• 2025年1月28日
  • 2025年1月30日

過敏性腸症候群(IBS)を理解する:症状・原因・対策のポイント

1.過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群(IBS)は、腸の働きが不安定になることで、腹痛や便秘、下痢などの症状が繰り返し現れる病気です。この病気は慢性的で根本的な治療法はありませんが、適切なケアを行うことで症状を和らげることができます。

過敏性腸症候群(IBS)のタイプ

便秘型(IBS-C)硬い便や排便困難が続きます。
下痢型(IBS-D)突然の便意や水様便が頻繁に起こります。
混合型(IBS-M)便秘と下痢が交互に現れます。
分類不能型(IBS-U)便のパターンがはっきりせず、腹痛や不快感が続きます。

IBSには主に4つのタイプがあり、それぞれ異なる症状が見られます。便秘型では硬い便が続き、排便に時間がかかることがあります。一方、下痢型は突然の便意や水様便が特徴で、排便後も不快感が残ることがあります。便秘と下痢が交互に現れる混合型では、症状の変動により日常生活に大きな影響を与える場合があります。また、分類不能型では明確な便通パターンはなくとも、腹痛や不快感が続きます。

過敏性腸症候群の原因

IBSの発症にはいくつかの要因が関わっています。腸と脳が情報をやり取りする「腸脳相関」の機能が乱れることで症状が引き起こされる場合があります。また、腸が普段の活動でも過敏に反応し、痛みや不快感を強く感じることもあります。腸内細菌のバランスが崩れたり、細菌が異常に増殖することで症状が悪化することもあります。ストレスや女性ホルモンの変動も症状を悪化させる要因の一つとされています。

過敏性腸症候群の症状

IBSの症状には、腹痛や便秘、下痢、腹部の不快感などがあります。腸の動きが過度に活発になると、便が腸を早く移動しすぎて水分吸収が不十分になり、下痢を引き起こします。一方で、腸の動きが遅くなると便が硬くなり、便秘や腹部膨満感が生じます。症状は生活の質を低下させることが多く、適切な対応が必要となります。

過敏性腸症候群の診断と検査

IBSを診断する際には、医師が患者の症状や病歴を詳しく確認します。ローマIV基準と呼ばれる診断基準では、少なくとも過去3か月間、週1回以上の腹痛があり、それが排便や便の形状の変化に関連していることを確認します。他の病気との区別をつけるため、大腸カメラ(下部内視鏡検査)や便潜血検査、場合に寄っては胃カメラや腹部CT・エコー検査等も行います。

過敏性腸症候群の治療と対策

IBSの治療では、薬物療法生活習慣の改善が重要です。

  • 腸の収縮を抑える薬や腸内環境を整えるプロバイオティクス(ビオフェルミン等)がよく用いられます。その他、腸の蠕動運動を調整する薬などを用います。
  • 食事の面では、発酵性糖類(高FODMAP食品)を控えることで腹部の膨満感やガスの発生を抑えることができます。また、脂質を控えたバランスの良い食事を心がけることも症状の軽減に効果的です。

過敏性腸症候群の日常生活でのケア

IBSの症状を和らげるためには、生活習慣を見直すことが大切です。食事は規則正しく摂り、消化に優しいものを選びましょう。ストレスは腸に大きな影響を与えるため、リラクゼーションや認知行動療法を取り入れると良いでしょう。軽い運動も腸の働きを整える効果がありますが、激しい運動は逆効果になる場合がありますので注意が必要です。

過敏性腸症候群は、腸と心の密接な関係が大きな鍵を握る病気です。生活習慣やストレス管理を改善しながら、適切な治療を受けることで日常生活を快適に過ごすことができます。もし症状が続く場合は早めに医療機関で相談してください。
※過敏性腸症候群の原因は様々です。ストレスの影響と分かっていても仕事を変えたり生活を変えることが困難な場合も多いと思います。可能な部分から治療を相談していきますのでご安心ください。しかし診断については他の病気(潰瘍性大腸炎やクローン病)を否定する事も重要ですので、一度は検査を受けていただく必要があります。

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