- 2026年6月2日
境界型糖尿病(糖尿病予備軍)とは|診断・改善・予防のすべて

こんにちは。明石市のJR大久保駅北口すぐにある「たなか内科クリニック」です。
健康診断などで「血糖値が少し高めです」「糖尿病予備軍かもしれません」と指摘され、どうすればよいのか不安に感じている方は少なくありません。境界型糖尿病(糖尿病予備軍)は、早めに適切な対策をとることで、正常な状態に戻せる可能性が十分にある大切な時期です。今回は、境界型糖尿病の基準や、今日から始められる食事・運動での改善方法について詳しく解説します。
■境界型糖尿病の診断基準と見逃してはいけない理由
境界型糖尿病(糖尿病予備軍)とは、血糖値が正常範囲を超えているものの、糖尿病の診断基準にはまだ達していない状態を指します。日本糖尿病学会の基準では、空腹時血糖値110〜125mg/dL(正常型:110未満、糖尿病型:126以上)または75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値140〜199mg/dL(正常型:140未満、糖尿病型:200以上)を境界型と分類します。HbA1c(過去1〜2ヵ月の平均血糖を反映する指標)では5.6〜6.4%の範囲が境界域に相当します。
境界型を放置してはいけない最大の理由は、年率5〜10%の割合で2型糖尿病に進行するという事実です。さらに、境界型の段階ですでに動脈硬化の進行・網膜症・腎機能低下などの糖尿病合併症が始まっている場合があることも見逃せません。一方で、境界型は適切な生活習慣介入によって正常型に戻ることができる「可逆的な状態」でもあります。フィンランドの大規模試験(Diabetes Prevention Study)では生活習慣介入により糖尿病発症リスクを58%低下させたと報告されており、この段階での積極的な介入が将来の合併症予防に直結します。
■境界型糖尿病の食事管理

境界型糖尿病の食事管理の基本は、血糖値の急上昇(血糖スパイク)を防ぎながら、総カロリーを適切にコントロールすることです。食事の順番(食べる順番)を工夫するだけで食後血糖の上昇が20〜30%抑制できます。具体的には「野菜・海藻 → たんぱく質(肉・魚・豆腐など) → ご飯・パンなどの主食」の順で食べる「ベジタブルファースト」または「カーボラスト」を実践しましょう。食物繊維が先に胃に入ることで糖の吸収が緩やかになり、インスリンの分泌が穏やかになります。
糖質の量は1日150〜180g(1食あたりご飯150g相当)を目安とする緩やかな糖質制限が有効です。厳しすぎる糖質制限は筋肉量の低下・便秘・脂質過多を招くため、極端な制限は推奨されません。白米を玄米やもち麦に変える、うどんよりそばを選ぶ、食パンより全粒粉パンを選ぶなど、精製度の低い食品への置き換えがGI値(血糖上昇指数)を下げる効果的な方法です。また、間食には血糖値を急上昇させる菓子・ジュースを避け、ナッツ類・チーズ・ゆで卵・無糖ヨーグルトなど血糖に影響しにくいものを選ぶとよいでしょう。
■運動療法による血糖値の改善

運動は血糖値を下げる最も強力な非薬物療法です。筋肉はブドウ糖の最大の消費臓器であり、運動中はインスリンなしでも筋細胞がブドウ糖を取り込むGLUT4(グルコース輸送担体4)の活性が高まります。食後30〜60分後に10〜20分程度のウォーキングを行うだけで食後血糖の上昇が大幅に抑制されます。これを食後血糖スパイク対策として「食後に動く習慣」として日常に組み込むことが境界型糖尿病の改善に非常に有効です。
筋肉量を増やすスクワットなどのレジスタンス運動も重要です。大腿四頭筋・臀筋などの大きな筋肉を鍛えることで糖の貯蔵庫(グリコーゲン)の容量が増加し、食後の余剰血糖が蓄積されにくくなります。週2〜3回、10〜15回・3セットのスクワット・腿上げ・踵上げ(カーフレイズ)から始め、徐々に回数・セットを増やしていきましょう。有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせると、どちらか単独よりも血糖コントロール改善効果(HbA1c低下)が大きいことが複数の研究で示されています。
■定期検査と医療機関への相談の重要性

境界型糖尿病と診断された方は、少なくとも年1回の血液検査(空腹時血糖・HbA1c・脂質・腎機能)と体重・血圧の定期確認が必要です。「数値が少し悪いだけ」と油断して放置すると、気づかぬうちに糖尿病へ進行し、その後の治療が長期化・複雑化します。逆に早期から生活習慣改善に取り組んだ方は、HbA1cが1〜2年で正常範囲に戻るケースも多く見られます。
体重が標準体重を超えている方は、5〜10%の体重減少だけで血糖・血圧・脂質の全てが改善することが示されており、まず体重管理を最優先目標とすることが推奨されます。標準体重は「身長(m)²×22」で計算でき、例えば身長165cmの場合は1.65×1.65×22=59.9kgが目標です。
明石市大久保のたなか内科クリニックでは、内科外来で血糖値・HbA1cの定期フォローを行っており、境界型の段階から患者様お一人おひとりに合わせた栄養指導・生活習慣のアドバイスをご提供しています。健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘された方や、将来の健康にご不安がある方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。