- 2026年8月20日
帯状疱疹はうつる?家族への感染リスクと正しい予防法を内科医が解説

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ、たなか内科クリニック院長の田中敏雄です。
「夫(妻)が帯状疱疹になったけど、自分にもうつるの?」
「子どもや高齢の親と同居しているけど大丈夫かしら?」
帯状疱疹の患者さんのご家族から、こうした不安のお声をよくいただきます。見た目の症状が強く、痛みも激しい帯状疱疹は、傍から見るとたいへん心配な病気です。しかし「うつる・うつらない」の正確な知識を持っていれば、むやみに怖がる必要はありません。今回は帯状疱疹の感染経路と、ご家族を守るための正しい予防法をわかりやすく解説します。
■帯状疱疹とは?水痘ウイルスが原因の神経の病気

帯状疱疹の原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」です。このウイルスは子どもの頃に水ぼうそう(水痘)として感染した後、完全に体外へ排除されるわけではありません。回復後も脊髄の神経節(神経の細胞が集まっている場所)にひそかに潜伏し続けます。
多くの場合、免疫力が高いうちはウイルスは眠ったままです。しかし何十年もたって免疫が低下したとき、眠っていたウイルスが再び目を覚まし、神経を伝って皮膚へと現れます。これが帯状疱疹です。
免疫低下が引き金になる
帯状疱疹の再活性化を引き起こすおもな要因は次のとおりです。
- 加齢(50歳以上で発症リスクが急増)
- 過労・睡眠不足・強いストレス
- 糖尿病や膠原病などの慢性疾患
- がんの治療(抗がん剤・放射線)や免疫抑制剤の使用
- 新型コロナウイルス感染症罹患後
帯状疱疹は「自分の体内に潜伏していたウイルスが再活性化する病気」であり、外から新たに感染するものではありません。
■帯状疱疹は「うつる」のか?感染経路を正しく理解する

結論からお伝えします。帯状疱疹という病気そのものは、他の人にはうつりません。 帯状疱疹は、すでに体内に潜伏していたウイルスが再活性化することで起こります。外から帯状疱疹をもらって帯状疱疹になる、ということはないのです。
ただし「水ぼうそう(水痘)」としてうつる可能性がある

重要なポイントがあります。帯状疱疹の水ぶくれ(水疱)の中には、水痘・帯状疱疹ウイルスが含まれています。この水疱が破れて出てくる液体や、皮疹から放出されるウイルスが、水ぼうそうに一度もかかったことがない人や、ワクチン未接種の人に感染すると、「水ぼうそう」を発症させることがあります。
つまり、「帯状疱疹→帯状疱疹」という感染はしませんが、「帯状疱疹患者→水ぼうそう未経験者に水ぼうそう」という感染は起こりえます。
感染経路:接触感染と飛沫感染
感染経路は主に2つです。
- 接触感染:水疱・びらんに直接触れる(最も多い経路)
- 飛沫感染:ウイルスを含む微細な飛沫を吸い込む(水ぼうそうより感染力は低い)
皮疹がかさぶたになれば感染力はほぼなくなります。水疱が残っている時期は、患部を覆い、感染リスクのある方への接触を避けましょう。
■こんな人は特に注意!感染リスクが高いケース

帯状疱疹患者と同居・接触する場合、次のような方は特に注意が必要です。
水ぼうそうにかかったことがない人・ワクチン未接種の人
過去に水ぼうそうにかかったことがない方や、水痘ワクチンを接種していない方は、免疫がないため感染リスクがあります。特に小さなお子さんで接種歴がない場合は注意しましょう。
妊娠中の方
妊婦が水ぼうそうに感染すると、胎児に「先天性水痘症候群」を引き起こすことがあります。また、出産直前の感染は新生児に重篤な水ぼうそうを起こすリスクがあります。妊娠中の方は帯状疱疹患者の患部への接触を避けてください。
免疫が低下している方
がんの治療中、臓器移植後の方、ステロイドや免疫抑制剤を服用中の方、HIV感染者などは、感染した場合に重症化しやすいため十分な注意が必要です。
■正しい予防法:ワクチン接種が最も有効

帯状疱疹ワクチンの種類
帯状疱疹の予防・重症化防止には、ワクチン接種が最も確実な方法です。現在、日本で受けられるワクチンは主に2種類あります。
| ワクチン名 | 種類 | 有効率 | 接種回数 |
| シングリックス | 不活化ワクチン | 約90%以上 | 2回(2か月間隔) |
| 水痘ワクチン | 生ワクチン | 約50〜60% | 1回 |
シングリックスは有効率が高く、免疫が低下している方にも接種できる不活化ワクチンです。ただし自費診療となります。
明石市の帯状疱疹ワクチン助成制度
明石市では一定年齢の方を対象に帯状疱疹ワクチン接種費用の助成を行っています(詳細は市の最新情報をご確認ください)。当院でもご相談を承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
日常生活でできること

ワクチン以外にも、以下の対策が帯状疱疹の再活性化予防に役立ちます。
- 十分な睡眠と休息
- バランスのよい食事
- 過労・ストレスを避ける
- 定期的な運動で免疫力を維持する
■帯状疱疹の早期受診が重要な理由

帯状疱疹の治療では、発症から72時間以内に抗ウイルス薬(アシクロビルやバラシクロビルなど)の投与を開始することが極めて重要です。早期に治療を始めることで、皮疹の広がりを抑え、痛みの期間を短縮し、後遺症である帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクを大幅に下げることができます。
帯状疱疹後神経痛(PHN)を防ぐために
帯状疱疹の皮疹が治った後も、ピリピリとした痛みが数か月、あるいは数年にわたって残り続けることがあります。これが帯状疱疹後神経痛(PHN)です。高齢の方ほど発症しやすく、日常生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。このつらい後遺症を防ぐ最大の対策が、発症早期の適切な治療と事前のワクチン接種です。
「なんとなく体の片側がピリピリする」「赤い発疹が出てきた」と感じたら、迷わず速やかにご受診ください。帯状疱疹は初動が肝心です。
■まとめ

帯状疱疹は「うつる病気」ではありませんが、水ぼうそう未経験の方への感染や、ご自身の重症化・後遺症のリスクを理解した上で、適切に対処することが大切です。ワクチン接種のご相談、症状が出た際の診察、家族への感染対策など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
たなか内科クリニックでは、帯状疱疹の診察・治療・ワクチン接種相談を行っております。気になる症状がある方、ワクチン接種をご検討中の方は、お電話またはWeb予約にてお気軽にご来院ください。