• 2026年1月7日

【医師解説】ジャンボ尾崎さんを襲った「S状結腸がん」とは?「便が細い」「血便」は危険信号

こんにちは。JR大久保駅北口すぐのたなか内科クリニックです。

2025年12月24日、ゴルフ界のレジェンド、「ジャンボ尾崎」こと尾崎将司さんが「S状結腸がん」のため78歳で亡くなられたという報せが入りました。

長年、第一線で活躍された名プレーヤーの訃報に、驚きと悲しみを感じております。心よりご冥福をお祈りいたします。

今回の報道にある「S状結腸(Sじょうけっちょう)がん」ですが、実は日本人にとって最も身近で、発生頻度の高いがんの一つであることをご存知でしょうか?

今回は、この病気の特徴や、見逃してはいけない初期サイン、そして「ステージ」によって変わる運命について、お伝えいたします。


1.なぜ「S状結腸」にがんができやすいのか?

大腸は全長約2mの臓器ですが、がんはどこにでも均等にできるわけではありません。

発生頻度が高いのは、肛門に近い「直腸」と、その手前のS字カーブを描いている「S状結腸」です。

なぜS状結腸に多いのか?

大腸の奥(右側)では便はまだ水分を含んだ液体状ですが、S状結腸(左側)に来る頃には水分が吸収され、硬い固形便になります。

この硬くなった便が、カーブしている狭いS状結腸を通る際、粘膜に物理的な刺激を与えたり、便に含まれる発がん物質が長時間滞留したりすることが、発生リスクを高めると考えられています。


2. 「右」と「左」で症状が違う?見逃せないサイン

大腸がんは、できた場所が「右側(盲腸・上行結腸)」か「左側(下行結腸・S状結腸・直腸)」かによって、現れる症状が大きく異なります。

右側の大腸がん(盲腸・上行結腸など)

特徴便がまだ液状のため、がんができても詰まりにくい。
症状腹痛や便通異常が出にくく、気づきにくい。
サイン「貧血」や、進行してからの「お腹のしこり」。

左側の大腸がん(S状結腸・直腸など)

特徴便が硬く、腸管も狭いため、がんができると通り道が塞がりやすい。
症状便秘と下痢を繰り返す、お腹が張る、腹痛。
サイン「血便」、「便が細くなる(狭小化)」、「残便感」。

今回報じられたS状結腸がんは「左側」にあたるため、進行すると「便が細くなる」「血便が出る」といった症状が現れやすくなります。

しかし、ここで「痔だろう」と自己判断して放置してしまう方が非常に多く、これが発見を遅らせる最大の原因となっています。


3. ステージ0なら内視鏡で完治。ステージⅣとの分岐点

大腸がんの恐ろしいところは、「早期の段階では無症状であることがほとんど」という点です。症状が出たときには、すでに進行しているケースも少なくありません。

がんの進行度はステージ0からⅣに分類され、治療法と生存率は劇的に変わります。

ステージ0〜Ⅰ(早期がん)
がんが粘膜の浅い層にとどまっている状態です。この段階であれば、お腹を切らずに「内視鏡治療(カメラ)」だけで切除・完治が可能です。痛みもほとんどなく、入院も不要か短期間で済みます。
ステージⅡ〜Ⅲ(進行がん)
がんが筋肉の層まで深く入ったり、リンパ節への転移が疑われる状態です。「外科手術」が必要となり、腸管の一部を切除します。術後に抗がん剤治療が必要になることもあります。
ステージⅣ(転移がん)
肝臓や肺など、他の臓器へ転移している状態です。手術が難しい場合は、抗がん剤や緩和ケアが中心となります。

ジャンボ尾崎さんのような体力のあるアスリートであっても、発見が遅れれば病魔には勝てません。逆に言えば、「症状がないうちに(ステージ0〜Ⅰのうちに)見つける」ことができれば、大腸がんは決して怖い病気ではないのです。


4. 40歳を過ぎたら「内視鏡検査」を

大腸がんのリスク要因として、以下の項目が挙げられます。

  • 年齢: 50歳以上から急増(40代から要注意)
  • 生活習慣: 赤身肉・加工肉の摂取過多、飲酒、喫煙、肥満、運動不足
  • 遺伝: 家族に大腸がんの人がいる

「便潜血検査(検便)」は有効なスクリーニングですが、早期がんやポリープを見逃すこともあります。

最も確実な予防法は、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」を受けることです。

当院では、鎮静剤を使って眠っている間に終わる「苦痛の少ない大腸カメラ」を行っています。

もしポリープ(がんの芽)が見つかれば、その場で切除し、将来の大腸がんを予防することも可能です。

「自分は元気だから大丈夫」「症状がないから大丈夫」

その油断が、命取りになることがあります。

偉大なスターの訃報を、どうかご自身の健康を見直すきっかけにしてください。

便通の違和感、血便、あるいは40歳を過ぎて一度も検査を受けたことがない方は、お気軽に当院までご相談ください。

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