• 2026年10月1日

過敏性腸症候群(IBS)と低FODMAP食〜つらい腹痛・下痢・便秘を改善する食事療法〜

こんにちは。

明石市のJR大久保駅北口すぐ、たなか内科クリニック院長の田中敏雄です。

「検査をしても異常がないと言われたのに、お腹の調子がいつも悪い」

「急な腹痛や下痢に襲われるのが怖くて、外出や仕事に集中できない」

「便秘と下痢を何度も繰り返す」

このようなお悩みを抱えていませんか?

大腸や小腸といった臓器そのものには異常がないにもかかわらず、慢性的なお腹の不調が続く病気を「過敏性腸症候群(IBS)」と呼びます。日本人の約10〜15%が該当するとされており、特に若い世代やストレスの多い方に非常に多く見られる疾患です。

近年、このIBSの症状改善に大きな効果があるとして「低FODMAP(フォドマップ)食」という食事療法が世界的に注目されています。今回は、IBSの基礎知識と低FODMAP食についてわかりやすく解説します。

■ 過敏性腸症候群(IBS)の症状と診断

主な症状のタイプ

IBSの主な症状は「腹痛または腹部不快感」と「排便のリズムや便の形の変化」です。大きく以下の3つのタイプに分かれます。

  • 下痢型:食後すぐに強い便意をもよおしたり水様便が出たりするタイプ。ストレスで悪化しやすいのが特徴です。
  • 便秘型:コロコロとした硬い便が出にくく、残便感が残るタイプです。
  • 混合型:下痢と便秘を交互に繰り返します。

診断について

IBSの診断には「ローマIV基準」という国際的な基準が用いられます。簡単に言うと、「過去3か月間、月に3日以上繰り返し腹痛が起こり、排便によって症状が軽くなる、または便の回数や形が変わる」といった条件を満たし、かつ大腸がんや炎症性腸疾患などの他の重大な病気が隠れていないことを確認した上で診断されます。

原因は?

腸の過敏性が高まる原因は完全に解明されていませんが、腸と脳が互いに影響し合う仕組み(脳腸相関)の異常や、腸内細菌の変化、そして心理的なストレスや不安・緊張が深く関わっていることが分かっています。

■ 注目の食事法「FODMAP(フォドマップ)」とは?

最近よく耳にする「FODMAP(フォドマップ)」とは、小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい特定の糖質・糖アルコールの総称です。

これらは健康な方にとっては問題ありませんが、腸が敏感になっているIBSの患者様が摂ると、腸管内に水分を引き込んだり、腸内細菌によって急速に発酵されて大量のガスを発生させたりするため、激しい腹痛・お腹の張り・下痢・便秘を引き起こす原因になります。

身近な高FODMAP食品と低FODMAP食品の例

高FODMAP食品(避けたほうがよいもの):

玉ねぎ、にんにく、小麦製品(パンやパスタ)、リンゴ、桃、牛乳、ヨーグルト、豆類、キャベツなど

低FODMAP食品(おすすめのもの):

米、じゃがいも、にんじん、なす、バナナ、みかん、いちご、豆腐、卵、肉、魚、乳糖除去乳製品など

■ 低FODMAP食の実践方法と大切な注意点

低FODMAP食は、以下の3つのステップで進めていきます。

  1. 除去期(2〜6週間):高FODMAPに分類される食品を一度すべて控え、お腹の調子が改善するかどうかを確認します。
  2. 再導入期:高FODMAP食品を1種類ずつ少量から試していき、「どの食品が自分の体に合わないか(症状を誘発するか)」を慎重に特定します。
  3. パーソナライズ期:自分が耐えられる食品と量を把握し、必要最小限の制限に抑えながら食生活を続けます。

注意していただきたいこと

低FODMAP食はIBS患者様の約70%に効果があるとされていますが、すべての人に同じように効くわけではありません。また、長期間にわたって厳格な除去を続けると、腸内細菌の多様性が損なわれる恐れがあります。できれば医師や管理栄養士の指導のもとで行うのが理想的です。

IBSの治療は食事の工夫だけでなく、整腸剤や消化管運動改善薬などによる薬物療法、ストレス管理、規則正しい生活習慣を組み合わせて総合的に行っていきます。

■ 注意すべき「危険なサイン」

「いつものお腹の張りや腹痛だろう」と自己判断している中に、実は別の病気が隠れていることもあります。

特に以下のような症状がある場合は、IBSと決めつけず、速やかに消化器内科を受診して検査を受けてください。

  • 強い腹痛が続く
  • 短期間での目立った体重減少がある
  • 便に血が混じる(血便・タール便)
  • 夜間に腹痛で目が覚める

■ おわりに:一人で悩まずご相談ください

過敏性腸症候群は、日常生活や仕事のパフォーマンスを大きく下げてしまうつらい疾患ですが、適切な食事療法や治療によって十分に症状をコントロールすることが可能です。

「お腹の調子がいつも悪くて不安」「市販薬を飲んでもなかなかよくならない」という方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

大腸などの重篤な病気が隠れていないかをしっかりと検査した上で、あなたに合った最適な治療法をご提案いたします。

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