• 2025年4月23日

「お腹の調子が悪い・・・」明石・大久保の内科医が教える腹痛・下痢の原因と対処法

「最近、お腹が痛むことが多い」
「急な下痢に悩まされている」
「便秘と下痢を繰り返していてスッキリしない」

そんなお腹の不調、抱えていませんか?
明石・大久保エリアにお住まい・お勤めの皆様の中にも、原因がわからず不安に感じている方がいらっしゃるかもしれません。

お腹の不調は、食べ過ぎや冷えなど一時的な原因で起こることもありますが、背景に何らかの病気が隠れている可能性もあります。放置せずに原因を知り、適切に対処することが大切です。

この記事では、内科・内視鏡専門医の視点から、腹痛や下痢といったお腹の不調の主な原因と、ご自身でできる対処法、そして医療機関を受診すべきタイミングについて詳しく解説します。


お腹の不調を引き起こす主な原因

お腹の不調といっても、その原因は様々です。代表的なものをいくつかご紹介します。

  1. 感染性胃腸炎・食中毒 ウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)や細菌(カンピロバクター、サルモネラ菌など)が原因で起こります。急な腹痛、下痢、嘔吐、発熱などを伴うことが多いです。
  2. 過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome) 検査では明らかな異常が見つからないにも関わらず、ストレスなどが引き金となり、腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘といった便通異常が慢性的に続く病気です。日本人の約10〜15%が罹患しているとも言われ、特に若い世代や女性に多い傾向があります。「下痢型」「便秘型」「混合型」などのタイプがあります。
  3. 腸内環境の乱れ(腸疲労) 食生活の乱れ(食物繊維不足、脂っこい食事、添加物の多い食事)、不規則な生活、睡眠不足、運動不足、ストレスなどにより、腸内細菌のバランスが崩れ(悪玉菌が増加し)、腸の機能が低下することがあります。「腸疲労」とも呼ばれ、便秘や下痢、おならが臭くなるなどのサインが現れます。
  4. 食事・生活習慣 暴飲暴食、アルコールや香辛料などの刺激物の摂りすぎ、冷たいものの摂取、不規則な食事時間、睡眠不足、ストレス、冷えなども、胃腸の機能を低下させ、腹痛や下痢を引き起こす原因となります。
  5. 機能性ディスペプシア 胃カメラなどの検査では異常がないのに、胃もたれや胃痛、早期満腹感(すぐにお腹がいっぱいになる)などの症状が続く状態です。
  6. 注意が必要な病気 腹痛や下痢が続く場合、以下のような病気の可能性も考えられます。自己判断せずに、医療機関で適切な診断を受けることが重要です。
    • 逆流性食道炎: 胃酸が食道へ逆流し、胸焼けや上腹部痛などを起こします。
    • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍: 胃や十二指腸の粘膜が傷つき、みぞおちの痛みや黒色便などを起こします。ピロリ菌感染や痛み止め(NSAIDs)が原因となることがあります。
    • 炎症性腸疾患: 潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸に慢性の炎症が起こる病気です。腹痛、下痢、血便、体重減少などを伴います。
    • 大腸がん・胃がん: 初期症状が出にくいこともありますが、腹痛、便通異常(便秘・下痢)、血便、黒色便、体重減少などがサインとなることがあります。特におならが以前より臭くなったと感じる場合、腸内環境の悪化や大腸がんのリスクが隠れている可能性も指摘されています。
    • 虫垂炎(盲腸): 右下腹部の痛み、吐き気、発熱などが特徴です。
    • その他: 胆石症、膵炎など。

自分でできる対処法(セルフケア)

お腹の調子が悪いと感じたら、まずは胃腸を休ませ、負担をかけないようにすることが基本です。

  1. 安静にする

無理せず体を休ませましょう。

  1. 食事に気をつける
  1. 無理に食べない: 症状が強い時(特にひどい下痢や嘔吐がある場合)は、1〜2食程度食事を抜いて胃腸を休ませることも有効です。ただし、自己判断で長期間食事を抜くのは避けましょう。
  2. 消化の良いものを: 症状が落ち着いてきたら、おかゆ(重湯から徐々に水分を減らす)、よく煮込んだうどん、スープ、湯豆腐、白身魚、鶏ささみ、卵(半熟)、バナナ、すりおろしリンゴなど、胃腸に負担の少ないものから少量ずつ食べ始めましょう。
  3. 避けるべきもの: 脂っこい食事(揚げ物、脂身の多い肉)、食物繊維の多い野菜(ごぼう、たけのこ、きのこ類 ※少量なら水溶性食物繊維の多い人参、かぼちゃ等)、刺激物(香辛料、アルコール、コーヒー、炭酸飲料)、冷たいもの、味の濃いもの、乳製品(下痢を悪化させる場合がある)は控えましょう。
  4. 調理法: 煮る、蒸すなど、油を使わない調理法を選びましょう。
  5. 規則正しい食事: 1日3食、なるべく決まった時間に食べることで、胃腸のリズムが整いやすくなります。就寝前の食事は避けましょう。
  6. 水分補給をこまめに

下痢や嘔吐がある場合は脱水になりやすいため、水分補給が非常に重要です。一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに摂りましょう。

