- 2025年6月20日
長引く『お腹の調子が悪い』その原因、調べてみませんか?胃カメラでわかること

「近頃、胃もたれや胃のむかつきが続いてすっきりしない…」
「お腹が張って、あまり食べられない日が続いている…」
「長引く原因不明の咳があるんだけど、これって胃と関係あるのかな?」
現代社会はストレスの時代。コンピューターやOA機器に囲まれ、時間に追われて働いていれば胃の一つも痛くなろうというものです。こうしたちょっとした体の不調を感じた時、「歳のせいかな?」「一時的なものだろう」と、ついついそのままにしてしまっていませんか?あるいは、「とりあえず近所の内科に行ってみたけど、曖昧な答えしかもらえなかった…」と、どこに相談すればいいか分からず、精密検査や健康診断を受けることを後回しにしてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、長引く『お腹の調子が悪い』状態を放置していると、『重大な病気』を見逃してしまう可能性があります。
胃の不調は、単なる食べ過ぎやストレスだけでなく、実は胃炎、胃潰瘍、さらには胃がんといった消化器疾患のサインであることも少なくありません。また、胃カメラをしても異常が見つからないのに、胃の不調が続くというケースもあります。このような場合、それは「機能性ディスペプシア」かもしれません。
これらの病気の原因を正確に診断し、適切な治療へとつなげるために、最も有効なのが胃カメラ(上部内視鏡検査)です。
今回は、長引くお腹の不調の原因を探る胃カメラ検査の役割、そして当院の胃カメラ検査が選ばれる理由について、専門医の視点から詳しく解説します。適切な検査、治療、管理により、快適な生活を取り戻しましょう。
こんなお悩み、ありませんか?胃カメラをおすすめしたい方

以下のような状態に心当たりがある方は、ぜひ一度胃カメラ検査をご検討ください。
特に「太字」で示した項目が3つ以上当てはまる場合は要注意です!
- 胃もたれ・胃不快感が続き、すっきりしない
- 胃が痛い(みぞおちの痛み)
- げっぷが多い
- おなかが張る(あまり食べられない)
- 胸やけがする、胸が痛い
- のどや、胸がつまったような感じがする
- からだがダルく、きつい
- 朝、口のなかが苦い・酸っぱい(ときどき胃酸が上がってくる)
- 肥満傾向・糖尿病がある
- 便が黒い(海苔の佃煮のような便)
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったことがある
- ピロリ菌が気になる、または家族にピロリ菌陽性者がいるが一度も検査したことがない
- ピロリ除菌成功後、定期的に検査していない
- 血縁者に胃がんがある(家族歴)
- 35歳以上で、まだ一度も胃カメラ・胃透視を受けたことがない
- 検査は受けていないが、胃がんが心配
- ダイエットなしに体重が減った(周囲から痩せたといわれる)
- 吐き気がある、食後に吐いてしまう
- おなかにしこりを触れる
- たちくらみがする(貧血ぎみ)
- タバコを吸う、毎日お酒を飲む、お酒を飲むと顔が赤くなりやすい
- しょっぱいもの、辛いものが好き
- 原因不明のせきが続く、最近ぜんそくが悪化してきた
長引く『お腹の調子が悪い』原因を探る:胃カメラでわかること

胃カメラ検査は、口からカメラを入れて、咽頭・喉頭、食道、胃、十二指腸を直接観察する検査です。この検査で、胃炎や胃潰瘍といった炎症性の病変、あるいは胃がんやポリープなどの腫瘍性の病変(できもの) といった、いわゆる「器質的病変」を詳細に見つけることができます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な原因

胃の壁や、胃から出てすぐの十二指腸の壁に穴が開いていくのが「消化性潰瘍」という病気です。その原因の一つとして胃酸の分泌が多いことが挙げられます。ストレスや不規則な食生活などで胃酸の分泌が増えると、普段食べ物を消化する酸が胃や十二指腸の壁を傷めてしまうのです。
また、最近の研究で、ストレスなどによって胃の血管が収縮して血の巡りが悪くなることによって胃の粘膜の防御作用が弱くなって酸に侵される1こと、さらにはピロリ菌という細菌が胃の粘膜を傷めている事実も確認されています。ピロリ菌は胃の中で強い胃酸から自分を守るために、周囲にアンモニアを出しており、このアンモニアが胃の粘膜を傷害して強い胃炎や、治りづらい潰瘍を作り出すのです。この消化性潰瘍は20代から50代の働き盛りによく見られる病気です。
潰瘍がなくても胃が痛む:「機能性ディスペプシア」など

