• 2026年1月7日

【消化器内科医が警告】トイレでの「スマホ」が命取り?

「いぼ痔」と「隠れた病気」のリスク管理

「トイレに入ると、ついついスマホを見て長居してしまう」

「動画を見たりSNSをチェックしたりして、気づけば10分以上経っていた…」

消化器内科の外来でも、こうした習慣をお持ちの患者様は非常に多いです。しかし、内科医として警鐘を鳴らしたいのは、その習慣が「いぼ痔(内痔核)」を悪化させるだけでなく、もっと重大な病気のサインを見逃す原因になりかねないということです。

今回は、トイレでのスマホ習慣が引き起こすリスクと、消化器内科医だからこそ伝えたい「痔と大腸がんの境界線」についてお伝えいたします。


1.なぜ「トイレスマホ」がいけないのか?内科的メカニズム

トイレでスマホを見ながら長時間座り続けること。これは、肛門周囲の血管に常に高い圧力をかけ続ける行為です。

  • うっ血による「いぼ」の形成: 肛門周辺には静脈が集まっており、座りっぱなしでいきむと血流が滞り(うっ血)、血管がこぶ状に腫れ上がります。これが「内痔核(いぼ痔)」です。
  • 「5分ルール」の徹底を: 消化器内科の観点からは、排便は「5分以内」で済ませることを推奨します。便意がないのに無理に座り続けることは避け、腸の蠕動(ぜんどう)運動に合わせて自然に排泄するリズムを整えることが重要です。

2. 「痛くないから大丈夫」は危険!進行の4段階

内痔核の厄介な点は、初期には「痛みがない」ことです。痛覚のない粘膜部分にできるため、気づかないうちに進行します(ゴリガー分類)。

第1段階排便時に出血するが、いぼは外に出ない。(自覚症状なし)
第2段階排便時にいぼが出るが、自然に戻る。
第3段階排便時にいぼが出て、指で押し込まないと戻らない。
第4段階いぼが出っぱなしになり、戻らなくなる。

消化器内科としては、第1〜2段階のうちに、生活習慣の改善や薬物療法で食い止めることが理想的です。


3.大腸カメラで見つかる「痔」の落とし穴

ここが、私たち消化器内科医が最も強調したいポイントです。

企業の健康診断やドックで大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受け、「がんはなかったけど、痔がありましたね」と言われた経験はありませんか?

ここで「がんじゃなくてよかった!」と安心して、痔を放置してしまう方が非常に多いのです。

消化器内科医は大腸がんを見つけるプロフェッショナルですが、検査の主目的が「がんの除外」であるため、痔に関しては「良性なので様子を見ましょう」となりがちです。しかし、放置すれば痔は悪化し、将来的に手術が必要になることもあります。

「痔がある」と指摘されたら、それは「排便習慣や腸内環境を見直すべきサイン」と捉えてください。


4. 「血便=痔」という自己判断が一番怖い

最後に、最も恐ろしいリスクについてお伝えします。それは「トイレで血が出たけれど、スマホも見てるし、どうせ痔だろう」と自己判断してしまうことです。

痔の出血だと思っていたら、実は「直腸がん」や「大腸がん」だったというケースは、残念ながら珍しくありません。また、この区別は内視鏡検査でしかつきません。

  • 痔の出血: 排便時にポタポタ落ちる、紙につく鮮やかな赤色が多い。
  • がんの出血: 便に混じっている、赤黒い、粘液が混じるなど(見分けがつかないことも多い)。

まとめ:お尻の悩みも「消化器内科」へ

トイレでの長居をやめ、スマホを持ち込まないことは、今日からできる「痔の予防」です。

そして、もし出血や違和感がある場合は、「恥ずかしい」と思わず、消化器内科を受診してください。お尻の健康は、全身の健康のバロメーターです。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

痔は軽度であれば、経過観察となりますが、便秘が続くと悪化する場合があります。
便通調整を行っていれば問題ありませんが、生活に支障がでる痔については肛門科にて治療をお勧めする場合もあります。

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