- 2026年1月6日
「びらん性胃炎」とは?胃がんとの違いや、治りにくい胃の不調(機能性ディスペプシア)について

「胃がキリキリ痛む」
「食後に胃がもたれて苦しい」
こうした胃の不調を感じたとき、多くの方が「胃炎かな?」と考えると思います。
しかし、一言で「胃の不調」といっても、内視鏡(胃カメラ)で見てみると、「粘膜がただれているケース(びらん性胃炎)」と、「きれいなのに不調が続くケース(機能性ディスペプシア)」の2つに大きく分かれます。さらに、その中には「胃がん」が隠れていることも…。
今回は、よくある診断名である「びらん性胃炎」の正体と、見逃してはいけない他の病気との違いについて解説します。
1.「びらん性胃炎」とは?

「びらん」とは、皮膚でいうところの「すり傷」や「ただれ」のことです。
つまりびらん性胃炎とは、胃の粘膜の表面が炎症を起こし、浅くえぐれてしまっている状態を指します。
主な原因
日常生活の中に原因が潜んでいることが多いです。
- 痛み止め薬(NSAIDs): ロキソニンなどの鎮痛剤は、胃の粘膜を荒らす副作用があります。
- アルコール・刺激物: 過度な飲酒や激辛料理などは、直接粘膜を傷つけます。
- ストレス: 自律神経が乱れ、防御機能が低下したり胃酸過多になったりします。
放置するとどうなる?
軽度であれば薬や生活改善で治りますが、悪化すると出血して「黒い便(タール便)」が出たり、深い傷である「胃潰瘍」に進行したりすることがあります。
2.要注意!「びらん性胃炎」と「胃がん」の違い

私たちが検査をおすすめする最大の理由がここにあります。
実は、「びらん性胃炎」と「初期の胃がん(早期胃がん)」は、見た目が非常によく似ています。
- びらん性胃炎: 炎症による粘膜のただれ
- 早期胃がん: がん細胞による粘膜の崩れ
これらはX線検査(バリウム)などでは区別がつかないことが多く、胃カメラで直接観察し、疑わしい場合は組織を採取して顕微鏡で調べる(生検)まで、確定診断ができないことがあります。
「ただの胃炎だと思っていたら、実はがんだった」という事態を防ぐためにも、自己判断は禁物です。
3.カメラで異常なしと言われたら?「機能性ディスペプシア」

一方で、胃痛や胃もたれがあるのに、胃カメラ検査をすると「きれいですね」「異常ありません」と言われることがあります。
「こんなにつらいのに異常なし?」と不安になるかもしれませんが、これは「機能性ディスペプシア(FD)」という病気の可能性があります。
機能性ディスペプシアとは?

以前は「神経性胃炎」や「ストレス性胃炎」と呼ばれていたものです。
- びらん性胃炎: 胃の粘膜に「傷(炎症)」がある状態。
- 機能性ディスペプシア: 粘膜はきれいだが、胃の「動き」や「感覚」が敏感になりすぎている状態。
胃が動かずに食べ物が溜まってしまったり(運動機能異常)、少しの胃酸で痛みを感じてしまったり(知覚過敏)することが原因です。これも立派な病気であり、適切な治療を行えば症状を改善できます。
まとめ:まずは「胃カメラ」で正体を見極めましょう

胃の不調といっても、以下の3つの可能性が考えられます。
- びらん性胃炎: 粘膜がただれている(薬や生活習慣が原因)。
- 胃がん: びらん性胃炎に似ているが、命に関わる病気。
- 機能性ディスペプシア: 見た目はきれいだが、胃の機能が低下している。
これらを見分け、正しい治療を行うための第一歩は「胃カメラ(内視鏡検査)」です。
「薬を飲んでもスッキリしない」「痛みを繰り返している」という方は、一度クリニックで胃の状態をチェックしてみましょう。