胃カメラの役割は、ただ病変を見つけるだけではありません。実は、何も器質的病変が見つからないことでわかる病気もたくさんあります。
最近の内視鏡検査の進歩によって、潰瘍のような症状を訴える方の胃の中の様子がよくわかるようになってきました。従来潰瘍と言われて治療していた方の中に、潰瘍がないのに痛みがある人がいることが分かってきて、欧米でも新しい疾患群として注目されています。これが「機能性ディスペプシア(FD: functional dyspepsia)」です。
機能性ディスペプシアは、お腹の症状が慢性的にあって、胃カメラなどの検査で胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの目に見える異常が見つからない場合に診断されます。胃の運動をコントロールする自律神経のバランスがうまくいかないと、胃の「運動機能異常」「胃酸の分泌過多」「粘膜の知覚過敏」が起きて、胃の痛みやもたれ、すぐにお腹がいっぱいになってしまうといった症状が生じると考えられています。かつては「慢性胃炎」とされたり「気のせい」などとされてきたこともありますが、現在では胃の機能異常として適切な治療が行われるようになってきています。日本人で機能性ディスペプシアの方の割合は10〜15%程度、症状があって病院を受診した方では45〜53%と報告されています。
機能性ディスペプシアの治療は主に飲み薬で、胃酸の分泌を抑える薬、胃の動きを良くする薬、漢方薬などが状態に応じて処方されることが多いです。生活上のアドバイスとしては、自律神経のバランスを保つために、不規則な食事時間や習慣の見直し、運動不足の改善、ストレスの軽減などを心がけるのが良いでしょう。
また、胃の痛み(専門的には心窩部痛といいます)を訴える場合、胃の病気以外に胆石症、胆管結石、膵炎、大腸炎、過敏性大腸症、急性虫垂炎(盲腸)など、お腹の様々な病気が原因である可能性もあります。さらには、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気でも、胃の痛みとして症状が現れることがあります。
このように、胃カメラ検査で「病変がないこと」を確実に証明することは、次のステップへ進むための『除外診断』として非常に重要です(診断を進める上で、これが非常に重要です)。患者様にとっては「胃がんや潰瘍などの重大な病気ではない」とわかることで、精神的な不安が大きく軽減されます。実際、「胃がんがないとわかっただけで、症状が消えてしまった」という方もたくさんいらっしゃるほどです。胃が痛んだら、まず十分検査したうえで大きな異常がないことを確認して、安心した方がよいでしょう。
たなか内科クリニックの胃カメラ検査が選ばれる理由
当院では、患者様が安心して質の高い検査を受けられるよう、様々なこだわりを持って胃カメラ検査を実施しています。
1. 消化器内視鏡学会専門医による正確な検査
当院の胃カメラ検査は、内視鏡検査・治療を行ってきた経験を活かし、専門性の高い正確な検査を提供いたします。
胃がんの発見率は通常1%以下(0.3-0.9%)とされていますが、当院長の胃がん発見率はそれよりも高い発見率を誇っております。これは、設備と臨床技術の両面で提供する医療の品質にこだわっている証です。当院では、徹底的に胃がん(獲物)を探す「狩り」のようなイメージで検査を進めます。 検査開始直後にピロリ菌の有無や胃の状態を把握し、それによって見方・進め方を変えています。つまり、患者様ごとに「このタイプの胃であれば、この場所に、このタイプのガンが、このくらいの頻度で、こういう色・形をしているはずだ」ということを予想し、実物と見比べながら検査を進めていきます。また、皆様の『かかりつけ医』として、検査結果についても、具体的でわかりやすい説明を心がけています。患者様からのご質問にもじっくりお答えするため、診療時間も十分に確保しています。
2. 鎮静剤を活用した苦痛の少ない無痛内視鏡検査
胃カメラ検査は「苦しい」「怖い」というイメージをお持ちの方も少なくありません。特に、のどを通る時がいちばんつらいと感じる方が多いでしょう。当院では、このような不安や苦痛を軽減するため、少量の鎮静剤を用いて、ウトウト眠っているような状態で受けられる無痛検査を積極的に行っています。
鎮静剤を使用した場合、ほとんどの方が「気付いたら終わっていた」とおっしゃるほど、楽に検査を受けられます。鎮静剤の効果で、お身体全体がリラックスした状態になるため、検査もスピーディに進みます。鎮静剤の種類や量、年齢や体格、既往症、服用している薬などに合わせて調整し、検査中も全身モニターで呼吸・循環動態を常に確認するなど、細心の注意を払って安全面にも配慮しています。
- 検査の流れ: 検査開始時に注射器で鎮静剤を投与します。ウトウトと眠っているうちに検査が終了し、リカバリールームで30分ほどゆっくりお休みいただけます。検査後はストレッチャー(動くベッド)で眠った状態のままリカバリールームへ移動できるため、一度起きて移動する必要がありません。
- 注意点: 鎮静剤を使用した検査を受けた場合、自覚していなくても眠気が残っていたり、判断力が落ちていたりするため、原則、帰宅時に自動車・バイク・自転車の運転ができません。 できるだけ公共交通機関を利用していただくか、ご家族などの送迎でご来院ください。ご都合をどうしてもつけられない方は事前にご相談ください。
3. 最新鋭の内視鏡システムと検査精度へのこだわり
当院では、大学病院と同等の最新鋭の内視鏡機器を採用しています。クリニックレベルでこれほどの高スペックな機器を導入しているところはほとんどありません。
