- 2026年7月3日
放置すると命に関わることも!十二指腸潰瘍が悪化したサイン「黒い便(タール便)」が出たら迷わず胃カメラを

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。
トイレに入ったとき、いつもと違う真っ黒な便が出て驚いたことはありませんか?
それは単に食べたもののせいではなく、胃や十二指腸のどこかから出血している危険なサインかもしれません。特に、まるで海苔の佃煮やイカスミのような、ドロっとした黒い便(タール便)が出た場合は、十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)などの消化器疾患がかなり悪化している可能性があります。
今回は、なぜ十二指腸潰瘍で便が黒くなるのか、それを放置するとどうなってしまうのか、医療機関をすぐに受診すべき理由について解説します。
■なぜ便が黒くなる?「タール便」の正体

十二指腸の粘膜が深く削れる十二指腸潰瘍ですが、傷が深くなって近くの血管を傷つけると、そこからじわじわと、あるいは大量に出血を起こします。
胃や十二指腸などの上部消化管で出た血液は、胃酸と混ざることで赤から黒へと変色します。その黒い血液が長い腸を通って排泄されるため、便全体が真っ黒な「タール便」になるのです。
なお、大腸がんや痔など、肛門に近い場所からの出血は胃酸と混ざらないため、鮮やかな赤い血(鮮血便)になります。つまり、「真っ黒な便」は、胃や十二指腸に重大なトラブルが起きているという体からの緊急SOSなのです。
■痛みがないから大丈夫、という思い込みが一番危険です

ここで一番怖いのは、「お腹が痛くないから大したことはないだろう」と油断してしまうことです。
通常、十二指腸潰瘍は空腹時などに激しいみぞおちの痛みを伴いますが、実はまったく痛みを感じないまま悪化していくケースがしばしばあります。その代表的な原因が、頭痛や生理痛などで常用しがちな「痛み止め(消炎鎮痛剤)」です。
痛み止めを日常的に飲んでいると、薬の成分によって十二指腸の粘膜が弱くなって潰瘍ができる一方で、薬本来の「痛みを抑える効果」のせいで、潰瘍がどれだけ深く進行しても痛みを感じなくなってしまいます。そのため、ある日突然、大量のタール便が出たり、血を吐いたり(吐血)して初めて病気に気づくという事態が起こるのです。
■放置するとどうなる?「穿孔(穴が開く)」と腹膜炎の恐怖

黒い便が出ているということは、現在進行形で出血が続いている、あるいはいつ再出血してもおかしくない状態です。これを「そのうち治るだろう」と放置していると、命に関わる事態に発展します。
十二指腸は、胃に比べて壁の層がとても薄いという特徴があります。そのため、潰瘍の進行を止めないと、簡単に壁を突き破って完全に穴が開いてしまう「穿孔(せんこう)」という状態に陥ります。
お腹の中で穿孔を起こす方の約70%は十二指腸潰瘍の患者様であると言われています。壁に穴が開くと、強い酸性の胃液や消化中の食べ物が一実にお腹の中(腹腔内)へ漏れ出し、猛烈な激痛を伴う「腹膜炎」を引き起こします。こうなるとショック状態に陥ることも珍しくなく、命を救うためには一刻を争う緊急の開腹手術・腹腔鏡手術が必要になります。
■胃がんとの見極めのためにも、迷わず胃カメラ検査を

タール便が出た場合、原因が十二指腸潰瘍なのか、あるいはそれ以外の重大な病気なのかを正確に突き止める必要があります。
特に注意したいのが胃がんです。早期の胃がんの中には、肉眼で見ると良性の潰瘍とそっくりな形をしているものが少なくありません。そのため、内視鏡で直接その場所を観察し、必要に応じて組織を小さく採取して顕微鏡で調べる「生検(組織検査)」を行って、良性か悪性かを100%確定させることが極めて重要です。
当院では、患者様が安心して検査を受けられるよう、以下の体制を整えています。
・苦痛の少ない胃カメラ検査:ご希望に応じて鎮静剤を使用し、ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で楽に検査や処置をお受けいただけます。
・内視鏡による迅速な止血:万が一、現在も潰瘍から出血している場合は、胃カメラの先端から小さな器具を出し、クリップで留めるなどの確実な止血処置を行うことが可能です。
黒い便(タール便)は、決して様子を見て良い症状ではありません。大量に出血すると立ちくらみ、めまい、ふらつき、動悸などを引き起こし、貧血が進んで倒れてしまうこともあります。
一度でも真っ黒な便が出た方や、みぞおちの違和感に加えてふらつきを感じる方は、我慢をせず、明石市のJR大久保駅北口すぐの「たなか内科クリニック」まで、なるべく早くご相談ください。