• 2025年10月15日

 「しゃばしゃばうんち」はなぜ起こる?長引く下痢が示す体のSOSサインと大腸カメラの重要性

明石市の大久保駅すぐの「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。

「急な腹痛でトイレに駆け込んだ」
「水っぽい便が続いていて、もう体質だと諦めている」

日常生活に大きな支障をきたす「下痢(しゃばしゃばうんち)」のお悩みを抱える方は少なくありません。

健康な便は水分量が70〜80%程度ですが、下痢はそれ以上に水分が多くなった状態を指します。一過性の下痢であれば心配ないことが多いですが、慢性的に繰り返したり、1週間以上続いたりする場合は、必ず原因を突き止める必要があります。

ここでは、下痢を引き起こす原因と、特に注意が必要な病気のサインについてお伝えします。


一時的な下痢の原因と「感染症」への注意

下痢は、腸が何らかの原因で刺激され、水分の吸収が追いつかない、あるいは腸のぜん動運動が活発になりすぎた結果起こります。

一過性の原因

食べすぎ、飲みすぎ、冷たいものの摂りすぎ、あるいは一時的なストレスなどが原因で、腸の活動が一時的に活発化している状態です。

特に注意が必要な感染症

ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルスや、サルモネラ菌、大腸菌、カンピロバクターなどの細菌に感染することで、激しい下痢や嘔吐、発熱、腹痛を伴うことがあります。夏場は細菌性食中毒やウイルス性胃腸炎(アデノウイルスなど)が増加し、冬場に多いイメージのノロウイルスも一年を通して発生するため油断は禁物です。

【重要】 感染症が疑われる場合、市販の下痢止め(止痢薬)の服用は避けてください。これは、病原体を体内に留めてしまい、症状を悪化させる危険があるためです。脱水を防ぐため、経口補水液などでこまめに水分と電解質を補給し、速やかに医療機関にご相談ください。

長引く下痢(慢性下痢)に潜む病気

下痢が3週間以上続いている場合は「慢性下痢」と判断され、一時的な体調不良ではなく、専門的な治療が必要な病気が隠れている可能性が高まります。

過敏性腸症候群(IBS:下痢型)

大腸カメラなどの検査では明らかな異常が見つからないにも関わらず、腹痛や便通異常(下痢または便秘)が慢性的に続く病気です。

  • 特徴: ストレスや不安など精神的な要因が大きく関わっていると考えられています。IBSには、下痢を繰り返す下痢型のほか、便秘型、下痢と便秘を交互に繰り返す混合型などがあります。
  • 対応: ストレス管理、食事指導、そして症状に応じた薬物療法(整腸剤や腸の運動を調整する薬など)で改善が期待できます。

炎症性腸疾患(IBD

腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる病気です。

  • 潰瘍性大腸炎:主に大腸の内側に炎症が起こります。
  • クローン病:主に小腸や大腸に炎症を引き起こし、炎症は消化管のどの部分にも現れる可能性があります。

特徴: 長引く下痢や血便、腹痛、体重減少などを引き起こし、症状が治まっても再発を繰り返す特徴があります。若年者で下痢を頻回に認める場合は、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患が潜んでいる場合がありますので注意が必要です。

大腸がん

大腸がんは初期には自覚症状が乏しいことが多いですが、進行してがんが大きくなると、腸管が狭くなることで便の通過障害が起こり、下痢や腹痛を引き起こすことがあります。特に50歳以降は、些細な症状でも注意が必要です。

薬剤の副作用

抗生物質など、一部の薬は腸内細菌のバランスを乱し、下痢を引き起こすことがあります。ピロリ菌除菌治療で使用する抗菌薬も、副作用として軟便や下痢(約10〜30%)を引き起こすことがあります。


すぐに受診すべき「危険なサイン」

下痢が数日続くだけでなく、以下のような警告症状を伴う場合は、重篤な疾患が隠れている可能性があるため、放置せずに速やかに医療機関を受診してください。

・1週間以上、下痢が続いている。
・便に血が混ざっている(血便)、または真っ黒な便(タール便)が出る。
・原因不明の急な体重減少がある。
・激しい腹痛や吐き気、高熱を伴う。
・50歳以上で初めて下痢や腹痛などの症状が出た、または症状が変化した。

消化器内科医による検査で安心を

長引く下痢の原因を自己判断するのは困難であり、特にIBSと似た症状を示す潰瘍性大腸炎やクローン病、そして大腸がんなどの病気を否定するためにも、専門的な検査が重要となります。

たなか内科クリニックでは、長引く下痢に対して、以下の検査を通じて原因を正確に診断します。

問診・診察、血液検査、便検査

炎症の程度や貧血、脱水、感染の有無などを確認します。

大腸カメラ(下部内視鏡検査)

長引く下痢や血便を認める場合、大腸カメラは不可欠です。腸の粘膜を直接観察できるため、炎症、潰瘍、ポリープ、がんなどの病変を正確に発見・診断することができます。

患者様の負担軽減

「検査が怖い」という不安を軽減するため、当院では鎮静剤(眠って楽に受けられる麻酔)を用いた検査をご提供しています。また、大腸カメラの前処置(下剤内服)についても、内容量がコンパクトな新しい下剤も導入するなど、患者様の体調や生活スタイルに合わせた方法をご提案しておりますのでご安心ください。

長引く下痢を「体質」と諦めず、原因を特定し適切な治療を行うことが、快適な日常生活を取り戻すための第一歩です。 お腹の不調でお困りの方は、JR大久保駅北口すぐのたなか内科クリニックまで、どうぞお気軽にご相談ください。

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