採用機種:FUJIFILM ELUXEO EP-8000 system
- 特殊光による詳細な内視鏡診断: BLI:Blue Light Imaging LCI: Linked Color Imaging 通常光とは異なる狭帯域光による観察で、微細な病変を発見しやすくするために開発された技術です。狭帯域光で粘膜表面の毛細血管を確認することで、早期の微細ながんの発見にも役立ちます。当院の最新モデルの内視鏡システムは、これまで以上に微細な表面構造や毛細血管をはっきり観察できるようになっています。
- 検査精度を高める工夫: 当院では、通常光観察に加え、青い色素液をかけて表面の凹凸を強調する「色素散布法」これらの機能を駆使し、がんの早期発見に努めています。
- 即日検査対応: 「検査を受けたいけど、なかなか予定が組みづらい」「早く検査を受けたい」という方でも、できるだけ初診当日の検査も含めた柔軟な対応を行うようにしています。ただし、安全性を考慮し、原則、重篤な既往歴や持病のない方に限ります。当日に検査の空き枠がある場合やキャンセル待ちなどに関しても柔軟に対応していますので、早めの検査をご希望の場合には遠慮なくご相談ください。
- 徹底した感染予防: 内視鏡検査で細菌やウイルスの感染が起こらないよう、感染予防も徹底しております。日本消化器内視鏡学会が定める厳しいガイドラインを守り、検査ごとにアルカリ洗剤洗浄と強酸性電解水で器具を丁寧に洗浄して、高水準な消毒・殺菌を行っています。
胃カメラ検査の流れと費用について
胃カメラ検査の流れ
1.受付・問診
受付後、問診票の記入や体調の確認を行います。事前にご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。
2.前処置
検査中の不快感を和らげるため、喉の麻酔を行います。鎮静剤の使用を希望される方には、医師の判断のもと投与いたします。
3.検査開始
内視鏡を口または鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸の状態を観察します。検査時間は約5-7分程度です。
4.終了後、検査結果の説明
検査終了後は医師から検査結果についての説明を受けていただきます。必要に応じて治療のご提案もいたします。病理検査を行った場合の結果については後日の説明となります。また鎮静剤使用後の状態次第では後日の結果説明を勧める場合もあります。
検査前後の注意点
検査前日:夕食は消化の良いもの(ご希望があれば検査食もご用意しています)を軽めに、21時までにとっていただきます。以降検査まで絶食です。お水・お茶は飲んでいただいて構いません。風邪をひいている、熱がある、などの体調不良がある場合は、当日の朝にお知らせください。基本的に、そのような場合は、当日の内視鏡検査はお勧めしておりません。
検査後:鎮静剤(静脈麻酔)での検査を受けている場合は、自覚していなくても、眠気が残っていたり、判断力が落ちていたりするため、当日は車・自転車・バイク等の運転はできません。胃カメラの場合、飲食はのどの麻酔が切れる、検査1時間後より可能です。大腸カメラの場合、検査後、目が覚めていればすぐ飲食可能です。激しい運動は避け、入浴はシャワー程度に控えましょう。ポリープの切除・生検(組織の一部をかじって取ってくる検査)などを行った場合は、刺激物(辛い物・炭酸など)・アルコール・コーヒーなどは同日―数日間避けてください。その他、検査時に医師から指示があった場合は、その指示に従ってください。検査中に色素散布(主に青色)を行った場合、便が青くなる場合ございますが、体に影響はありませんので、ご安心ください3。
検査費用
当院の胃カメラは原則「保険適用」で実施が可能です。
費用の目安は以下の通りです(3割負担の方の概算)。
- 胃カメラ(生検なし): 約5,700円
- 胃カメラ(生検あり): 約9,200~12,700円
- 胃カメラ(ピロリ菌検査あり): 約7,300円
※上記の金額はあくまで目安であり、初診/再診、処方薬、検査・治療部位の数や使用する薬剤などにより変動します。
※鎮静剤使用時には、別途料金(薬代、鎮静前後の全身モニター管理など)をお支払いいただきます。
※お支払いは現金とクレジットカード(VISA, Master Card, JCB, AMERICAN EXPRESS、Diners Club、Discover)をご利用いただけます。
長引くお腹の不調、早めに胃カメラで原因を調べてみませんか?
現代社会を生きる中で、胃の不調は誰もが経験しうる症状です。しかし、「胃が痛む」「胸焼けがする」「いつも胃が張った感じがする」「食欲がない」といった症状が長引く場合は、単なるストレスや食べ過ぎではなく、胃炎、胃潰瘍、さらには胃がんといった消化器疾患が隠れている可能性を否定できません。また、胃カメラで異常が見つからない場合でも、「機能性ディスペプシア」など胃の機能異常が原因となっていることもあります。
胃がんの初期症状はほとんどなく、ご自身で気づくことは非常に困難です。だからこそ、胃カメラ検査による早期発見が極めて重要です。早期発見された胃がんはほぼ100%治癒が期待できますし、進行がんとなっても現代の胃がんの治療成績は目覚ましいものがあります。
たなか内科クリニックでは、患者様の負担を最小限に抑えながら、精度の高い胃カメラ検査を提供しています。長引くお腹の不調にお悩みの方、胃の健康に不安がある方、あるいは定期検診の時期が来ている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。適切な検査、治療、管理により、快適な生活を取り戻すお手伝いをさせていただきます。