「黒い便（タール便）」が出たら要注意！その便が示す上部消化管からのSOSサイン

明石市の大久保駅すぐのたなか内科クリニック院長の田中敏雄です。
トイレで便の色が「真っ黒だ」「海苔の佃煮のようにドロリとしている」と感じたことはありませんか？

このような、コールタールのような粘り気のある真っ黒な便は「タール便」と呼ばれ、消化器内科医が最も注意が必要なサインの一つと位置づける、体からの深刻なSOSサインです。

今回は、黒い便が出る原因から、特に注意が必要なケース、そして速やかに取るべき行動についてお伝えします。

１．黒い便が出る2つの主な原因

黒い便が出る原因は、緊急性の高い「病気による出血」と、心配の少ない「食事や薬の影響」に大きく分けられます。

以下のものは、便を黒くしますが、出血が原因ではありません。摂取を止めれば便の色は自然に戻ります。

黒い便（タール便）は、胃や食道、十二指腸といった上部消化管で出血が起こっていることを強く示唆します。

黒くなる理由: 出血した血液が胃酸や消化酵素と混ざり合うことで酸化され、鉄が錆びるのと同じように黒く変色するため、コールタールのようにベタベタと粘り気のある便となります。

タール便が見られた場合、緊急性の高い以下の病気が疑われます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍	ストレスやピロリ菌感染、または薬の影響などで粘膜に深い傷ができ、出血を伴うことがあります。
胃がん・食道がん	進行したがんからの出血によりタール便が出ることがあります。特にスキルス胃がんのような進行の早い胃がんでも、吐血や黒色便が出ることがあります。
食道静脈瘤	肝臓病（肝硬変など）を背景に食道の血管が膨らみ、破裂すると大量出血につながる危険性があります。

黒い便が出たからといって、すぐに大きな病気だと決めつける必要はありませんが、特に以下の症状を伴う場合は、消化管出血が継続している可能性や病状が進行しているサインかもしれません。

・みぞおちや胃の痛み
・吐き気、嘔吐、吐血（コーヒーのカスのような嘔吐物）
・めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ（出血による貧血のサイン）
・強い腹痛食欲不振やダイエットなしの体重減少

これらの症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く消化器内科を受診し、適切な診断を受ける必要があります。

タール便の原因を正確に特定するためには、胃カメラ（上部消化管内視鏡検査）が不可欠です。胃カメラは、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察できる唯一の検査であり、出血の有無、場所、そして原因となっている潰瘍やがんなどの病気を正確に特定できます。

タール便は、胃カメラでなければ見つけられない病気が原因の場合も多いため、不安を感じたときは決して放置しないことが大切です。

当クリニックでは、患者様の負担を最小限に抑え、安心して検査を受けていただけるよう、様々な工夫を凝らしています。

ご希望の方には鎮静剤（静脈麻酔）を使用し、ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を行います。これにより、「オエッとなる」嘔吐反射や苦痛、恐怖心を大幅に軽減できます。鎮静剤の使用は、患者さんの緊張が抑えられることで検査精度が向上するメリットもあります。

鎮静剤を使わずに楽に検査を受けたい方や、嘔吐反射が苦手な方には、鼻から細いスコープを挿入する経鼻内視鏡も選択可能です。経鼻内視鏡は、スコープが舌の付け根に触れにくいため、咽頭反射がほとんど起こりません。

便の色は、ご自身の健康状態を知る上で非常に重要な「バロメーター」です。特に黒色便は、上部消化管からの出血という重大な病変を示している可能性があるため、日頃からご自身の便を観察し、少しでも気になることがあれば、流す前に色や状態を確認しておくことをおすすめします。

明石市大久保にお住まいの方、お勤めの方で、黒い便（タール便）が出て不安を感じている方は、JR大久保駅北口から徒歩すぐの「たなか内科クリニック」まで、どうぞお気軽に、早めにご相談ください。

黒い便がでた場合、血液検査で貧血の有無の確認は必要と思っています。

貧血が無ければ、お薬を飲んだ上で後日に胃カメラを行うか相談となりますが、貧血がある場合は急を要する場合もあります。

お腹の症状が無いから大丈夫！とは考えずに、血液検査を受けることをお勧めします。十二指腸潰瘍は穴が空いて初めて腹痛があでる場合もあります。

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