• 2026年7月3日

食後の右脇腹の激痛は「胆石」かも?胆のう炎・胆管炎の危険なサインと対処法

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。

「脂っこいものを食べた後、みぞおちから右の脇腹にかけて差し込むように痛む」
「右の背中や肩のあたりまで痛みが抜けるような感覚がある」

このような急な痛みに襲われたことはありませんか?実はその痛み、胃腸の不調ではなく、胆のう(たんのう)や胆管にできた「胆石(たんせき)」が原因かもしれません。 現在、日本人の約10〜15%が持っているとされる胆石ですが、その多くは無症状のまま経過します。しかし、石が管に詰まって発作を起こしたり、細菌感染を伴って「急性胆のう炎」や「急性胆管炎」へと進行したりすると、命に関わる非常に危険な状態になることもあります。

今回は、胆石がどのようにしてできるのか、できやすい方の特徴、絶対に見逃してはいけない危険なサイン、そして最新の検査・治療法について、内科医の視点から詳しく解説いたします。

■1. 胆石とは?なぜ石ができるのか

胆石とは、肝臓で作られる「胆汁(脂肪の消化を助ける液)」の成分が固まってできる石のことです。 成分によっていくつかの種類に分かれますが、日本人の胆石の約80%は「コレステロール結石」です。血液中のコレステロールが増えすぎたり、胆汁の中のコレステロールの割合が飽和状態になったりすることで、結晶化して石になります。 肥満や脂質異常症のほか、極端な食事制限(低カロリーダイエット)による急激な体重減少や、長時間の絶食なども、胆汁の流れを悪くしてコレステロールを固まりやすくする原因となります。

■2. 要チェック!胆石ができやすい人の特徴「5F」

医学の世界では、胆石ができやすい人の特徴を表す「5F」という言葉があります。ご自身に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  1. Fat(肥満): コレステロールの過剰分泌につながりやすい。
  2. Female(女性): 女性ホルモンがコレステロールの代謝に影響するため。
  3. Forty(40代以上): 加齢とともにリスクが上昇します。
  4. Fertile(妊娠・出産経験がある): 妊娠中のホルモン変化が影響します。
  5. Fair(白人): 日本人より欧米人に多い傾向があります。

日本人の場合は、これらに加えて「脂質異常症」「糖尿病」をお持ちの方も胆石のリスクが高いことが分かっています。

■3. 石がある「場所」で変わる症状と危険度

胆石は、石が存在する場所によって「胆のう結石」と「胆管結石」に分けられ、症状や危険度が大きく異なります。

  • 無症候性胆石(症状がない状態) 胆のう内に石があっても、約70〜80%の方は生涯無症状のまま過ごします。健康診断の腹部エコー(超音波)検査などで偶然見つかるケースがほとんどです。
  • 胆石発作(胆道疝痛) 食後(特に天ぷらや焼肉など脂肪分の多い食事の後)に、胆のうが強く収縮した際、石が胆のうの出口に詰まることで起こります。突然、みぞおちから右脇腹、右肩にかけての激しい痛みや吐き気に襲われます。
  • 急性胆のう炎 石が詰まった状態が長く続き、そこに細菌感染が加わって胆のうが炎症を起こした状態です。右脇腹の激痛や発熱、嘔吐が見られ、右脇腹を押すと強い痛み(圧痛)を感じます。悪化すると胆のうに穴が開き、腹膜炎を引き起こす恐れがあります。
  • 急性胆管炎【命に関わる緊急事態】 肝臓から腸へ胆汁を運ぶ「胆管(幹線道路)」に石が落ちて詰まり、胆汁が大渋滞を起こして細菌が繁殖する非常に危険な状態です。「発熱・黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)・右上腹部痛」の3つ(シャルコーの三徴)が同時に現れるのが特徴です。進行すると細菌が全身に回り(敗血症)、血圧低下や意識障害を伴い、一刻も早い救命処置が必要になります。

■4. 医療機関での検査と診断

胆石症や胆のう炎が疑われる場合、まずは痛みがなく体への負担もない「腹部エコー検査(超音波検査)」を行います。エコー検査は胆石や胆のうの腫れ、胆管の太さを確認するのに非常に優れています。 さらに血液検査を行い、白血球やCRP(炎症の数値)、肝機能、ビリルビン(黄疸の数値)をチェックします。胆管の奥にある小さな石や合併症の評価が必要な場合は、CT検査やMRI検査(MRCP)などを追加で行います。

■5. 症状に合わせた治療法

  • 無症状の場合(無症候性胆石) 基本的には治療の必要はなく、経過観察となります。ただし、エコー検査で胆のう壁が厚くなっている、壁が石灰化している、大きめのポリープを合併しているといった場合は、胆のうがんのリスクが隠れている可能性があるため、手術を検討することもあります。
  • 痛みの発作を繰り返す場合 「腹腔鏡下胆のう摘出術」という、お腹に小さな穴を数カ所開けて胆のうごと石を摘出する手術が標準的な治療です。傷跡が小さく、数日間の入院で済むため体への負担が少ないのが特徴です。
  • 急性胆のう炎・急性胆管炎の場合 まずは絶食と点滴、抗生物質の投与で炎症を抑えます。胆のう炎の場合は早期の手術が推奨されます。命に関わる急性胆管炎の場合は、口から内視鏡を入れて胆管に詰まった石を取り除き、溜まった膿を出す「内視鏡的胆管ドレナージ(ERCP)」という処置を最優先で行います。

■6. 胆石を防ぐ・再発させないための生活習慣

胆石の形成や痛みの発作を防ぐためには、日々の食生活が非常に重要です。 揚げ物や肉の脂身、バターなどの脂肪分を控えめにし、バランスの良い食事を心がけましょう。また、肥満を解消して適正体重を保つことが大切ですが、極端な食事抜きダイエットなどはかえって胆石のリスクを高めるため、無理のないペースでの減量が推奨されます。

■まとめ:食後の右脇腹の痛みは放置しないでください

胆石は多くの場合静かにしていますが、ひとたび暴れ出すと激しい痛みや危険な合併症を引き起こします。「いつもの胃痛だろう」「少し休めば治る」と自己判断して放置するのは非常に危険です。

たなか内科クリニックでは、腹部エコー検査や血液検査を用いて迅速に診断を行い、重症化のリスクがある場合や、CT・MRIなどの精密検査、外科的な手術・内視鏡処置が必要と判断した場合は、適切な高度医療機関へ速やかに連携・ご紹介いたします。

食後にみぞおちや右脇腹、背中が痛むことがある方や、健康診断で胆石を指摘されたことがある方は、決して我慢せず、お早めに当院へご相談ください。

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