- 2026年8月20日
夏の胃腸炎の原因・症状・対処法|感染性胃腸炎と食中毒の見分け方

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。
「夏になると毎年一度はお腹を壊す」「夏バテかと思ったら実は胃腸炎だった」そんな経験はありませんか?実は夏は、食中毒や感染性胃腸炎が特に起きやすい季節です。気温・湿度が高くなることで細菌が繁殖しやすくなり、冷たい飲食物のとりすぎや冷房による体の冷えも胃腸の働きを低下させます。今回は夏の胃腸炎の原因・症状・対処法について、また「感染性胃腸炎」と「食中毒」の見分け方についてわかりやすく解説します。
■夏の胃腸炎の主な原因

夏の胃腸炎は、大きく「細菌性」と「ウイルス性」に分けられます。
細菌性胃腸炎(食中毒)
細菌による胃腸炎は、気温・湿度が高い夏に特に多く発生します。原因となる代表的な細菌は以下の通りです。
- 腸炎ビブリオ:海産物の生食(刺身・寿司・貝類など)が主な感染源。夏の海水温上昇で急増する。
- サルモネラ菌:鶏肉・卵・ペットのカメや爬虫類が感染源になることが多い。調理不十分な卵料理や生肉が危険。
- カンピロバクター:鶏肉の生食(鶏刺し・レバ刺し)や加熱不十分な鶏肉料理が主な原因。少量の菌でも感染する。
- 黄色ブドウ球菌:おにぎり・弁当・調理パンなど、手で触れた食品に菌が付着して増殖。毒素を産生するため加熱しても防げない。
- 腸管出血性大腸菌(O157など):牛の生肉・野菜・井戸水などが感染源。少量でも重篤な症状を起こす可能性がある。
ウイルス性胃腸炎
- ノロウイルス:冬に多いイメージがありますが、夏でも散発的に発生します。感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染します。カキなどの二枚貝が原因になることが多いです。
- ロタウイルス:主に乳幼児に多い。春から初夏にかけて流行することがあります。
食中毒との関係
食中毒は「有害な微生物や毒素が含まれた食品を摂取することで起こる健康被害」の総称で、細菌性胃腸炎の多くは食中毒に含まれます。
重要ポイント
夏の胃腸炎は「ただのお腹の風邪」ではなく、病原体の種類によっては重篤な状態になる可能性があります。原因をきちんと把握して適切に対処することが大切です。
■症状:感染性胃腸炎と食中毒の違いは?

感染性胃腸炎と食中毒は、症状が似ているため混同されがちです。違いを理解しておきましょう。
潜伏期間の違い
| 原因 | 潜伏期間の目安 |
| 黄色ブドウ球菌(食中毒) | 1〜6時間(非常に短い) |
| 腸炎ビブリオ(食中毒) | 8〜24時間 |
| サルモネラ菌(食中毒) | 6〜48時間 |
| カンピロバクター(食中毒) | 2〜7日間 |
| ノロウイルス(感染性胃腸炎) | 24〜48時間 |
| ロタウイルス(感染性胃腸炎) | 1〜3日間 |
食中毒は食後数時間以内に症状が出ることが多く、原因食品の特定がしやすい傾向があります。一方、ウイルス性の感染性胃腸炎は潜伏期間がやや長く、特定の食品との関連が分かりにくいことがあります。
共通する主な症状
原因に関わらず、共通して現れることが多い症状は以下の通りです。
- 腹痛(特にへそ周辺のキリキリした痛み)
- 下痢(水様性・泥状など様々)
- 嘔吐・吐き気
- 発熱(37〜38℃台が多い)
■こんな症状は要注意!受診すべきサイン

以下のような症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。
緊急性が高い症状
- 血便・粘血便(便に血や粘液が混じる)
- 激しい腹痛が続く(波のように強くなる痛み)
- 高熱が続く(38.5℃以上の発熱が24時間以上続く)
- 意識がぼんやりする・呼びかけに反応が鈍い
- 尿が全く出ない・極端に少ない
脱水症状のサイン
- 口の中・唇が乾燥している
- 目がくぼんでいる
- 皮膚の弾力がなくなっている(皮膚をつまんでも戻りが遅い)
- ぐったりして動けない
- めまい・立ちくらみがある
重要ポイント
乳幼児・高齢者・妊娠中の方・持病(糖尿病・肝疾患など)がある方は、重症化しやすいため症状が軽くても早めの受診をおすすめします。
■自宅での対処法

症状が比較的軽い場合(高熱なし・血便なし・水分が摂れる状態)は、自宅での対処が可能です。
水分補給が最重要
下痢・嘔吐で失った水分と電解質を補うことが最優先です。経口補水液(OS-1など)が最も効果的です。一度にたくさん飲もうとすると嘔吐を誘発するため、少量ずつ(スプーン1杯から)こまめに補給しましょう。
消化の良い食事から再開
嘔吐が落ち着いたら、消化の良い食品から少しずつ再開します。おかゆ・うどん・バナナ・豆腐・すりおろしりんごなどが適しています。油っこい食事・乳製品・生野菜・香辛料の強い食品は症状が回復するまで控えましょう。
安易な下痢止めは危険
下痢は体が病原体を体外に排出しようとする防御反応です。細菌感染による下痢に市販の下痢止め(止瀉薬)を使うと、腸内の毒素や細菌の排出が妨げられ、症状が悪化する場合があります。特にO157などの腸管出血性大腸菌による感染では、下痢止めの使用により「溶血性尿毒症症候群(HUS)」という重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。下痢止めの使用は必ず医師に相談してから判断しましょう。
■予防のポイント

手洗いの徹底
食事前・調理前・トイレの後には、石けんを使って手を丁寧に洗いましょう。爪の間・指の間・手首も忘れずに。ノロウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、流水と石けんによる手洗いが基本です。
食材の適切な保存と加熱
- 魚介類・生肉は購入後すぐに冷蔵・冷凍保存
- 調理後の食品は2時間以内に食べる(特に夏場)
- 肉・魚は中心部まで十分に加熱(75℃以上1分間)
- 解凍は冷蔵庫内で行い、室温での解凍は避ける
調理器具の清潔管理
生の肉・魚を触ったまな板や包丁は、他の食材に使う前によく洗い、熱湯消毒または塩素系漂白剤で消毒しましょう。ふきんや食器用スポンジも定期的に交換・消毒することが大切です。
重要ポイント
家族の誰かが感染性胃腸炎になった場合、タオルや食器の共用を避け、トイレの後は念入りに手洗い・消毒を行いましょう。二次感染(家族への感染拡大)を防ぐことも大切です。
■さいごに

「胃腸炎かな?」「食中毒かもしれない」と思ったら、自己判断せずにご相談ください。たなか内科クリニックでは、症状の原因を丁寧に診察し、必要な場合は血液検査・便検査なども行っています。点滴による水分補給にも対応していますので、お体の具合が悪いときはどうぞお気軽にお電話ください。