健康診断で便潜血陽性が出たときに注意すべきポイント

便潜血とは、肉眼では確認できない微量な血液が便に混じっている状態を指し、この検査で「陽性」と診断される場合、消化管で出血が起きている可能性があります。便潜血検査は、便中の血液成分を検出することで、症状が現れる前に大腸がんやポリープ、さらには潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を早期に発見できる重要な検査方法です。

便潜血陽性の主な原因

• 大腸がん：腸内の腫瘍が血管を傷つけ、微量の出血を起こすことが多いです。
• 大腸ポリープ：良性であっても大きくなると出血することがあり、便潜血陽性の原因となります。
• 炎症性腸疾患：潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸の粘膜が炎症を起こすことで出血が見られます。
• 痔や裂肛：肛門周辺の病気でも便に血が付着する場合があります。
• 感染性腸炎：細菌やウイルスによる感染で腸が炎症を起こし、出血することがあります。
• 胃や十二指腸の潰瘍：上部消化管での出血が便潜血に影響する場合もあります。

便潜血陽性が出た場合の検査

大腸カメラ（下部内視鏡検査）

大腸カメラは腸内を直接観察して異常を確認する最優先の検査方法であり、必要に応じてポリープや腫瘍の切除や生検をその場で行うことが可能です。

CTや超音波検査

腸全体や他の臓器の状態を把握します。

血液検査

貧血や炎症の有無を確認し、慢性的な出血の影響を調べます。

女性・男性それぞれの注意点

女性の便潜血陽性時の注意点

痔や生理の影響で一時的に陽性反応が出ることがありますが、自己判断せず医師の診察を受けることが重要です。

男性の便潜血陽性時の注意点

大腸がんのリスクが生活習慣や加齢によって高まる傾向があるため、40歳以上の男性は定期的にスクリーニング検査を受けましょう。

健康維持のための生活習慣のポイント

バランスの良い食事

食物繊維を多く含む野菜や果物を積極的に取り入れ、脂肪や刺激物を控えましょう。

適度な運動

腸の蠕動運動を促進し、便通を整えます。

ストレス管理

ストレスが腸に悪影響を及ぼすため、リラクゼーションや趣味を取り入れて軽減を図りましょう。

定期検査

年齢や症状に応じて便潜血検査を習慣化し、異常があれば早期対応を心がけます。

便潜血陽性は、大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患の早期発見に欠かせないサインです。陽性反応が出た場合は、症状がなくても放置せず、速やかに大腸カメラなどの精密検査を受けましょう。また、日頃から食事や運動、ストレス管理を意識することで、健康な腸を保つことができます。定期的な検査を通じて、安心で健やかな毎日を送りましょう。
※便潜血反応は簡便に行えますが、陰性であっても必ず大腸がんが否定される訳ではありません。(検査時に出血がなければ陰性となります)　他のお腹の症状にも注意しましょう。
また時に、「昨年も陽性であったが放置していた」といわれる方が居られます。便潜血については、ほとんどの場合肛門付近の出血が原因とされていますが、中には大腸がんやポリープが隠れている場合があります。どんな検査か分からなくて不安という方も沢山おられると思いますが、一度ご相談のみでも検討ください。