• 2025年1月28日
  • 2025年1月30日

胃ポリープ

胃ポリープとは

胃ポリープは、胃の内側を覆う粘膜から突起状に発生する良性の隆起性病変です。ほとんどの場合は無害ですが、中には悪性化の可能性があるものも存在するため、適切な診断や継続的な観察が重要となります。

胃酸分泌の異常が原因で胃粘膜のバリア機能が崩れるとポリープが形成されやすくなります。過度な飲食や早食い、不規則な食事時間、喫煙、過度のストレス、アルコールの多量摂取など、食生活や生活習慣の乱れも胃に負担をかけてポリープの形成を助長します。また、ピロリ菌感染は過形成性ポリープと深く関連しており、胃粘膜の炎症を引き起こし細胞増殖を促進しますが、除菌を行うことでポリープが消失または縮小する場合もあります。

胃ポリープの種類

胃ポリープには多様な種類があり、それぞれリスクや治療方針が異なります。

過形成性ポリープ

背景に慢性胃炎やピロリ菌感染があることが多く、大型化すると出血や悪性化リスクが高まります。ピロリ菌除菌により縮小・消失する場合があります。基本的に悪性化リスクは低いものの、大型化した場合は注意が必要です。

腺腫性ポリープ

発生頻度は少ないものの、悪性化しやすいため特に注意が必要です。胃がんの前段階と考えられる場合があり、内視鏡による早期切除が推奨されます。悪性化率は10~15%ほどとされます

胃底腺ポリープ

ピロリ菌に感染していない人に多く見られ、最も一般的なタイプです。プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用により増加・拡大する傾向があると報告されています。場合によっては減薬・休薬を検討することがあります。悪性化は極めてまれです。

その他のポリープ

幽門腺ポリープや炎症性ポリープなど多岐にわたり、発生メカニズムや治療方針が異なります。これらの診断には専門医の判断が必要です。

また、遺伝的要因や慢性炎症が関与する多発性ポリープでは、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)などの場合に高い悪性化リスクが伴うことがあります。胃ポリープが発見された場合には、リスクに応じた適切な診断・治療を行うことが重要です。

胃ポリープの治療

内視鏡治療

ポリペクトミー

ポリペクトミー

茎のあるポリープに対して内視鏡からスネアと呼ばれる金属の輪にかけて、高周波の電流を流して焼き切ります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

まず生理食塩水を注入します。次にスネアをかけて通電します。その後、病変を削除します。回収して組織診断を行います。

経過観察の大切さ

  • 小さいポリープや悪性化リスクの低いタイプは、定期的に内視鏡検査を行い、サイズの変化や性質を見極める
  • 必要に応じて、血液検査やピロリ菌の有無を確認することが推奨される

胃ポリープを予防する生活習慣

ピロリ菌対策

ピロリ菌の感染が確認された場合、除菌療法により胃粘膜へのダメージを減らし、ポリープの発生や進行を抑える可能性があります。

胃をいたわる食事

  • 刺激の強い調味料や脂っこい料理は控えめに
  • よく噛んでゆっくり食事をする
  • 1日3食のリズムをなるべく崩さず、暴飲暴食を避ける

ストレス管理

ストレスは自律神経を乱し、胃酸分泌を増やすなど、胃への負担を増大させます。軽い運動や趣味、十分な睡眠を取り入れ、ストレスをこまめに発散しましょう。

禁煙・節酒

タバコや過度の飲酒は胃粘膜を傷つけ、ポリープ形成や消化器疾患のリスクを高めます。できるだけ控えることが望ましいです。

胃ポリープは多くのケースで症状がないまま見つかり、悪性化の可能性が低いタイプも存在します。しかし、種類によってはがん化リスクが高い場合もあるため、内視鏡検査で性質を確認することが大切です。特に腺腫性ポリープや大型化した過形成性ポリープが発見された際には、医師の指示に従って切除や除菌療法などの処置を検討しましょう。定期的な検査と生活習慣の改善を心がけることで、胃の健康を長く保つことができます。

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