- 2025年1月28日
- 2025年1月30日
血便・下血の正しい理解と対策
血便や下血は、消化管のどこかで出血が起きているサインです。便に血液が混じる形として、赤い血が付着する「鮮血便」や、黒っぽい「タール便」などがあります。軽い症状から重大な病気まで、原因はさまざまです。正しい知識と早めの対応が大切です。
血便の種類
鮮血便・暗赤色便
- 鮮血便: 赤い血が便に付着している状態で、肛門や直腸、大腸の下部が出血源と考えられます。
- 暗赤色便: 腸内で血液が滞留し、赤みが濃くなったもの。上行結腸や小腸が出血源となる可能性があります。
黒色便(タール便)
- 黒色便: 真っ黒なタール状の便は、胃や十二指腸など上部消化管の出血が原因です。
血便と下血の違い
- 血便: 主に大腸や直腸からの出血が原因で便に血が混ざる状態。
- 下血: 消化管全体を含む出血で、肛門や口から血が出る場合もあります。
血便の主な原因
- 痔や裂肛:肛門周辺のトラブルが原因で、トイレ後に赤い血が見られることが多いです。
- 大腸がん:血便が続き、便が細くなる、体重減少がある場合は要注意。
- 潰瘍性大腸炎・クローン病:血便に加え、下痢や腹痛が慢性的に続きます。
- 感染性腸炎:細菌やウイルス感染が原因で、血便とともに発熱や嘔吐を伴うことがあります。
- ストレスや刺激物:腸への負担が増え、血便を引き起こす場合があります。
血便の検査方法
大腸カメラ(内視鏡検査)
腸内を直接観察し、ポリープや腫瘍などを正確に確認します。最も信頼性の高い診断方法です。
便潜血検査
目に見えない微量の血液を検出します。大腸がんの早期発見にも役立ちます。
血液検査
貧血や炎症の有無を調べ、慢性的な出血が疑われる場合は鉄欠乏性貧血の確認を行います
血便の治療法
食事療法
腸に優しい食事を摂り、刺激物やアルコールは避けましょう。
薬物療法
抗炎症薬、止血薬、抗菌薬などが原因や症状に応じて使用されます。
外科的治療
大腸がんや重度の潰瘍では腸の一部を切除する手術が行われることがあります。
6.よくある質問(Q&A)
Q1. 血便を見つけても、あまり気にしなくていい?
- 必ずしも深刻な病気ばかりではありませんが、安心するためにも早めに診察を受け、正確な診断を受けることが大切です。
Q2. 情報はどこで得るべき?
- 医療機関や信頼できる専門サイトが推奨されます。自己判断やSNS上の未検証情報には注意が必要です。
Q3. “痔が原因”と思い込んでも大丈夫?
A. 痔が原因の出血だけとは限りません。大腸がんなど重篤な病気の発見が遅れる恐れがあるので、医師の診断を受けましょう。
Q4. 血便を見たら、どんな情報を医師に伝えるべき?
A. 便の色(鮮赤色・暗赤色・黒色)、便の性状(緩い、硬い)、痛みの有無、出血量や排便回数などが診断の参考になります。
Q5. 血便の放置はなぜ危険?
A. 大腸がんや炎症が進行すると、重症化して命に関わるケースも。早期発見で治療の選択肢が広がります。
Q6. 高齢者での血便は?
A. 動脈硬化や大腸がん、虚血性大腸炎のリスクが高まるため、早期対応が重要です。便の異変が続く場合、すぐに受診することをおすすめします。
Q7. 血便とストレスの関係は?
A. ストレスが原因の腸内トラブル(腸運動の亢進や低下)が血便を引き起こす場合も。過敏性腸症候群(IBS)に注意が必要。
血便や下血は、痔などの軽症から大腸がんまで、原因は多岐にわたります。気になる症状が出たら、早期に医師の診断を受けるのが最善です。また、定期検査を怠らず、生活習慣の改善(食事・ストレスケア)を意識することで、重篤な病気を未然に防ぎ、健康な腸を保つことができます。
※血便の原因として腹痛が無ければ、肛門付近の出血か大腸憩室という凹みからの出血を疑います。しかしやはり悪性の病気は否定できませんので、緊急でなくても1-3か月以内には大腸カメラをお勧めしています。憩室出血はしばしば多量に出血しますので貧血のcheckは必要です。
なお腹痛を伴う場合は、早期の診断含めた対応が必要です。虚血性腸炎という病気が多いですが、イレウスや潰瘍性大腸炎の急激な悪化など急を要する場合もありますので速やかに医療機関へ受診してください。