- 2025年1月24日
- 2025年1月30日
胃炎について
1. 胃炎とはどんな状態?
胃炎とは、何らかの原因で胃の粘膜がダメージを受けて炎症が起きる状態を指します。胃は、強い酸や消化酵素に対して自らを守る機能をもっていますが、その防御が弱まると炎症につながりやすいです。
急性胃炎
アルコールや薬の過剰摂取、激しいストレスなどをきっかけに急に症状が現れるタイプの胃炎で、短期間で症状が落ち着く場合が多いものの、症状が重いときには医療機関を受診することが大切です。悪化した場合は出血したり胃潰瘍になることもあります。
慢性胃炎(萎縮性胃炎)
ピロリ菌の持続感染や生活習慣の乱れによって長期的に粘膜に炎症が続く状態で、放置すると胃潰瘍や胃がんのリスクが高まる可能性があります。
2. 胃炎の主な原因
ピロリ菌の感染
幼少期に感染することが多く、長期間にわたり胃の粘膜を刺激して炎症を引き起こす要因。
ストレス・不規則な生活習慣
過度なストレスや夜更かし、早食い、食事の時間が不規則な生活が胃酸分泌のバランスを崩し、胃粘膜を傷つける。
アルコール・タバコ
アルコールは胃の粘膜を直接刺激し、タバコは胃粘膜の血流を低下させるため修復力を落とす。
3. 胃炎の主な症状
胃炎の主な症状には以下のようなものがあります。
・胃部の痛みや不快感 ・胸やけ(胃酸が上がってくる感じ) ・吐き気や嘔吐 ・食欲不振 ・胃もたれや膨満感 |
4. 胃炎の診断方法
胃カメラ(上部内視鏡検査)
- 食道・胃・十二指腸の内部を直接観察。潰瘍やポリープ、粘膜の炎症を調べる。
- 組織を一部採取し、ピロリ菌の有無やがん細胞の有無を確認する場合がある。
血液・便検査、画像検査
- ピロリ菌感染や胃炎に伴う出血(貧血)の有無等をチェックします。
- CTやエコーで他の消化器疾患との鑑別を行うこともあります。
5. 治療方法の選択肢
薬物療法
- 急性の胃炎に対して以下の内服を行う場合があります。
- 慢性の胃炎(萎縮性胃炎)に対しての治療はピロリ菌の除菌治療となります。
プロトンポンプ阻害薬(PPI) | 胃酸の分泌を抑えて粘膜の修復をサポート |
H2ブロッカー | 胃酸の生成を抑制し、痛みや胸焼けを緩和 |
粘膜保護薬 | 粘膜を物理的に保護して、胃酸や酵素から守る |
Hピロリ菌除菌治療 | 抗生物質とPPIを組み合わせ、慢性胃炎の進行を防ぐ |
6. 胃炎が進行した場合のリスク
萎縮性胃炎
胃粘膜が薄くなり、消化機能が低下。ピロリ菌が長期的に存在すると胃炎が進行します。
胃炎の進行と共に胃潰瘍や胃がんの発生リスクも高まります。
7. 胃炎を予防・再発を防ぐために
ピロリ菌除菌
- 感染が確認された場合は除菌治療で炎症を抑え、将来的なリスクを低減できます。
規則正しい生活習慣
- アルコールやタバコを可能な限り控え、バランスの良い食生活を続ける
- 適度な運動や十分な睡眠で胃の防御力をサポート
定期検査の受診
- 特にピロリ菌感染があった方や胃炎の症状が続く方は、年に一度の内視鏡検査が望ましい
- 胃がんの家族歴がある場合も、早めの受診・検診が推奨される
胃炎は、急性から慢性まで症状や原因が多岐にわたる疾患です。初期のうちは日常生活の工夫だけで改善が見られることもありますが、長引く場合は放置せず検査や治療を受けることが大切。ピロリ菌除菌や生活習慣の見直しを進めながら、再発や進行を防ぎ、胃の健康を守りましょう。