- 2026年8月20日
呑気症(空気嚥下症)の治し方|ゲップ・お腹のガスが止まらない原因と対策

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。
「食後にゲップが止まらない……」
「いつもお腹が張ってガスが溜まり、苦しい……」
このような症状でお困りではありませんか?「食べすぎかな」と思いながらも、毎日続くゲップや腹部の不快感に悩まされている方は少なくありません。
実はこれ、「呑気症(どんきしょう)」と呼ばれる状態が原因である可能性があります。聞き慣れない病名かもしれませんが、ストレスや生活習慣が関係しており、現代人に非常に多い消化器トラブルのひとつです。
今回は呑気症の原因・症状・改善方法について、わかりやすくご説明します。
■ 呑気症(空気嚥下症)とは?

呑気症とは、「無意識のうちに大量の空気を飲み込んでしまう状態」のことです。「空気嚥下症(くうきえんげしょう)」とも呼ばれます。
私たちは誰しも、食事や会話のときに無意識にある程度の空気を飲み込んでいます。これ自体は正常な生理現象です。しかし呑気症では、必要以上に多くの空気を飲み込んでしまい、胃や腸に大量の空気が溜まることでさまざまな不快症状を引き起こします。
呑気症で起こる主な症状
- ゲップが頻繁に出る(食事中・食後に限らず、日中ずっと続くことも)
- 腹部膨満感(お腹がパンパンに張って苦しい)
- おなら(ガス)が増える(腸内に流れ込んだ空気が排出される)
- みぞおち周辺の不快感や圧迫感・胸やけ
呑気症は単なる「ゲップが多い」という問題にとどまらず、集中力の低下や不快感によるストレスなど、日常生活の質(QOL)を大きく下げてしまう要因になります。
■ 呑気症の主な原因

呑気症が起こる背景には、食事の仕方やストレス、お身体のクセなどが複雑に関わっています。
1. 早食い・「ながら食い」
食事を急いで食べると、食べ物や飲み物と一緒に大量の空気を巻き込んで飲み込んでしまいます。また、テレビやスマートフォンを見ながら食べる「ながら食い」も、無意識に口が開いたまま咀嚼(そしゃく)するため空気を取り込みやすくなります。
2. ストレス・不安・緊張
精神的なストレスや緊張を感じると、無意識に奥歯を噛み締めたり、唾液を頻繁に飲み込む動作(嚥下)が増えます。唾液を1回飲み込むごとに空気も一緒に胃へ送り込まれてしまうため、デスクワークや緊張度の高い環境にいる方に多く見られます。
3. 鼻づまりによる「口呼吸」
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などで鼻が詰まっていると、無意識に口で呼吸するようになります。口呼吸はダイレクトに空気を飲み込みやすくなり、呑気症の大きな原因となります。
4. 義歯(入れ歯)の不具合や噛み合わせ
入れ歯が合っていなかったり、噛み合わせに問題があると、口の中に唾液が溜まりやすくなり、飲み込む回数が不自然に増えてしまいます。
5. 炭酸飲料・ガムの常用
炭酸飲料はガスそのものを体内に取り込むため、ゲップが増える原因になります。また、ガムを長時間噛む習慣も、噛むたびに空気を一緒に飲み込みやすくなります。
■ 呑気症の症状チェックリスト

以下の項目に当てはまるものはありますか?
| □ゲップが一日中、断続的に出ている □食後でもないのにお腹が張る感じ(膨満感)がある □胃や腸がゴロゴロと音を立てることが多い □仕事中やストレスを感じたときに症状が悪化する □食事を急いで食べる癖がある(早食い) □ガムをよく噛む、または炭酸飲料を日常的に飲む □鼻が詰まりやすく、口呼吸になりがちだ □人前でゲップやおならが出そうになり困ることがある |
【判断の目安】
3つ以上当てはまる方は、呑気症の可能性が考えられます。症状が長く続いている場合は、我慢せずに医療機関へご相談ください。
■ 呑気症の治し方:まずは生活習慣の改善から

呑気症の治療の基本は、日常生活の中で「空気を飲み込む機会を減らす」工夫をすることです。
ゆっくり食べる・よく噛む
一口ごとに30回を目安によく噛み、食事には最低でも20分以上かけることを意識しましょう。よく噛むことで食べ物が細かくなり、余計な空気を巻き込まずに飲み込めるようになります。
炭酸飲料・ガムを控える
お腹にガスが溜まりやすい時期は、炭酸飲料やガムを控えるだけでも症状が和らぐことがあります。
口を閉じ、鼻呼吸を意識する
普段から「口をしっかり閉じ、鼻で呼吸する」ことを意識しましょう。噛み締め癖がある方は、意識的に歯と歯の間に隙間を作り、リラックスさせることも有効です。
食後すぐに横にならない
食後すぐに横になると、胃の中の空気が食道側へ逆流しやすくなり、ゲップや胸やけを誘発します。食後は最低30分〜1時間ほど、身体を起こした姿勢を保ちましょう。
■ 医療機関での治療と受診のタイミング

生活習慣の工夫を行っても症状が改善しない場合は、お薬による治療や専門的なアプローチを組み合わせます。
薬物療法
- 消化管運動機能改善薬・消泡薬:胃腸の動きを整えたり、腸内のガス泡を潰して排出をスムーズにするお薬を使用します。
- 漢方薬・抗不安薬:ストレスや緊張が強く関与している場合、心身の緊張を和らげる漢方薬(六君子湯など)や抗不安薬が効果的なケースがあります。
鼻づまり・歯科的なアプローチ
アレルギー性鼻炎等がある場合は耳鼻咽喉科での治療、義歯が合わない場合は歯科での調整を行うことで、呑気症が劇的に改善することもあります。
【注意】他の消化器疾患が隠れている可能性も
ゲップや腹部膨満感、お腹の痛みなどの症状は、単なる呑気症だけでなく、逆流性食道炎・機能性ディスペプシア・胃潰瘍、さらには初期の胃がんや大腸がんなどの病気が原因で起こっている可能性もあります。
「たかがゲップ」と自己判断で放置せず、症状が続く場合は胃カメラ検査(胃内視鏡検査)などで胃や食道の粘膜に異常がないか確認しておくことが安心につながります。
■ さいごに

ゲップが止まらない、お腹にガスが溜まって苦しいというお悩みは、周りの人に相談しにくく、お一人で抱え込んでしまいがちです。
たなか内科クリニックでは、丁寧な問診とお一人おひとりのライフスタイルに合わせた治療・アドバイスを行っております。「こんなことで相談してもいいのかな?」と遠慮なさらず、どうぞお気軽にご来院ください。