  1. 何を飲むか: 経口補水液やスポーツドリンクなど、水分と電解質(ナトリウム、カリウムなど)を同時に補給できるものがおすすめです。白湯や麦茶でも良いですが、水道水のみの場合は少量の塩を加えると良いでしょう。ミネラルウォーターなら軟水を選びましょう。
  2. 温度: 冷たい飲み物は胃腸を刺激するため、常温か温かいものを選びましょう。
  3. 生活習慣を見直す
  1. 十分な睡眠:睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、胃腸の働きに影響します。質の高い睡眠を心がけましょう。
  2. ストレスケア: ストレスはIBSの増悪因子になるなど、胃腸に大きな影響を与えます。自分なりのリラックス法を見つけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
  3. 適度な運動: ウォーキングなどの軽い運動は、腸の動きを促し、便通改善やストレス解消にもつながります。
  4. お腹を温める: 冷えは胃腸の働きを悪くし、下痢の原因にもなります。腹巻をしたり、温かい飲み物を飲んだりして、お腹を冷やさないようにしましょう。夏場でも冷房対策を忘れずに。
  5. 腸内環境を整える(腸活)

日頃から腸内環境を意識することも大切です。

  1. 善玉菌を摂る: ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、味噌、漬物などの発酵食品を摂りましょう。
  2. 善玉菌のエサを摂る: 水溶性食物繊維(海藻、こんにゃく、大麦、ごぼう、らっきょうなど)やオリゴ糖(大豆、玉ねぎ、バナナなど)を意識して摂りましょう。

こんな時は医療機関へ相談を

セルフケアで改善しない場合や、以下のような症状が見られる場合は、自己判断せずに早めに内科・消化器内科を受診しましょう。特に明石・大久保エリアにお住まいの方は、お近くのかかりつけ医にご相談ください。

  • 症状が強い場合: 激しい腹痛、頻回の嘔吐・下痢、高熱、脱水症状(尿量が少ない、口が渇くなど)
  • 症状が長引く場合: 腹痛や下痢、便秘などの症状が1週間以上続く
  • 心配なサインがある場合:
    • 血便、黒色便(タール便)
    • 原因不明の体重減少
    • 貧血
    • 腹部のしこり
    • 50歳以上で初めて症状が出た、または症状が変化した

クリニックでの検査・治療

クリニックでは、まず丁寧な問診と診察を行い、症状の原因を探ります。必要に応じて以下のような検査を行います。

  • 血液検査: 炎症の程度、貧血、脱水、肝機能、腎機能、ホルモン異常などを調べます。
  • 便検査: 細菌・ウイルス感染、寄生虫、潜血(便に血が混じっていないか)などを調べます。
  • 腹部レントゲン検査: 腸閉塞や便秘の程度などを確認します。
  • 腹部超音波(エコー)検査: 胆石、膵臓、肝臓、腎臓などの状態を調べます。
  • 内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ): 食道・胃・十二指腸・大腸の粘膜を直接観察し、炎症、潰瘍、ポリープ、がんなどの病気を診断するために非常に重要な検査です。特に、大腸がんは初期症状が出にくく、40歳を過ぎるとリスクが高まります。おならが臭い、便秘がち、血便などの症状がある方や、40歳以上の方は、定期的な大腸カメラ検査をおすすめします。当院のような内視鏡専門医がいるクリニックでは、苦痛の少ない検査を提供できるよう努めています。(例:炭酸ガス送気など)

検査結果に基づき、原因に応じた治療を行います。感染症であれば抗生物質、IBSであれば症状に応じた薬(整腸剤、腸の運動を調整する薬、下痢止め、便秘薬など)、胃潰瘍であれば胃酸を抑える薬やピロリ菌除菌など、適切な治療法を選択します。


お腹の不調は、誰もが経験する可能性のある身近な症状です。しかし、「いつものこと」と軽視していると、重大な病気のサインを見逃してしまう可能性もあります。

まずはご自身の生活習慣を見直し、セルフケアを試してみてください。それでも症状が改善しない場合や、心配なサインがある場合は、決して自己判断せず、お気軽に当院のような内科・内視鏡クリニックにご相談ください。


食欲低下や胃の不快感、お腹の張り(腹部膨満感)、下痢や便秘と様々な症状でお困りの方が居られると思います。頻度としては過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアの様な機能的な原因がほとんどではありますが、他の疾患を見落とさないためにも40歳までには一度内視鏡検査を勧めております。なお以下の場合は若い方でも内視鏡検査を勧めています。

・胃の薬を処方され1週間以上内服しているが良くならない場合→胃カメラ (高度の逆流性食道炎や好酸球性食道炎、カンジダ食道炎等を否定するため)

・下痢が1週間以上続く場合や血便を認める場合→大腸カメラ (潰瘍性大腸炎等の炎症を起こす疾患を否定するため)

特に内視鏡検査は、お腹の不調の原因を正確に診断し、がんなどの早期発見・早期治療につなげるために不可欠な検査です。明石・大久保地域の皆様の健康を守るため、専門医として丁寧な診察と精度の高い検査を提供いたします。

お腹のことで少しでも気になることがあれば、お早めにご相談ください。

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