- 2026年6月2日
男性の骨粗鬆症|見逃されやすい原因・症状・治療を解説

こんにちは。明石市のJR大久保駅北口すぐにある「たなか内科クリニック」です。
骨粗鬆症と聞くと「女性の病気」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は男性にとっても決して他人事ではありません。「最近、背中が丸くなってきた」「身長が縮んだ気がする」といった症状がある方は、男性の骨粗鬆症が隠れている可能性があります。今回は、見逃されやすい男性の骨粗鬆症の原因や特徴、骨折を防ぐための治療と生活習慣について詳しく解説します。
■男性骨粗鬆症の実態と女性との違い

骨粗鬆症は「女性の病気」というイメージが強いですが、国内の骨粗鬆症患者約1,280万人のうち男性は260万人(約20%)を占め、決して珍しい疾患ではありません。男性は女性より骨密度が高いため同年代の女性より骨折リスクは低いものの、大腿骨頸部骨折後の死亡率は女性の約2倍と高く、骨折した際の予後が非常に悪いのが特徴です。女性では閉経によるエストロゲン欠乏が骨密度低下の主因となるのに対し、男性の骨密度は加齢とともに緩やかに低下し、70歳代以降で急速に進行します。
男性骨粗鬆症の約60%は二次性(原因疾患や薬剤が引き起こすもの)です。最も多い原因はステロイド薬の長期服用(関節リウマチ・COPD・喘息・腎疾患などで使用)で、ステロイド骨粗鬆症は量・期間に依存して発症し、開始後3〜6ヵ月が最もリスクが高い時期です。次いでアルコール多飲(1日3合以上の飲酒が骨芽細胞を直接障害)、性腺機能低下症(テストステロン欠乏:前立腺癌の内分泌療法を受けている方に多い)、慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症、胃切除後(カルシウム・ビタミンD吸収障害)などが続きます。
■男性骨粗鬆症の症状と診断のポイント
男性骨粗鬆症は症状が出にくく、腰背部痛・身長低下・姿勢の変化(円背)が進行してから気づくケースが多いです。背骨(胸腰椎移行部)の圧迫骨折は自覚症状なく「いつのまにか」発症することがあり、レントゲン撮影時に偶然発見されることもあります。男性で以下の症状や既往がある場合は骨密度検査を積極的に検討することが重要です。
①70歳以上
②低体重(BMI 20未満)
③大腿骨骨折の家族歴
④喫煙歴・多量飲酒歴
⑤ステロイド薬や内分泌療法の長期使用歴
⑥過去の骨折歴(特に軽微な外力による骨折)
⑦慢性腰背部痛や身長低下の自覚
男性の骨密度検査もDXA法(腰椎・大腿骨近位部)が標準で、YAM 80%以上が正常、70〜80%が骨量減少、70%未満が骨粗鬆症です。血液検査では、カルシウム・リン・アルブミン・ALP(骨型)・TRACP-5b(破骨細胞活性の指標)・P1NP(骨形成マーカー)・25OH-ビタミンD・テストステロン(男性ホルモン)・PSA(前立腺特異抗原:前立腺癌除外のため)・腎機能・甲状腺機能などを評価します。二次性骨粗鬆症の原因を特定することが治療方針の決定に直結します。
■男性骨粗鬆症の治療と骨折予防

男性骨粗鬆症の薬物療法は女性と基本的に同じです。ビスホスホネート製剤(アレンドロン酸・リセドロン酸)は男性骨粗鬆症にも効果があり、椎体骨折・大腿骨骨折リスクを有意に低下させることが臨床試験で証明されています。テリパラチド(副甲状腺ホルモン薬・自己注射)は男性骨粗鬆症でも保険適用があり、骨形成を直接促進することで重症例に特に有効です。ステロイド骨粗鬆症の場合は、ステロイド投与開始と同時期からビスホスホネート製剤の予防投与を開始することが推奨されています(日本骨粗鬆症学会のステロイド骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン)。
カルシウム(1日700〜1000mg)とビタミンD(1日800〜1000IU)の補充は男性骨粗鬆症でも薬物療法の基盤として必須です。テストステロン欠乏が原因の場合は、男性ホルモン補充療法(TRT)が骨密度改善に有効ですが、前立腺癌のリスク評価を行ったうえで慎重に実施します。生活習慣の面では、禁煙・節酒(1日1合以内)、転倒予防(浴室・廊下の手すり設置・適切な照明)、下肢筋力強化(スクワット・ふくらはぎのストレッチ)が骨折予防に有効です。
■ウォーキングと日光浴で骨を守る日常習慣

骨粗鬆症の男性に特に推奨される運動は、荷重をかけながら行う有酸素運動です。ウォーキング・速歩き・ジョギング・階段昇降などの荷重運動は、骨への機械的刺激(メカニカルストレス)が骨芽細胞を活性化し、骨密度の維持・改善に直接貢献します。週3〜5回・30〜60分のウォーキングを継続することで、大腿骨頸部骨密度が有意に増加するというメタ解析結果が報告されています。ウォーキングは有酸素運動として心血管疾患・糖尿病・高血圧などの生活習慣病の管理にも同時に効果的で、男性骨粗鬆症患者に多い合併症の管理にも役立ちます。

日光浴は屋外ウォーキングと組み合わせることで、皮膚でのビタミンD産生を促進できる「一石二鳥」の習慣です。紫外線B波(UVB)が皮膚に当たることでビタミンD3が産生されます。季節・緯度・肌の露出面積によって産生量は変わりますが、夏は顔・腕を出して15分、冬は30分以上の日光浴が目安です(日焼け止めを使うと産生が低下)。高齢の方や屋内活動が中心の方はサプリメントによるビタミンD補充も検討しましょう。
明石市大久保のたなか内科クリニックでは、男性骨粗鬆症の診断・治療・定期フォローを内科外来で実施しています。二次性骨粗鬆症の鑑別から、適切な薬の処方、日々の運動や生活習慣のアドバイスまで丁寧にサポートいたします。「背中が丸くなってきた」「最近身長が縮んだ気がする」「ステロイド薬を長く飲んでいるので骨が心配」という方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。