- 2025年1月27日
- 2025年1月30日
胃潰瘍
1.胃潰瘍とは
胃潰瘍は、胃酸や消化酵素が過剰に分泌されることで胃粘膜が損傷し、炎症が進行して潰瘍が形成される病気です。以下の要因が主な原因として挙げられます。
ピロリ菌感染
胃粘膜に感染する細菌で、慢性的な炎症を引き起こします。幼少期に家庭内で感染することが多いとされています。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用
頭痛や関節痛の治療に用いられる薬剤が、胃粘膜の防御機能を低下させる場合があります。特に高齢者や慢性疾患を持つ方では注意が必要です。(代表的な内服はロキソプロフェン)
ストレスや生活習慣
長期的なストレス、不規則な生活、喫煙、過剰な飲酒などが胃粘膜にダメージを与え、胃潰瘍のリスクを高めます。
胃がん
胃がんの一部では潰瘍を伴う場合があります。
2.消化性潰瘍とは
消化性潰瘍は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍を含む広義の疾患を指します。
胃潰瘍 | 食事による胃酸分泌の増加で潰瘍部位が刺激され、食後に痛みが悪化する傾向があります。 |
十二指腸潰瘍 | 空腹時に痛みが強まり、食事を摂ると症状が和らぐことが一般的です。 |
3.胃潰瘍患者の生活への影響
胃潰瘍の症状は、食欲不振や慢性的な不快感を引き起こし、日常生活に大きな影響を及ぼします。
- 食事制限が必要となり、脂肪分の多い料理や酸味の強い食材を避けなければならない場合があります。
- 症状が進行すると、食事の量が減少し体重減少や栄養不足を招くことがあります。
- 痛みや不調が続くと、患者の生活の質が大幅に低下します。
4.胃潰瘍の症状と診断方法
初期症状
- 軽度の腹部不快感やみぞおちの痛み
- 食後の胃もたれや膨満感
- 軽い吐き気
これらの症状が進行すると、痛みが激しくなり、吐血や黒色便(タール便)といった消化管出血の兆候が見られる場合があります。
さらには潰瘍が深くなることで穿孔(胃や十二指腸に穴が開く)を起こす場合があります。
5.診断方法
内視鏡検査(胃カメラ)
潰瘍の部位、深さ、広がりを確認し、必要に応じて組織の一部を採取して検査を行います。
胃がんに伴う潰瘍かどうかを組織検査で診断いたします。
血液検査
ヘモグロビン値(貧血の有無)やピロリ菌抗体の有無、炎症の程度を評価します。
6.治療方法と再発予防
薬物療法
プロトンポンプ阻害薬(PPI)or Pcab | 胃酸分泌を抑えて潰瘍の回復を促します。 |
H2受容体拮抗薬 | 軽度の場合に使用され、胃酸の分泌を抑えます。 |
胃粘膜保護薬 | 粘膜をコーティングし、刺激を防ぎます。 |
抗生物質+PPI or Pcab | ピロリ菌感染が確認された場合、除菌療法を行います。 |
外科的治療
薬物療法で改善が見られない場合や、胃カメラにて出血が止められない場合、穿孔がある場合には手術を検討します。手術には、胃の一部を切除する方法や十二指腸穿孔の場合は腹膜の一部で穿孔部を覆う手術を行う場合があります。
再発予防
- ピロリ菌感染の除菌治療
- 刺激物の摂取を控えた食生活の実践
- ストレス管理や規則正しい生活リズムの維持
7.胃潰瘍を予防する生活習慣
ストレス管理
- 深呼吸やヨガ、瞑想を取り入れる
- 適度な運動や趣味で気分転換を図る
- 十分な睡眠をとる
胃に優しい食事
- おかゆや蒸し野菜など消化の良い食材を選ぶ
- 刺激物(香辛料、カフェイン)や高脂肪食品、アルコールを控える
- 食事の量を適切に調整し、空腹時間を極力短くする
アルコール・喫煙の影響
アルコールや喫煙は胃粘膜にダメージを与え、胃潰瘍を悪化させる要因になります。禁煙や節酒は予防策として非常に効果的です。
胃潰瘍は、適切な治療と生活習慣の見直しにより改善が可能な疾患です。早期発見のためには定期的な内視鏡検査が重要です。日頃から胃に優しい生活を心がけ、健康な胃を保つための予防策を実践しましょう。
特にロキソプロフェン等を長期で服用される場合は注意が必要です。胃部症状を認める場合は早めに処方医に相談しましょう。
胃潰瘍の一部で胃がんを伴っていることがありますので、必ず胃潰瘍が治ったかどうか、
胃カメラでの再検査をお勧めします。