• 2025年9月19日

お酒で顔が赤くなる方へ。それ、がんや生活習慣病のサインかもしれません。

皆さん、こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐの、たなか内科クリニックです。

お酒を飲むと、すぐに顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、頭が痛くなったり…。
「自分はお酒に弱い体質だから」と、いつものこととして片付けていませんか?

実はその反応、あなたの体が発している重要な健康上のサインかもしれません。今回は、お酒で顔が赤くなる理由と、その体質の方が特に知っておくべき健康リスクについてお伝えします。


なぜ顔が赤くなるの?そのメカニズム

お酒の主成分であるアルコール(エタノール)は、体内で次のように分解されます。

  1. アルコール → アセトアルデヒド(有毒)
  2. アセトアルデヒド → 酢酸(無害)

顔が赤くなる原因は、この分解過程の途中で生まれるアセトアルデヒド」という有毒な物質にあります。このアセトアルデヒドを無害な酢酸に分解するのが「ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)」という酵素です。

日本人の約4割は、遺伝的にこのALDH2の働きが弱いか、全く持っていません。そのため、アセトアルデヒドが体内に長時間とどまり、血管を拡張させて顔が赤くなる「フラッシング反応」や、吐き気、動悸などの不快な症状を引き起こすのです。


知っておくべき2大リスク:「がん」と「生活習慣病」

問題なのは、このアセトアルデヒドが単に不快な症状を引き起こすだけではない、という点です。

リスク①:がん(特に食道がん)

アセトアルデヒドは、WHO(世界保健機関)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)によって、タバコやアスベストと同じ「グループ1:明らかな発がん性物質」に分類されています。

この発がん物質が体内に長くとどまりやすい「顔が赤くなる体質」の人は、そうでない人と比べてがんのリスクが高まることが数多くの研究でわかっています。

  • 食道がんのリスク:10倍以上
  • その他、胃がん、大腸がんなどのリスクも上昇

さらに、飲酒習慣に喫煙習慣が加わると、リスクは相乗効果で跳ね上がります。顔が赤くなる体質の喫煙・飲酒者は、非喫煙・非飲酒者に比べて食道がんのリスクが数十倍にもなるとの報告もあります。

リスク②:糖尿病などの生活習慣病

顔が赤くなる体質の人は、飲酒による血糖値への影響も受けやすいことがわかっています。ある研究では、1日に1.5合(ビールなら大瓶1.5本)を超える飲酒を続けると、血糖値のコントロールが悪化しやすくなることが示唆されています。飲み過ぎは、糖尿病のリスクを高めることにもつながるのです。


「弱いから大丈夫」は大きな誤解です

「自分はお酒に弱いから、たくさんは飲まない。だから大丈夫」と思っていませんか?

これは残念ながら間違いです。お酒に強い人が大量に飲むことにももちろんリスクはありますが、顔が赤くなる人は「たとえ少量でも、有害なアセトアルデヒドの影響を受けやすい」という点で、むしろ注意が必要です。「弱いからこそリスクが高い」と認識を改めることが大切です。

自分の体を守るために、今日からできること

では、どうすればリスクを減らせるのでしょうか。重要なのは以下の3つです。

1.自分の適量を知り、守る(節酒)

一般的に「適度な飲酒」は、1日あたり日本酒1合程度とされますが、顔が赤くなる人はそれよりも少ない量がご自身の「適量」です。無理に飲むことは絶対にやめましょう。

《日本酒1合(アルコール約20g)の目安》

  • ビール:中瓶1本(500ml)
  • ワイン:グラス2杯弱(240ml)
  • ウイスキー:ダブル1杯(60ml)

2.禁煙を心がける

前述の通り、飲酒と喫煙の組み合わせはリスクを劇的に高めます。ご自身の健康のために、禁煙を強くお勧めします。

3.定期的な検診を受ける

特に食道がんや胃がんは、初期には自覚症状がほとんどありません。症状がないうちから定期的に検査を受けることが、早期発見・早期治療につながります。特に、内視鏡検査(胃カメラ)は、食道の粘膜を直接観察できるため非常に有効です。


不安なときは当院にご相談ください

お酒で顔が赤くなるのは、単なる「体質」で済ませてはいけない、体からの重要なメッセージです。ご自身の体質を正しく理解し、適切な生活習慣を心がけることが、将来の大きな病気を防ぐ第一歩となります。

明石市のJR大久保駅北口にあります、たなか内科クリニックでは、お一人おひとりの健康状態や生活習慣に合わせたアドバイスを行っております。

「お酒との付き合い方を見直したい」
「健康診断の結果が気になる」
「一度、胃カメラを受けてみたい」

など、飲酒習慣に関するお悩みや健康へのご不安があれば、どうぞお一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

※飲酒しているけど大丈夫かな?と思う場合は、一度受診していただき、血液検査と腹部エコー検査のみでもお勧めします。血液検査で肝臓の数値が許容範囲内かどうか、腹部エコーにて脂肪肝がどうか、確認する事は重要と思います。

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