• 2025年11月14日

医師が教える水分補給の極意:脱水と「水中毒」を防ぎ、腸を整える最適な飲み方

健康維持の基本中の基本である「水分補給」。積極的に水を飲むことが推奨されていますが、闇雲に量を増やしたり、飲み物の種類を間違えたりすると、かえって体に負担をかける可能性があります。

今回は、消化器内科の医師の知見に基づき、成人に最適な水分摂取量の目安と、体調を崩した時や検査前に気を付けるべき水分摂取のポイントについてお伝えいたします。


1.知っておきたい!成人に必要な水分量と内訳

1日の目標摂取量

一般的に、成人に必要な1日の水分量は体重1kgあたり約40mlとされます。例えば、体重50kgの方であれば、約2Lが必要量の目安です。

ただし、水分は飲み物からだけでなく、食事からも摂取できます。1日3食をしっかり摂っていれば、食事から約1Lの水分が賄われると言われています。

そのため、飲み物として補給すべき量は、残りの約1L〜1.5Lを目安にすると良いでしょう。食事で摂れる水分量を考慮せずに飲みすぎると、過剰摂取になる可能性があるため注意が必要です。

腸活の「朝のルーティン」

一般的に、腸の健康(腸活)を意識する場合は、水やノンカフェインのお茶を基本に、1日1L以上を飲むことを推奨しています。

特に朝のルーティンとして、レモン水が推奨されています。レモン水には胃酸の分泌を促し、消化・吸収の効率を高める効果が期待できます。コップ1杯の水にレモン果汁1/8カット分を入れるのが目安です。

また、ホットのブラックコーヒーも、ポリフェノールを含み、カフェインの刺激で腸の動きを活発にするため、体質に合えば腸活中にもおすすめされています。


2. 水分補給のコツと「摂りすぎ」のサイン

上手な水分補給のポイント

大切なのは、自分に必要な水分量を知り、過不足なく補給することです。

  • 少量ずつこまめに飲む:水分を効果的に吸収するためには、少量の水を1日に数回に分けて飲むことがポイントです。「喉の渇き」は脱水のサインの一つなので、喉が渇く前からこまめに水分補給を心がけましょう。
  • ノンカフェイン・無糖を選ぶ:水分摂取には、水や麦茶を選びましょう。カフェインやアルコールには利尿作用があり、特にアルコールは体内の水分を排出してしまうため、水分補給にはなりません。
  • 温度に注意:水分補給は習慣化が大切ですが、胃腸の調子が悪い時や冷えを嫌がる方には、冷たい飲み物は胃腸を刺激することがあるため、常温か温かいものを選ぶと良いでしょう。

危険な水分過剰摂取(水中毒)

真水(塩分などを含まない水)を1時間に1L以上飲むような過剰摂取は控えましょう。腎臓の処理能力を超えて真水を飲むと、体内のナトリウム濃度が低下し、疲労感、だるさ、さらにはむくみ、頭痛、めまいを引き起こす「水中毒」のリスクがあります。重症化すると、けいれんや意識障害に至るケースもあるため注意が必要です。

高齢者の水分補給:誤嚥と電解質

高齢者は体液量が少なく、喉の渇きを感じにくい特徴があるため、脱水症状や熱中症を起こしやすく特に注意が必要です。

  • 電解質補給の意識:汗をかくなどして体液(水と塩分)を失った際には、水やお茶だけでなく電解質(塩分)の補給も必要です。
  • 誤嚥対策:嚥下機能が低下している方には、誤嚥リスクを避けるためにゼリータイプの飲料などがおすすめです。

3. 水分補給では解決しない消化器の不調と早期発見

食生活や水分補給に気をつけているにもかかわらず、「胃もたれが続く」、「食後にお腹が張る」、「長引く下痢や便秘」 といった症状が続く場合は、消化器系の病気が隠れている可能性があります。

これらの症状は、日常生活に支障をきたす過敏性腸症候群(IBS) や、胃カメラ検査で異常が見つからない機能性ディスペプシア(FD)、あるいは胃炎 や逆流性食道炎 の可能性があります。

さらに、胃がん や大腸がん、食道がん などの重篤な疾患は、初期症状が乏しいため、長引く不調を「年のせい」「体質のせい」と放置することは大変危険です。

健康診断の「要再検査」を放置していませんか?

健康診断で「要再検査」「要精密検査」の指摘を受けた場合、放置せずに精密検査を受けることが、病気の早期発見・早期治療に繋がります。

特に、血便や下血、便潜血陽性 の指摘があった場合は、大腸カメラによる精密検査を速やかに受ける必要があります。

たなか内科クリニックは、胃がん・大腸がんの撲滅を目指し、胃カメラ・大腸カメラ検査に力を入れています。

  • 苦痛の軽減:検査への不安や苦痛を軽減するため、鎮静剤の使用 や経鼻内視鏡 を選択いただけます。
  • 負担の軽減:胃カメラと大腸カメラの同日検査が可能であり、一度の来院で両方の検査を終えることができるため、お忙しい方におすすめです。
  • 大腸カメラの前処置:前処置用の下剤は、患者様の状況に応じて2剤から選択でき、飲みやすさを考慮したコンパクトな480mlタイプ(レモン風味)も導入しています。

長引くお腹の不調や健診結果についてご不安がある方は、明石市大久保駅すぐのたなか内科クリニックまでお気軽にご相談ください

※異常に喉が渇いて水分摂取が多くなる場合には、糖尿病が隠れている場合があります。決して放置せずに、おかしいなと思ったら一度医療機関受診をお願いします。

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