- 2026年6月2日
骨粗鬆症による骨折リスクと予防|骨密度検査から治療まで

こんにちは。明石市のJR大久保駅北口すぐにある「たなか内科クリニック」です。
年齢とともに気になる骨の健康。「つまずいて軽く転んだだけなのに骨折してしまった」「最近、背中が丸くなってきた気がする」とお悩みの方はいらっしゃいませんか。それは「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」が原因かもしれません。今回は、骨粗鬆症による骨折リスクや検査方法、そして骨を強くするための治療や生活習慣について詳しく解説します。
■骨粗鬆症とはどんな病気か|骨折が「いつのまにか」起きる理由

骨粗鬆症とは、骨量(骨密度)の低下と骨質の劣化により骨の強度が弱まり、軽微な外力でも骨折しやすくなる疾患です。WHO(世界保健機関)の定義では、骨密度が若年成人平均値(YAM)の70%未満を骨粗鬆症、70〜80%を骨量減少(骨減少症)と分類します。日本では約1,280万人(女性1,020万人・男性260万人)が骨粗鬆症と推計されています。
骨粗鬆症で特に問題となるのが「脆弱性骨折」です。くしゃみ・軽い転倒・わずかな衝撃で骨折が起こり、背骨(椎体骨折)では自覚症状なく圧迫骨折が起きていることがあるため「いつのまにか骨折」と呼ばれます。椎体骨折は積み重なると背中の丸み(円背)・身長低下・慢性腰背部痛の原因となります。股関節骨折(大腿骨頸部骨折)は最も重篤で、骨折後1年以内の死亡率が約20%に達し、生存者の半数以上が歩行困難・要介護状態になります。骨粗鬆症による骨折はドミノ式に連鎖しやすく、一箇所の骨折が次の骨折リスクを2〜3倍高めます。
■骨密度検査の方法と読み方
骨密度を測定する標準的な方法はDXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)で、腰椎と大腿骨近位部の骨密度を正確に測定します。結果はYAM(若年成人平均値)との比較で示され、YAM 80%以上が正常、70〜80%未満が骨量減少、70%未満が骨粗鬆症です。超音波法(踵骨)は簡易スクリーニングに使われますが、精度はDXA法より低く、診断はDXA法で確定します。骨密度だけでなく「骨質」も重要であり、骨折リスク評価ツール「FRAX®」を用いると骨密度・年齢・骨折歴・飲酒・喫煙などの複合因子から10年間の骨折絶対リスクを算出でき、治療介入の判断に活用されます。骨密度検査を受けるべき対象は以下の通りです。
①閉経後の女性(特に50代以降)
②70歳以上の男性
③ステロイド薬の長期服用者
④低体重(BMI 18.5未満)の方
⑤過去に脆弱性骨折の既往がある方
⑥糖尿病・慢性腎臓病・甲状腺疾患などの基礎疾患がある方
⑦家族に大腿骨骨折の既往がある方
骨粗鬆症の検診は市区町村の特定健診・骨粗鬆症検診として実施されており、多くの自治体で女性に対して節目年齢(40・45・50・55・60・65・70歳)に無料または低額での検診が提供されています。
■骨粗鬆症の薬物療法と治療の進め方

骨粗鬆症の薬物療法は大きく「骨吸収抑制薬」と「骨形成促進薬」に分けられます。骨吸収抑制薬の代表はビスホスホネート製剤(アレンドロン酸・リセドロン酸・ゾレドロン酸など)で、破骨細胞の働きを抑制して骨密度を維持・増加させます。週1回・月1回・年1回など異なる投与間隔の製剤があり、服用方法(起床後・コップ一杯の水で・30分以上横にならない)を守ることが重要です。デノスマブ(注射薬)はRANKL抗体で破骨細胞を抑制し、ビスホスホネートより強力な骨密度増加効果があります。
骨形成促進薬のテリパラチド(副甲状腺ホルモン薬)は骨芽細胞を活性化して骨を「作る」薬で、すでに骨折を起こした重症骨粗鬆症に特に有効です。ロモソズマブ(スクレロスチン抗体注射薬)は骨形成促進と骨吸収抑制の両方の作用を持つ新薬で、椎体骨折リスクを大幅に低下させることが証明されています。また、カルシウム・ビタミンD・ビタミンK2の補充は薬物療法の効果を高める基盤治療として必ず並行して行います。骨粗鬆症の治療は最低1〜3年の継続が必要で、中断すると骨密度が再び低下するため、長期的なフォローが重要です。
■骨密度を高める食事・運動・生活習慣

骨を強くするための最重要栄養素はカルシウムです。骨の主成分であるカルシウムは1日700〜800mg(骨粗鬆症のある方は1000mg)の摂取が推奨されます。カルシウムの豊富な食品は、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品(コップ1杯の牛乳に約220mg)、小魚(ちりめんじゃこ・しらす・煮干し)、豆腐・納豆などの大豆製品、小松菜・ほうれん草などの緑葉野菜、海藻類などです。カルシウムの吸収率は牛乳が約40%と高く、食品からの摂取が理想的ですが、食事だけで充足できない場合はサプリメントで補うことも有効です。

ビタミンDはカルシウムの腸管吸収を促進する必須ビタミンで、1日800〜1000IUの摂取が推奨されます。ビタミンDは皮膚が紫外線を浴びることでも産生されるため、1日15〜30分の日光浴(日焼け止めなし)も有効です。食品では鮭・さんま・しいたけ・まぐろなどに多く含まれます。運動面では荷重運動(歩く・跳ぶ・階段を使う)が骨への機械的刺激となり骨芽細胞を活性化します。筋力強化(スクワット・下肢の筋トレ)は転倒予防にも直結します。喫煙・過度のアルコール・極端なダイエットは骨密度を低下させるため厳禁です。
明石市大久保のたなか内科クリニックでは、骨粗鬆症の診断として骨密度検査・血液検査(カルシウム・ビタミンD・骨代謝マーカー)を行い、必要に応じて連携医療機関とも協力の上で治療を進めてまいります。
「最近背中が丸くなってきた」「骨粗鬆症の検査を受けたことがない」「家族が骨折したので自分も心配」という方は、ぜひ検査を含め当院へご相談ください。