- 2026年9月25日
大腸がんの初期症状と気づきにくいサイン|便の変化・腹痛・血便を見逃すな

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ、たなか内科クリニック院長の田中敏雄です。
「少し血が混じっていたけど、痔だと思って様子をみていた」
大腸がんを見逃してしまう最も多いパターンがこれです。血便は痔でも起こりますが、大腸がんでも同じように現れます。自分で判断することは非常に難しく、「痔だから大丈夫」という思い込みが、がんの発見を遅らせてしまうことがあります。本記事では、大腸がんの初期症状・見逃されやすいサイン・部位による違い・早期発見のための検査について、内科医の立場からわかりやすく解説します。
■大腸がんの初期症状:見逃されやすい3つのサイン

血便・便潜血(痔と間違いやすい)
大腸がんの初期症状として最も重要なのが血便です。鮮やかな赤い血が便に混じる・便に血が付着する・トイレットペーパーに血がつく——いずれも「痔」と自己判断されやすいサインです。
しかし、大腸がんでも同様の出血が起きます。特に肛門に近い直腸・S状結腸にできたがんは、鮮血便として現れることが多く、痔との区別が困難です。
便潜血検査
(健診で行う検便)は、目に見えない微量の血液を検出するもので、大腸がんのスクリーニングに有効です。陽性と言われたら、必ず大腸カメラで精密検査を受けてください。
便の形の変化(細い・扁平)
大腸に腫瘍ができると、腸の内腔(通路)が狭くなるため、通過する便の形が変わります。
- 細い便(鉛筆のように細い):腸が狭くなっているサイン
- 扁平な便・リボン状の便:腸内に何かが押しつぶしている可能性
- 便が出にくい・残便感が強い:腸の通過障害のサイン
重要ポイント
「便が細くなった」という変化を「体質だから」と放置しないでください。数週間以上続く場合は受診が必要です。
排便習慣の変化(下痢・便秘の繰り返し)
これまで規則的だった排便リズムが崩れ、下痢と便秘が交互に繰り返されるようになった場合も要注意です。大腸がんが腸の動きや水分吸収を変化させることで、このような排便異常が起きることがあります。「最近お腹の調子が安定しない」という方は、消化器内科への相談をおすすめします。
■進行すると現れる症状

初期症状を見逃すと、がんが進行するにつれてより明確な症状が現れてきます。
持続する腹痛
腸が狭くなることで腸の動きが妨げられ、ガスや便が通過しにくくなると腹痛が起きます。特に食後に腹痛が増強する場合は注意が必要です。
貧血・だるさ(慢性出血による)
大腸がんからの出血が長期間続くと、ゆっくりと貧血が進行します。この出血は目に見えないことが多く(便潜血)、「最近なんとなくだるい」「疲れやすくなった」「顔色が悪いと言われる」という形で現れます。慢性的な貧血は鉄欠乏性貧血として血液検査で発見されることもあります。
体重減少
がんが進行すると、食欲低下・栄養吸収の障害・がんによる代謝変化により体重が落ちていきます。理由のない体重減少は必ず医師に相談してください。
腸閉塞(腹部膨満・嘔吐)
がんが大腸の内腔をほぼ塞いでしまうと、腸閉塞(イレウス)が起きます。お腹がパンパンに膨らむ・嘔吐が止まらない・全く排便できない——これらは緊急状態であり、救急受診が必要です。
■大腸がんは部位によって症状が違う

大腸は右側(盲腸・上行結腸・横行結腸)と左側(下行結腸・S状結腸・直腸)に大きく分けられ、がんができる部位によって現れる症状が異なります。
右側大腸がん:貧血・だるさが主体
右側の大腸は内腔が広く、腸の内容物もまだ液状に近いため、腫瘍が大きくなっても便の通過障害が起きにくいです。そのため血便として気づかれにくく、慢性的な出血による貧血・だるさ・疲労感が主な症状となります。健診の血液検査で貧血を指摘されて大腸がんが発覚するケースも少なくありません。
左側・S状結腸・直腸がん:血便・便の変化が出やすい
左側の大腸は内腔が狭く、腸の内容物も固まった状態のため、腫瘍の影響を受けやすくなります。血便・便が細くなる・排便習慣の変化などの症状が出やすく、比較的早期に気づかれる可能性があります。一方で「痔だから」と見過ごされやすい部位でもあります。
■「痔だから大丈夫」は危険
痔は非常に多い病気であり、血便の原因として最も多いのは確かです。しかし痔と大腸がんを自分で区別することはできません。
痔の出血は主に排便時・排便直後の鮮血が多いですが、大腸がんも同様の出血をすることがあります。また、痔と大腸がんが同時に存在することもあります。
重要ポイント
血便が出たとき、「痔だから」と自己判断して様子を見るのは最も避けるべき行動です。血便・便潜血陽性があれば、必ず大腸カメラによる精密検査を受けてください。
大腸がんは早期発見できれば治癒率が非常に高いがんです。発見が遅れることで治療の選択肢が狭まってしまいます。
■早期発見のために:大腸カメラの重要性

ポリープの段階で切除できれば予防に
大腸がんの多くは、良性のポリープ(腺腫)が長年かけてがん化したものです。大腸カメラ(大腸内視鏡検査)でポリープを発見し、その場で切除することで、がんになる前に予防することができます。これは大腸カメラ最大のメリットです。
40代から定期検査を推奨
大腸がんのリスクは40代から徐々に高まり、60〜70代でピークを迎えます。40歳を過ぎたら、症状がなくても1〜3年に1回の大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。また、以下の方はより早期・高頻度の検査が推奨されます。
- 家族(親・兄弟)に大腸がん・大腸ポリープの既往がある方
- 過去に大腸ポリープを切除したことがある方
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)を患っている方
- 健診の便潜血検査で陽性だった方
当院では大腸カメラ検査の必要性の判断・紹介状の作成を行っています。「血便が出た」「便潜血検査で陽性だった」「便の様子がおかしい」とお感じの方は、まず当院へご相談ください。
■さいごに

「たかが血便、たかが便秘」と思わず、体からのサインを見逃さないことが大切です。大腸がんは早期発見できれば多くの場合で完治が期待できます。気になる症状がある方、健診で便潜血陽性と言われた方は、ぜひお早めに当院にご相談ください。