• 2026年11月2日

子どもだけじゃない!秋冬に増えるRSウイルス感染症——重症化リスクと大人が気をつけるべきこと

こんにちは。

明石市のJR大久保駅北口すぐ、たなか内科クリニック院長の田中敏雄です。

「RSウイルスって赤ちゃんの病気じゃないの?」と思っていませんか?RSウイルスは乳幼児に重篤な症状をもたらすことで知られていますが、大人も感染します。そして、感染した大人が知らずに乳幼児や高齢者にうつしてしまうケースが多いのです。

今回は、RSウイルス感染症の特徴・症状・秋冬の感染予防についてお伝えします。

■ RSウイルスとは

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、主に呼吸器に感染するウイルスです。毎年秋から冬にかけて流行が始まり、特に2歳以下の乳幼児と免疫力が低下した高齢者に重篤な症状を引き起こすことが知られています。

ウイルスへの免疫は感染後も長続きせず、生涯にわたって繰り返し感染します。2歳以下の子どもはほぼ全員が一度は感染するとされています。

  • ■ 乳幼児・大人・高齢者それぞれの症状
対象者主な症状重症化リスク
6カ月未満の乳児鼻づまり・咳・哺乳不良→細気管支炎・肺炎高い(入院が必要になることがある)
1〜2歳の幼児発熱・鼻水・咳・喘鳴(ゼイゼイ)細気管支炎が起こりやすい
学童・成人軽い風邪症状(鼻水・咳・発熱)で回復軽症が多いが感染源になりやすい
高齢者・基礎疾患あり発熱・咳・倦怠感・呼吸困難肺炎・慢性疾患の悪化リスクあり

■ RSウイルスの感染経路と感染しやすい場面

RSウイルスは主に以下の経路で広がります。

・飛沫感染:感染者の咳・くしゃみで飛び散った飛沫を吸い込む

・接触感染:ウイルスが付いた手・物・表面に触れ、その手で口・鼻・目を触る

ウイルスは手の表面で30分以上、硬い表面(ドアノブ・おもちゃなど)では数時間生存します。保育園・幼稚園・家庭内での集団感染が起きやすい理由のひとつです。

乳児のいるご家庭では大人の「軽い風邪」に注意

大人がRSウイルスに感染した場合、軽い風邪症状しか出ないことが多いため、気づかずに乳幼児に感染させてしまうケースがあります。自分が「軽い風邪かな」と感じている間も、乳幼児への感染リスクがある点を意識してください。

■ 乳幼児・高齢者の受診の目安

以下の症状があれば早めに受診してください

・乳幼児:哺乳量が著しく減った・呼吸が速い・胸がへこんでいる・顔色が悪い・ぐったりしている

・乳幼児:鼻づまりが強く眠れない・水分がとれない

・高齢者・基礎疾患がある方:発熱・咳が数日続く・息苦しさがある

大人のRSウイルスは抗ウイルス薬なし——対症療法が中心

現在、一般的な大人のRSウイルス感染症に対する特効薬はなく、解熱剤・鎮咳剤・水分補給など症状を和らげる対症療法が中心となります。高齢者・免疫が低下した方向けのRSウイルスワクチンが2024年から使用可能になっています。対象となる方はかかりつけ医にご相談ください。

■ 日常の感染予防

・手洗い:帰宅後・食事前・おむつ交換後などに石けんと流水で丁寧に洗いましょう。

・咳エチケット:咳・くしゃみはマスクや肘で覆い、飛沫の拡散を防ぎましょう。

・おもちゃ・共用品の消毒:乳幼児が口にする物はこまめに洗浄・消毒してください。

・体調が悪い時は乳幼児に近づかない:大人が少しでも体調不良を感じる場合は、授乳・抱っこ・キスなどの密接な接触を控えましょう。

・換気:室内の空気を定期的に入れ替えることで、ウイルスの濃度を下げることができます。

■ 知らないうちに広げる感染源に?大人が守るべき「優しさ」と「備え」

RSウイルスという名前を聞くと、「小さな赤ちゃんだがかかる特別な病気」という印象を抱きがちですが、実際には年齢を問わず何度も感染を繰り返す身近なウイルスです。ここで最も恐ろしいのは、大人にとっては「ただの鼻水」「少し喉がイライラする程度の軽い風邪」で済んでしまうがゆえに、自分がウイルスを運んでいることに気づかないまま、免疫力の弱い乳幼児や高齢者と接してしまうという現実です。

ご家庭に生まれたばかりの赤ちゃんや小さなお子様、あるいは持病をお持ちのご高齢のご家族がいらっしゃる場合、大人の「これくらい大丈夫だろう」という油断が、思いがけない重症化を引き起こす引き金になりかねません。細気管支炎や肺炎を起こして苦しむ赤ちゃんや、持病が悪化してしまうご家族を目の当たりにしたとき、「あのとき、少し体調が悪かったからマスクをしておけばよかった」「赤ちゃんに近づくのを控えておけばよかった」と後悔しても、時すでに遅いということもあります。

だからこそ、秋冬の流行シーズンにおいては、「自分は大人だから重症化しない」ではなく、「自分が周囲の感染源になってはいけない」という意識を持つことが何よりも重要です。帰宅時の丁寧な手洗いや、少しでものどに違和感があるときのマスク着用、そして何より体調不良を感じたときに赤ちゃんの近くへ行くことを控えるといった「ちょっとした気配り」が、家庭内や地域社会の命を守る大きな盾となります。

「たかが風邪だろう」と自己判断して無理を重ねたり、症状が長引いているのにそのまま放置したりすることは避けてください。「いつもと違う激しい咳が出る」「呼吸のときにゼイゼイと音がする」「高齢の家族の息苦しさが取れない」といった変化に気づいたときは、どうかご自身やご家族の健康を守るため、ためらわずに早めに医療機関へ足をお運びください。

皆様が秋冬の季節を安全に、そして健やかに乗り越えていけるよう、たなか内科クリニックはいつでも温かく皆様をお迎えいたします。お子様やご家族の体調にご心配な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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