、という経験はありませんか?
便の色は、私たちが食べたもの、消化機能、腸内環境など、さまざまな体の状態を教えてくれる大切なバロメーターです。健康的な便は通常、黄褐色とされています。これは、肝臓で作られる胆汁という消化液の色素が、腸内で正常に変化した結果です。
今回は、なぜ緑色の便が出るのかというメカニズムと、心配ないケース、そしてすぐに専門医に相談すべき危険なサインについて解説します。
1.なぜ便は緑色になるのか?:胆汁色素の変化

便の色は、肝臓で生成され、脂肪の消化を助ける胆汁の色素(ビリルビン)に由来します。通常、胆汁色素は腸内細菌の働きによって茶色へと変化しながら便に混ざります。
このプロセスに変化が起きることで、便の色が変わることがあります。緑色の便が出る主な原因は、以下の3つに分けられます。
A. 食生活の変化(最も多い原因)
最も心配のいらないケースです。
- 緑黄色野菜・青汁の過剰摂取: ほうれん草、ケール、ブロッコリーなどの野菜に豊富に含まれる葉緑素(クロロフィル)が消化しきれずにそのまま便に混ざり、便が緑色になることがあります。青汁や一部のサプリメントの摂取も同様の影響を与えます。
B. 消化機能の低下による通過時間の短縮
胃腸の働きが乱れ、便が腸内を通過する時間が速すぎると、胆汁色素が十分に茶色く変化する前に体外に排出されてしまい、緑色に見えることがあります。
- 原因: 暴飲暴食やストレス、疲労などで胃腸の働きが弱っている、または下痢になっている状態です。
C. 腸の病気が隠れている可能性
食生活や一時的な体調不良が原因ではない場合、胃腸や肝臓の病気が隠れている可能性もあります。
- 急性腸炎: 細菌やウイルスによる急性腸炎で腸の働きが弱っている場合、便が緑色になることがあります。この場合、下痢、腹痛、吐き気などの症状を伴うことが多いです。
- 黄疸や溶血性貧血: 胆汁の成分であるビリルビンが体内でうまく処理されない病気でも、便が緑色になることがあります。
2.「緑色の便」が出たときの対処法と要注意サイン
食事や一時的な体調不良が原因であれば、緑色の便は通常数日以内に元の色(黄褐色)に戻ります。まずは落ち着いて、ご自身の食生活や体調を振り返りましょう。
【ご自宅でできる対処法】

心配のないケースであれば、以下の生活習慣の見直しが有効です。
- 食事の見直し: 緑黄色野菜や青汁の摂りすぎに心当たりがあれば、一時的に摂取量を減らしてみる。
- 胃腸に優しい食事: 暴飲暴食や脂質の多い食事を控え、おかゆやうどんなど、消化の良い食事を心がける。
- 十分な休息とストレスケア: ストレスや睡眠不足が原因と考えられる場合は、十分な休息を取り、自律神経のバランスを整える。
【緑色の便+こんな症状】は要注意!

緑色の便が続くことに加え、以下の症状が見られる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
- 下痢や腹痛、発熱、吐き気が続いている。
- 便に血が混ざっている(黒い便、赤い便も含む)。
- 体のだるさや原因不明の体重減少がある。
- 長く(1週間以上)緑色の便が続いている。
特に、黒い便(タール便)や赤い便(鮮血便)が出た場合は、胃や大腸など消化管からの出血が強く疑われます。黒色便の場合は胃潰瘍や胃がんなど上部消化管からの出血、赤い便の場合は大腸がんやポリープなど下部消化管からの出血が考えられるため、これらの症状が出た場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。
3.緑色の便が続くなら当院へご相談ください

長引く緑色の便や、腹痛・血便などの随伴症状がある場合、ご自身で原因を特定するのは困難です。炎症性腸疾患や急性腸炎など、適切な診断と治療が必要な病気が隠れている可能性も否定できません。
たなか内科クリニックは、JR大久保駅北口すぐの消化器内科クリニックとして、皆様の不安解消と病気の早期発見に貢献します。
当院で行う検査

症状に応じて、以下の検査を行い、腸の状態を詳しく調べ、適切な診断と治療をご提案いたします。
- 便検査:細菌感染の有無や潜血の有無などを調べます。
- 血液検査:炎症の程度や貧血、肝機能など全身の状態を確認します。
- 大腸カメラ(下部内死鏡検査):緑色の便の原因として、大腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎など)が疑われる場合、大腸カメラは腸の粘膜を直接観察し、炎症や潰瘍、がんなどの病変を正確に発見・診断するために不可欠な検査です。
安心の検査体制

当院では、「内視鏡検査は苦しい、怖い」というイメージをお持ちの方でも安心して検査を受けていただけるよう、鎮静剤(眠って楽に受けられる麻酔)を用いた検査を提供しています。鎮静剤を使用することで、検査中の不快感や恐怖心を軽減し、検査精度を高めることが可能です。
ご自身の便を毎日チェックすることは、健康管理の第一歩です。緑色の便やその他の気になる症状があれば、お一人で悩まず、お気軽に当院までご相談ください。
緑色の便を認める場合、消化不良が疑われます。
胃腸炎の時がほとんどですが、生活習慣の乱れから起こる場合もあります。
症状が無ければ規則正しい食生活を行い、経過をみることになりますが、
1週間以上続く場合や、下痢も続いている場合は腸の病気の可能性もあるため一度受診をお勧めします。 未来では排便の状況をトイレが判定し、健康状態の確認ができる時代が来るとも予想されています。