- 2025年8月20日
「消化器外科医不足」は他人事ではない。私たち内科医ができること

皆様、こんにちは。「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。
先日、消化器外科医の不足が深刻化しているというニュースを目にしました。若手医師が長時間の手術や休日・夜間の救急対応といった厳しい勤務状況を敬遠し、この20年で消化器・一般外科の医師が2割も減少したとのことです。
学会の理事長も、このままでは胃や大腸がん患者の手術待機期間が延び、命に関わると警鐘を鳴らしています。
▶Yahoo! 消化器外科医の不足深刻…厳しい勤務で若手敬遠、「胃や腸のがん患者の命に関わる」学会に危機感
この報道は、私たち地域医療に携わる者にとっても、非常に重い課題として受け止めております。外科医の先生方が直面する厳しい現実を改善していくことはもちろんですが、私たち内科医、特に消化器内科医が果たすべき役割もまた、非常に大きいと痛感しています。
早期発見・早期治療で、消化器外科医の負担軽減に貢献する

当院「たなか内科クリニック」は、胃や大腸など消化器のがんの「早期発見」と「早期治療」に全力を尽くしています。これこそが、外科手術が必要となるケースを減らし、ひいては消化器外科医の先生方の負担を軽減することにも繋がると信じています。
胃がん・大腸がんの早期発見の重要性
胃がんや大腸がんは、初期段階ではほとんど自覚症状がないことが多く、症状が出た時には進行しているケースも少なくありません。しかし、早期に発見し、適切な治療を行えば、根治も十分に可能です。
特に大腸がんの多くは、良性の「ポリープ」ががん化して発生するため、ポリープの段階で切除することが、将来のがん予防に繋がります。
国立がん研究センターの報告によると、日本人の大腸がんの約半数が特定の腸内細菌による遺伝子損傷が原因であり、50歳未満の若い患者さんでもその損傷が多く見つかっているという報告があります。これは、症状がなくても若年層からの予防と早期発見がいかに重要かを示しています。
※早期の胃がん、早期の大腸がんであれば、外科手術(開腹や腹腔鏡下)を行わず、胃カメラや大腸カメラを用いた内視鏡手術で完治できる場合も多いです。そのためにも早期発見が重要とされています。
当院の「苦痛の少ない」内視鏡検査
内視鏡検査と聞くと、「苦しい」「怖い」「オエッとなるのが嫌だ」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。当院では、そのような患者様の不安を少しでも和らげ、安心して検査を受けていただけるよう、様々な工夫を凝らしています。
1.鎮静剤(静脈麻酔)の使用

ご希望の方には、点滴から鎮静剤を投与し、ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を受けていただけます。これにより、嘔吐反射や検査に対する不安・恐怖心、痛みが大幅に軽減され、「気づいたら検査が終わっていた」と感じる方も多くいらっしゃいます。患者さんが動かないため、医師も胃や腸の内部を隅々までじっくり観察でき、検査精度の向上にも繋がります。鎮静剤使用中は、血圧や心電図、血中酸素飽和度などを常にモニターし、安全管理を徹底していますのでご安心ください。ただし、鎮静剤の効果が残るため、検査当日は車や自転車の運転はできません。
2.経鼻内視鏡(鼻からの胃カメラ)

胃カメラでは、鼻から挿入する細いスコープ(約6mm)の「経鼻内視鏡」も選択いただけます。スコープが舌の付け根に触れないため、「オエッ」となる咽頭反射がほとんど起こりません。鎮静剤を使わなくても比較的楽に受けられ、検査中に医師と会話もできるため、検査後すぐに仕事や運転をしたい方にも適しています。
3.大腸カメラの前処置の工夫

大腸カメラ検査で患者様が最も負担に感じるのが、検査前の下剤服用です。当院では、水に溶かす手間がなくそのまま飲める内容量480mlとコンパクトな新しいタイプの下剤も導入し、患者様の体調や生活スタイルに合わせて最適な前処置方法をご提案しています。
4.胃カメラと大腸カメラの同日検査

お忙しい方のために、胃カメラと大腸カメラを同じ日に受けていただくことも可能です。一度の来院、一度の鎮静剤で両方の検査を終えられるため、時間的・体力的負担を大幅に軽減できます。
5.大腸ポリープのその場での日帰り切除

大腸カメラ検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除が可能なケースがほとんどです。これにより、再来院の手間を省き、がんへの進行を未然に防ぐことができます。ポリープ切除後は、出血のリスクがあるため、術後の食事や運動、飲酒などの生活制限について詳しくご説明し、万が一の際の連絡体制も整えています。
6.アクセスしやすい立地

当院はJR大久保駅北口から徒歩すぐの場所に位置しており、電車やバスでのアクセスが非常に便利です。鎮静剤を使用した場合でも、公共交通機関で安全に帰宅しやすい環境です。
ピロリ菌の検査と除菌治療

胃がんの最大の原因はピロリ菌感染と言われています。当院では、尿素呼気試験(息を吹き込むだけの簡単な検査)や血液検査、便検査などでピロリ菌の有無を調べることが可能です。ピロリ菌が見つかった場合は、胃がんや胃潰瘍のリスクを減らすため、除菌治療を推奨しています。
ただし、除菌に成功しても、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。長年の感染により胃粘膜にダメージが残っている可能性があるため、除菌後も定期的な胃カメラ検査を継続することが非常に重要です。
総合的な健康管理をサポート

当院は、消化器内科に特化しているだけでなく、地域のかかりつけ医として幅広い内科診療も提供しています。風邪やインフルエンザなどの急性疾患、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の管理、骨粗鬆症の検査、各種予防接種、そして発熱外来など、多岐にわたる診療を行っています。
また、当院は予約制を採用しており、患者様の待ち時間を減らし、スムーズな診療を心がけています。
消化器外科医の不足という喫緊の課題に対し、たなか内科クリニックは、苦痛の少ない内視鏡検査と総合的な内科診療を通じて、地域の皆様の健康維持に貢献し、胃がんや大腸がんの早期発見・治療の拠点となるよう努めてまいります。
お腹の不調が続く方、健診で異常を指摘された方、また症状がなくても胃がんや大腸がんがご心配な方など、どんな些細なことでも、どうぞお気軽に当院にご相談ください。皆様の健康を一緒に守っていけるよう、スタッフ一同、心よりお待ちしております。