• 2026年3月6日

「悪玉コレステロールが高い」と言われたら? 脂質異常症を放置するリスクと改善法

健康診断で「悪玉(LDL)コレステロールが高い」「中性脂肪が高い」、あるいは「善玉(HDL)コレステロールが低い」と指摘されていませんか?

これらを総称して「脂質異常症(ししついじょうしょう)」と呼びます。

脂質異常症も、高血圧や糖尿病と同じく、自覚症状がまったくありません。

そのため、「どこも痛くないし、元気だから」と放置している方が非常に多いのですが、これもまた「サイレントキラー(静かなる暗殺者)」の一つです。

今回は、脂質異常症がなぜ怖いのか、そして数値を改善するために何から始めるべきかをお伝えします。


脂質異常症とは? 3つの数値を知ろう

脂質異常症は、血液中の脂質のバランスが崩れた状態を指します。重要なのは以下の3つの数値です。

1.LDL(悪玉)コレステロール:

全身にコレステロールを運ぶ役割ですが、増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化の原因となります。

2.HDL(善玉)コレステロール:

余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す役割があり、「血管のお掃除役」とも呼ばれます。少なすぎると動脈硬化が進みやすくなります。

3.中性脂肪(トリグリセライド):

体を動かすエネルギー源ですが、増えすぎると、それ自体が動脈硬化を促進したり、LDL(悪玉)コレステロールを増やしやすくしたりします。

この3つのうち、どれか一つでも基準値から外れていると「脂質異常症」と診断されます。


最大のリスクは「動脈硬化」

自覚症状がないまま脂質異常症を放置すると、血液中の余分な脂質、特にLDL(悪玉)コレステロールが、静かに血管の内側の壁に侵入していきます。

それが「プラーク」という“コブ”のようなものを作り、血管は次第に狭く、そして硬くなっていきます。これが「動脈硬化」です。

水道管に徐々にサビや汚れが溜まって、詰まりやすくなるのをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。


症状が出た時は「手遅れ」かもしれない

動脈硬化が進行し、血管が狭くなっても、まだ症状は出ません。

しかし、ある日突然、そのプラークが破れると、そこを修復しようと血の塊(血栓)が瞬時に作られます。この血栓が血管に詰まった時、命に関わる重大な病気を引き起こします。

  • 心臓で詰まれば → 心筋梗塞
  • 脳で詰まれば → 脳梗塞

脂質異常症の治療の最大の目的は、この最悪の事態(心筋梗塞や脳梗塞)を未然に防ぐことです。症状が出てからでは遅いのです。


どうすれば改善できる? まずは「食事」の見直しから

脂質異常症の改善の鍵は、なんといっても「食生活」です。

「コレステロールが高いなら、卵や魚卵を控えればいい?」と思われがちですが、実は食品に含まれるコレステロール量よりも、体内でコレステロールを作る「脂質の質」の方が重要です。

<今日からできる食事改善のポイント>

1.「控えるべき脂質」を減らす

・飽和脂肪酸: LDL(悪玉)コレステロールを増やす最大の原因です。

(例:肉の脂身、ベーコン、ソーセージ、バター、生クリーム、ラード)

トランス脂肪酸

(例:マーガリン、ショートニング、それらを使った菓子パン、洋菓子、スナック菓子)

2.「積極的に摂りたい脂質」を選ぶ

・不飽和脂肪酸: コレステロールを減らす働きがあります。

(例:青魚(サバ、イワシなど)のEPA・DHA、オリーブオイル、アマニ油、ナッツ類)

・ポイント: お肉中心の生活から、「週に3回は魚料理」に変えるだけでも効果が期待できます。

3.食物繊維をたっぷり摂る

野菜、海藻、きのこ類、大豆製品に含まれる水溶性食物繊維は、コレステロールの吸収を抑え、体外への排出を助けてくれます。

4.中性脂肪が高い人は「糖質」と「アルコール」を控える

中性脂肪は、カロリーオーバー、特にお酒の飲み過ぎ、甘いもの(お菓子やジュース)、炭水化物(ご飯・パン・麺類)の摂りすぎで急激に増えます。まずこれらを適量にすることが最優先です。


運動や薬物治療について

運動療法:

ウォーキングなどの有酸素運動は、中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果があります。まずは「今より10分多く歩く」ことから始めましょう。

②薬物治療:

食事や運動を頑張っても数値が下がらない場合や、すでに高血圧や糖尿病がある方、心筋梗塞などを起こしたことがある方(リスクが非常に高い方)は、お薬(主にスタチン系薬剤など)による治療を開始します。お薬は動脈硬化の進行を抑え、将来のリスクを確実に減らすためのお守りです。


まとめ:数値の異常は、未来への警告サイン

脂質異常症は「症状がないから大丈夫」な病気ではなく、「症状が出る前に治療しなくてはならない」病気です。

健康診断で指摘された数値の異常は、あなたの体が発している「将来、血管が詰まるかもしれない」という警告サインです。

そのサインを無視せず、生活を見直すきっかけにしてください。

健診結果票をお持ちいただければ、どの数値を改善すべきか、あなたのライフスタイルに合った食事や運動の方法を一緒に考えます。ぜひお気軽にご相談ください。 ※年齢の若い方で、生活習慣も安定してるのにLDLコレステロールが高い場合があります。180以上の場合等は家族性高コレステロール血症という遺伝の影響もある疾患かもしれません。その場合、年齢や性別、喫煙歴の有無等を確認した上でお薬での治療が必要となります

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