- 2026年11月2日
のどが痛い、高熱が続く——溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)の症状・治療・重症化を防ぐために

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ、たなか内科クリニック院長の田中敏雄です。
「高熱とのどの激しい痛みで受診したら溶連菌だった」小児に多いイメージの溶連菌感染症ですが、大人でも感染します。また、適切に治療しないと心臓・腎臓に深刻な合併症を引き起こすことがあるため、放置は禁物です。
今回は、溶連菌感染症の症状・診断・治療と、なぜ最後まで薬を飲み切ることが重要なのかをお伝えします。
■ 溶連菌感染症とはどんな病気?

溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)は、A群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus)という細菌がのどに感染して引き起こす急性感染症です。明石市でも秋から冬にかけて患者数が増加し、2026年第37週には定点報告数1.71人を記録しています。
飛沫感染・接触感染で広がり、感染から2〜5日の潜伏期間を経て発症します。学校・保育園などの集団生活の場での感染が多く、5〜15歳の小児に多く見られますが、大人も感染します。
■ 溶連菌感染症の症状——風邪と何が違う?

溶連菌感染症と一般的な風邪(ウイルス性)を区別するポイントを整理します。
| 症状 | 溶連菌感染症 | ウイルス性の風邪 |
| のどの痛み | 非常に強い(飲み込みが困難なほど) | 軽〜中程度 |
| 発熱 | 38〜40度の高熱が急に出る | 段階的に上がることが多い |
| 鼻水・くしゃみ | 少ない〜ない | 多い |
| 咳 | 少ない〜ない | 多い |
| 首のリンパ節 | 腫れて触ると痛い | 腫れは少ない |
| 発疹 | 全身に小さな赤い発疹(猩紅熱)が出ることがある | 少ない |
溶連菌は「のどが痛いけど鼻水・咳が少ない」が特徴
のどの強い痛みと高熱がある一方で、鼻水や咳が少ない場合は溶連菌感染症を疑います。いちご舌(舌が赤くぶつぶつになる)や全身の赤い発疹(猩紅熱)が出た場合は、早めに受診してください。
■ 診断方法——迅速検査で10分以内にわかります

のどのぬぐい液を使った迅速抗原検査により、約10〜15分で溶連菌感染の有無を確認できます。発熱・のどの痛みで受診された際に、医師が必要と判断した場合に行います。
■ 治療——抗菌薬は最後まで飲み切ることが重要

溶連菌感染症の治療には、抗菌薬(主にペニシリン系・セフェム系)が有効です。通常5〜10日間服用します。
「熱が下がったから」「のどの痛みが楽になったから」と途中で服用をやめると、菌が完全に除菌されないまま残り、以下のリスクが生じます。
・再燃(再びぶり返す)のリスク
・リウマチ熱(心臓の弁を傷める合併症)のリスク
・急性糸球体腎炎(腎臓の炎症)のリスク
抗菌薬は処方された日数を必ず飲み切ってください

症状が改善しても、医師から処方された期間(通常5〜10日間)の抗菌薬を最後まで服用することが大切です。途中でやめると溶連菌が生き残り、合併症のリスクが高まります。
■ 登校・登園の目安

学校保健安全法では、溶連菌感染症(猩紅熱)の出席停止基準として「適切な抗菌薬による治療が始まってから24時間を経過し、症状が改善している場合」とされています。お子様が感染した際は、医師に確認のうえ登校・登園の判断をしてください。
■ 家庭内感染を防ぐために

・感染者が使用したコップ・食器は共用しない
・手洗い・うがいを徹底する
・タオルは個人ごとに使い分ける
・家族が症状を感じたら早めに受診する(特にのどの痛み・発熱のある方)
■ 「ただの風邪」と油断していませんか?大人が気をつけたい合併症の恐怖

「のどが少し痛いけれど、市販の風邪薬を飲んで温かくしていればそのうち治るだろう」「熱は出たけれどインフルエンザでもコロナでもないし、仕事もあるから何とか我慢しよう」――そんなふうに、のどの痛みや発熱を軽く見て自己判断でやり過ごしてしまうことはありませんか? 溶連菌感染症は子どもの病気だという先入観から、大人が感染したときほど発見や治療が遅れがちになります。
しかし、大人の溶連菌感染症を甘く見てはいけません。適切な抗菌薬による治療を行わずに放置したり、症状が軽くなったからといって途中で勝手に薬の服用をやめてしまったりすると、菌が体内に潜み続け、恐ろしい合併症を引き起こすリスクがあります。
その代表例が「リウマチ熱」や「急性糸球体腎炎」です。リウマチ熱は、感染から数週間後に高熱や関節痛、さらには心臓の弁に深刻なダメージを与える(心臓弁膜症)原因となります。また、腎臓に炎症が起きて血尿やむくみ、高血圧を引き起こす急性糸球体腎炎も、決して無視できない重大なトラブルです。
さらに、ご自身が「大人の軽い風邪だ」と思い込んでマスクもせずに家族や同僚と接しているうちに、家庭内や職場で次々と感染を広げてしまうのも大きな問題です。特に免疫力の低い小さなお子様やご高齢のご家族にうつしてしまった場合、思いがけない重症化を招く引き金になりかねません。
「ただの喉の痛み」と侮るのではなく、異常なほどの強い痛みや急な高熱を感じたときは、決して我慢せず、早期に医療機関で正確な診断を受けることが何よりもご自身と周囲の健康を守る鍵となります。
「市販薬を飲んでものどの痛みが一向に引かない」「唾液を飲み込むのもつらいほどの激痛がある」「急に高熱が出て体がだるい」とお困りのときは、どうか無理をなさらず、当院までお気軽にご相談ください。適切な検査と確実な治療によって、つらい症状を和らげ、恐ろしい合併症をしっかりと予防していきましょう。地域の皆様がいつでも安心して健やかな日常を送れるよう、たなか内科クリニックはしっかりとサポートいたします。