• 2025年12月2日

【消化器内科医が警告】「胃がんの自覚症状が出たら手遅れ」は本当か?早期発見の鍵となる胃カメラ検査の重要性

こんにちは。JR大久保駅北口すぐのたなか内科クリニックです。

「胃が痛い」「食欲がない」といった症状が続くと、誰もが「もしかして胃がんでは?」と不安になることでしょう。しかし、インターネット上には「胃がん=自覚症状がない」「症状が出たら進行している」といった情報が溢れており、不安が募るばかりかもしれません。

今回は、胃がんの自覚症状と進行度の関係、そして「手遅れ」になるのを防ぐための方法について、お伝えいたします。


1.早期の胃がんは「無症状」が原則です

まず、胃がんに関する最も重要な事実として、早期の胃がんには、ほとんど自覚症状がありません。

  • 「胃が痛い」「胸焼けがする」などの症状で受診された際、偶然早期がんが見つかることもありますが、それは胃炎や胃潰瘍といった他の病気が併発していたケースがほとんどです。
  • そのため、「症状がないから大丈夫」と自己判断することは、胃がんに関しては非常に危険な行為です。症状に頼らずに、定期的に検査を受けることが、早期発見の唯一の道となります。

2.注意が必要な「進行した胃がん」のサイン

がんが進行し、胃の壁や周囲の組織に広がってくると、以下のような症状が現れることがあります。これらの症状は、病状がある程度進んでいる可能性を示唆します。

  • 食欲不振・体重減少:ダイエットをしていないのに意図せず体重が減る場合は、がんによる全身の消耗や、消化機能の低下が疑われます。
  • みぞおちの痛み・不快感:持続的な痛みや、食事の前後に関わらない不快感。
  • 吐き気・胸焼け:がんが進行し、胃の出入り口が狭くなることで起こりやすくなります。当院では、吐き気や嘔吐の原因についても詳しく診療しています。
  • 黒色便(タール便):胃から出血した血液が胃酸と反応し、便が海苔の佃煮のように黒くなる(タール便)場合は、上部消化管からの出血(胃潰瘍や胃がんなど)が強く疑われます。
  • 貧血:慢性的な出血により、立ちくらみや動悸といった貧血症状が現れることがあります。

3.「症状が出たら手遅れ」なのか?—正確な理解と当院の連携体制

「自覚症状が出たら手遅れ」という言葉は、極端に恐れる必要はありませんが、「早期発見のチャンスを逃してしまった状態」である可能性はあります。

  • 諦める必要はありません:現代医療では、進行がんに対する外科手術や化学療法などの治療法も進化しています。「手遅れだ」と諦めたり、怖がって病院へ行かないことが一番のリスクです。
  • 専門的な医療連携:症状がある場合は、一日も早く受診してください。当院は「かかりつけ医」機能を担っており、必要に応じて専門医師や専門医療機関を迅速にご紹介できる体制を整えています。進行がんや高度な外科治療が必要な場合は、本院であるさいとう内科クリニック(神戸市西区)とも連携を取りながら、最適な治療へとつなげます。

4.唯一の解決策は「胃カメラ(内視鏡検査)」です

胃がんを「手遅れ」になる前に見つけるための唯一にして確実な方法は、定期的な胃カメラ(内視鏡検査)を受けることです。

当院で胃カメラを強く推奨する方

  1. 40歳以上の方:40代以降は胃がんのリスクが増加するため、症状がなくても一度は検査をご検討ください。
  2. ピロリ菌に感染している(または過去に除菌した)方:ピロリ菌は胃がんの最大の原因です。当院では尿素呼気検査によりピロリ菌の検査・除菌に対応しており、除菌後も胃がんリスクはゼロにならないため、定期的な胃カメラ検査による継続的なフォローアップが必須です。
  3. ご家族に胃がんの既往がある方。
  4. みぞおちの不快感、吐き気、体重減少などの症状が続く方。

苦痛の少ない検査へのこだわり

「胃カメラは苦しい」という不安から検査をためらう必要はありません。当院では、患者様に安心して検査を受けていただくため、以下の工夫をしています。

  • 鎮静剤(麻酔)の使用:ご希望の方には鎮静剤(静脈麻酔)を使用し、うとうと眠っているような状態で検査を受けていただけます。これにより、嘔吐反射や苦痛を大幅に軽減できます。
  • 経鼻内視鏡の選択:鼻から挿入する細いカメラも選択可能です。
  • 当日の検査、夕方の検査:当日の胃カメラ検査も可能であり、お仕事帰りなど18時頃まで検査予約が可能です。
  • 胃と大腸の同日検査:ご希望に応じて、胃カメラと大腸カメラを同日に受けていただくことも可能です。

まとめ

「胃がんの自覚症状が出たら手遅れ」という言葉は、「症状が出る前に見つけること」の重要性を強く示唆しています。胃がんは、早期(ステージI)で発見できれば高い確率で完治が期待できる病気です。

ご自身の健康を守るため、40歳を過ぎたら症状がなくても定期的な内視鏡検査をぜひご検討ください。不安や疑問があれば、いつでもお気軽に当院にご相談ください。

たなか内科クリニック 078-935-1181 ホームページ