- 2025年1月28日
- 2025年1月30日
虚血性大腸炎とは:大腸の血流低下による炎症性疾患
1.虚血性大腸炎とは
虚血性大腸炎は、大腸への血液の流れが一時的に低下することで発生する病気です。この血流不足によって大腸の内壁に炎症や潰瘍ができ、腹痛や血便といった症状を引き起こします。特に中高年に多く見られ、軽症なら自然に治ることもありますが、重症化すると手術が必要になる場合もあります。動脈硬化や血管が狭くなる疾患を持つ方は注意が必要です。
2.虚血性大腸炎の原因
虚血性大腸炎は、主に血液の流れが悪くなることが原因です。動脈硬化や血栓が血管を詰まらせることで、大腸への血液供給が不足します。また、便秘で腸内圧が上がることや、高齢や脱水状態、糖尿病などで血管の機能が低下することもリスクを高めます。
虚血性大腸炎と似た名前の「虚血性腸炎」は、小腸を含む広範囲に炎症が及ぶ疾患で、こちらの方が重症化しやすい特徴があります。
3.虚血性大腸炎の主な症状
虚血性大腸炎の症状は、主に突然の腹痛と血便です。腹痛は左下腹部に起こることが多く、腸の炎症や出血によって便に血が混ざることがあります。血便の色は鮮やかな赤の場合もあれば、炎症の場所によっては暗い赤になることもあります。また、炎症によって下痢と便秘が交互に起こることがあります。
4.虚血性大腸炎の診断方法
診断には問診や血液検査を行い、炎症の程度や血液の異常を確認します。CT検査で大腸の腫れや炎症の範囲を調べ、他の病気との違いを確認します。さらに、大腸カメラ(内視鏡検査)を使って腸の内部を直接観察し、潰瘍や出血箇所の状態を詳しく確認します。
5.虚血性大腸炎の治療方法
軽症の場合は、腸を休ませることが治療の基本です。絶食や低残渣食(水分が少なく腸に負担をかけない食事)を取り入れ、必要に応じて点滴で栄養や水分を補給します。感染が疑われる場合は抗生物質を投与する場合もありますが、重症化すると、大腸が壊死したり大量出血が続いたりする場合があり、その際は手術で大腸の一部を切除することが検討されます。
術後は腸への負担を減らすために、食事や生活習慣の改善が重要です。アルコールや刺激物は腸に負担をかけるため、控えめにしましょう。また、ストレスは血流を悪くし、消化機能を乱します。リラクゼーションや適度な運動で心身をリフレッシュしましょう。健康的な日常を維持するため、異常を感じたら早めに医療機関を受診してください。
虚血性大腸炎は血流不足による一時的な腸の炎症で、軽症なら生活習慣の改善や内科的治療で回復が期待できます。ただし、重症化すると手術が必要になるため、早期発見と適切な対応が重要です。便秘や基礎疾患の管理を徹底し、腸への負担を減らす生活を心がけることで、再発や合併症のリスクを抑えることができます。健康的な日常を維持するため、異常を感じたら早めに医療機関を受診してください。
※中年以上の方で血便を認める場合、腹痛が無ければ憩室出血、腹痛あれば虚血性腸炎と診断しても良いほどの頻度で認める病気です。
炎症が強くCTで診断した場合は、すぐに大腸カメラを行わない場合もありますが、その場合でも他の病気が隠れていないか炎症が良くなってからの大腸カメラ検査をお勧めしています。