• 2026年7月3日

「空腹になるとみぞおちが痛い…」それは胃潰瘍ではなく【十二指腸潰瘍】かも?特徴的な症状と見分け方を解説

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。

「お腹がすいてくると、みぞおちのあたりがキリキリ、どんよりと痛む……。」
「何かを食べると少し楽になるけれど、時間が経つとまた痛くなってくる。」

そんな症状にお悩みではありませんか?
みぞおちの痛みというと「胃が荒れているのかな」「胃潰瘍かな」と思いがちですが、実はその「空腹時に痛む」という特徴は、胃ではなく「十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)」の典型的なサインかもしれません。

今回は、消化器内科の専門医が、十二指腸潰瘍の特徴的な症状や胃潰瘍との見分け方、放置してはいけない危険なサインについて分かりやすく解説します。

■十二指腸潰瘍とは?胃潰瘍との違い

十二指腸は、胃から送られてきた食べ物をさらに消化して小腸へ送る、最初の通り道です。この十二指腸の粘膜が、強い胃酸によって傷つけられ、組織が深く削れてしまった状態を「十二指腸潰瘍」と呼びます。

よく比較される胃潰瘍との最大の違いは、痛みが起こるタイミングです。

■痛むタイミングで見分けるチェックシート

□ 十二指腸潰瘍:空腹時(夜間や早朝)にみぞおちが痛む / 食事をとると痛みが和らぐ
□ 胃潰瘍:食事中や食後すぐにみぞおちが痛む / 食べ物が潰瘍を直接刺激するため 

十二指腸潰瘍の場合、お腹が空いているときは胃酸が直接潰瘍の傷口を刺激するため激しく痛みますが、食事を摂ると胃酸が食べ物と混ざって薄まるため、一時的に痛みが軽くなるという特徴があります。

そのため、「お腹が空くと痛いから、ついつい何か食べてしまう」という方も少なくありません。

■20代〜40代の若い世代に増えています

日本人には歴史的に胃潰瘍が多いと言われてきましたが、現代のストレス社会において、20代〜40代の比較的若い世代に十二指腸潰瘍が多く発症しています。

若年層に多い理由としては、働き盛りによる精神的・身体的なストレス、不規則な生活習慣などが挙げられます。ストレスが溜まると自律神経が乱れ、胃酸が過剰に分泌されてしまい、胃酸の攻撃に対する抵抗力が弱い十二指腸の粘膜を激しく攻撃してしまうのです。

「若いからただの胃炎だろう」と市販の胃薬で誤魔化していると、気づかないうちに病状が進行してしまうことがあるため注意が必要です。

■背中や右脇腹の痛みは別の病気のサインかも?

みぞおち周辺には、胃や十二指腸だけでなく、多くの重要な臓器が密集しています。痛みの広がり方によっては、別の消化器疾患が隠れている可能性もあります。

  • 背中に突き抜けるような激しい痛み:急性膵炎(すいえん)・慢性膵炎・膵臓がんなど
  • 右上腹部や右肩周辺の痛み:胆石症(たんせきしょう)・胆のう炎・胆管炎など

特に、脂っこい食事をした後に右腹や背中が激しく痛む場合は、胆のうや膵臓の病気が強く疑われます。「みぞおちが痛い=胃の不調」と自己判断せず、専門の医療機関で適切な検査を受けることが大切です。

■壁が薄いため「穿孔(穴があく)」のリスクが高い

十二指腸の壁は、胃の壁に比べて筋層が薄いという解剖学的な特徴があります。そのため、潰瘍が起きると粘膜を超えて一気に深く進行しやすい傾向があります。

治療をせずに放置していると、以下のような重篤な合併症を引き起こし、命に関わる状態に陥るリスクがあります。

1. 穿孔(せんこう:壁に穴が開く)

潰瘍が進行し、十二指腸の壁を突き破って完全に穴が開いてしまう状態です。実は、お腹の中で穿孔を起こす方の約70%が十二指腸潰瘍の患者さんだと言われています。穴が開くと胃液やお腹の内容物が周囲にあふれ出し、激しい腹痛と共に命の危険もある「腹膜炎」に繋がるため、緊急手術が必要な場合もあります。

2. 大出血と黒い便(タール便)

潰瘍によって近くの血管が傷つくと、大きな出血を起こします。胃酸と混ざった血液は黒く変色するため、まるで海苔の佃煮のような「黒い便(タール便)」が下血として現れます。大量に出血すると立ちくらみ、めまい、ふらつきを伴うこともあり、非常に危険です。輸血が必要となる場合もあります。

■原因を突き止めるには「胃カメラ検査」が必須です

空腹時の不快な痛みから解放され、大きな合併症を防ぐためには、何よりも早期発見が欠かせません。問診や触診だけでは潰瘍の正確な進行度や深さは判断できないため、内視鏡で直接状態を確認することが最も確実です。

当院では、患者様がリラックスして安心して検査を受けられるよう、以下の体制に力を入れています。

  • 苦痛の少ない内視鏡検査:ご希望に応じて鎮静剤を使用し、ウトウトと眠っているような状態で楽に胃カメラをお受けいただけます。
  • 同時の組織検査(生検):早期の胃がんの中には、肉眼で胃潰瘍のように見えるものもあります。当院では胃カメラの際、必要であれば組織を採取して良性か悪性かを顕微鏡でしっかり区別します。また、97%以上の感染率ともいわれるピロリ菌の検査も合わせて実施可能です。

「いつものことだから」と我慢したり、市販薬の一時的な効果だけで様子を見たりするのは一番危険です。

空腹時のみぞおちの痛みや、長引くお腹の違和感がある方は、明石市のJR大久保駅北口すぐの「たなか内科クリニック」までお気軽にご相談ください。

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