- 2026年8月20日
大腸がんの症状と初期サイン|見逃しやすい便の変化・腹痛・血便を解説

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ、たなか内科クリニック院長の田中敏雄です。
「便に少し血が混じっていたけど、痔だと思ってそのままにしていた」
外来でこうした経緯を話してくださる患者さんは決して少なくありません。大腸がんは現在、日本人の罹患数(新たにがんと診断される人数)において男女合計で第1位のがんです。
それにもかかわらず、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、あっても痔や過敏性腸症候群(IBS)と見分けがつきにくいため、発見が遅れてしまうケースが多いのが現状です。
今回は大腸がんの初期サインから進行時の症状、リスク因子、そして早期発見のための検査について詳しく解説します。
■ 大腸がんの初期症状:便の変化を見逃さないで

大腸がんの初期症状は非常に地味で、「たいしたことない」と判断しやすいものが多いのが特徴です。以下の変化に心当たりがある方は注意してください。
便に血が混じる(血便・便に血まじり)
血便は大腸がんの代表的な症状ですが、「痔からの出血」と自己判断して放置してしまう方が非常に多くいらっしゃいます。実際、痔からの出血であることも多いのですが、大腸がんによる出血との見分けは外見だけでは困難です。
- 鮮やかな赤い血が付く:直腸や肛門に近い部位のがん、または痔の可能性
- 暗赤色の血が混じる:大腸の奥(盲行・昇結腸など)のがんの可能性
- タール状の黒い便:胃や十二指腸など上部消化管からの出血の可能性
血便は「ただの痔だろう」と決めつけず、一度は必ず大腸カメラで確認することが大切です。痔と大腸がんが同時に存在しているケースも珍しくありません。
便が細くなる
大腸の腸管内にがんができると、便の通り道が狭くなります。その結果、「最近、便が細くなった」「鉛筆のように細い便が続く」と気づくことがあります。特に直腸やS状結腸など、肛門に近い場所にがんができた場合、便形状の変化が現れやすいです。
下痢と便秘を繰り返す
「最近、便通が不安定で下痢と便秘を交互に繰り返す」という症状も大腸がんのサインになりえます。がんによって腸の動き(蠕動運動)や便の通過が阻害されるためです。「過敏性腸症候群かな」と思っていたら実は大腸がんだった、という事例もあります。症状が長く続く場合は検査を受けましょう。
■ 進行すると現れる症状

がんが進行すると、初期より明確な症状が出てきます。次のようなサインが現れたら早急にご受診ください。
腹痛・腹部膨満感
がんが大きくなると腸管を圧迫・閉塞し、腹痛や「お腹が張る」感覚が現れます。食後に腹痛が強くなる、常にお腹が張っている、といった状態が続く場合は注意が必要です。
貧血・体重減少
腸の内部での慢性的な出血が続くと、目に見える血便が出なくても、じわじわと鉄欠乏性貧血が進行します。「最近やたらと疲れやすい」「立ちくらみがする」「顔色が悪い」といった症状の背後に、大腸がんが隠れていることがあります。また、食欲低下や栄養吸収の障害により、意図しない体重減少が起こることもあります。
腸閉塞(イレウス)
がんが腸管をほぼ塞ぐほどに大きくなると、腸閉塞を引き起こします。腸閉塞は激しい腹痛・嘔吐・排便や排ガスの停止を伴う緊急状態です。この段階ではがんがかなり進行していることが多く、緊急手術が必要になる場合もあります。
■ 大腸がんのリスク因子
食生活の問題

- 赤肉(牛肉・豚肉・羊肉など)の過剰摂取:大腸がんリスクを高めることが報告されています
- 加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコンなど):WHO(世界保健機関)がグループ1の発がん物質と分類しています
- 脂質の過剰摂取:腸内環境を悪化させ、発がんを促進します
- 食物繊維の不足:便通が悪くなり、発がん物質が腸内に長時間留まりやすくなります
生活習慣のリスク

- 運動不足・肥満:腸の蠕動運動が低下し、腸内環境が悪化します
- 飲酒:アルコールの代謝物(アセトアルデヒド)が腸粘膜を傷つけます
- 喫煙:大腸がんリスクを約1.2〜1.5倍高めるとされています
既往歴・家族歴

- 大腸ポリープの既往:ポリープ(腺腫)は放置するとがん化することがあります
- 大腸がんの家族歴:一親等(親・兄弟姉妹・子ども)に大腸がん患者がいる場合、リスクが高まります
- 炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎やクローン病の長期罹患者は大腸がんのリスクが上昇します
40歳を超えたら、症状がなくても定期的な大腸カメラ検査を受けましょう。家族歴がある方は30〜35歳からの検査も推奨されます。
■ 大腸カメラが最も確実な検査

便潜血検査だけでは見逃しも
市区町村の健診で行われる「便潜血検査」(2日間の便を採取する検査)は手軽ですが、早期がんやポリープでは出血しないことも多く、一定割合の見逃し(偽陰性)があります。
また、便潜血検査で「要精密検査(陽性)」と出たにもかかわらず、放置してしまう方が多いことも大きな問題です。便潜血が陽性と出たら、放置せず必ず大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けてください。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の重要性
大腸カメラは肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の粘膜を直接観察する検査です。ポリープや早期がんを確実に発見できるだけでなく、がん化する前のポリープをその場で切除(日帰りポリープ切除)することも可能です。
- 早期大腸がん(ステージ0〜I)の5年生存率:約90%〜95%以上
- 進行大腸がん(ステージIV)の5年生存率:約18%〜20%前後
※国立がん研究センター等の最新統計データに基づく目安です。
この数字が示すとおり、いかに「早期のうちに発見・処置できるか」が予後を大きく左右します。
当院の大腸カメラ検査について
当院では、鎮静剤(お薬で眠っているような状態)を使用した、苦痛の少ない大腸カメラ検査を行っております。「以前の検査がつらかった」「痛みが怖くて踏み出せない」という方も、リラックスした状態で検査を受けることができます。
また、事前にお飲みいただく下剤(腸管洗浄液)についても、飲みやすさや患者さんの体調に合わせて最適なものを選択できるよう配慮しております。検査当日の結果説明も丁寧に行っておりますので、初めての方もどうぞご安心ください。
■ まとめ

「血便くらい、よくあること」「便秘気味なだけ」と思って見逃してきた症状が、実は大腸がんのサインだったということは少なくありません。大腸がんは早期に発見・治療すれば、決して怖くない・完治を目指せる病気です。