- 2026年8月20日
S状結腸がんの症状・原因・早期発見のポイント|大腸がんの中で最も多い部位

こんにちは。
明石市のJR大久保駅北口すぐ「たなか内科クリニック」院長の田中敏雄です。
「最近、便に血が混じることがある」「便が以前より細くなった気がする」「お腹の調子がなんとなく優れない日が続いている」…そのような症状でお困りではありませんか?
こうした症状は、加齢や食生活の変化によるものと見過ごされがちです。しかし、実はS状結腸がんのサインである可能性があります。大腸がんは日本人のがん罹患数の上位に位置する身近ながんです。早期に発見すれば治癒率の高いがんでもあります。今日は、大腸がんの中でも特に発生頻度の高い「S状結腸がん」について、わかりやすく解説します。
■S状結腸とはどこにある?

大腸の構造とS状結腸の位置
大腸は全長約1.5〜2メートルの消化管で、小腸から続く「盲腸」から始まり、上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸・肛門へとつながっています。
S状結腸は、下行結腸から直腸につながる部分で、アルファベットの「S」の字のように曲がりくねった形をしていることからその名がつきました。位置としては左下腹部から骨盤内にかけて存在しています。
■大腸がんの中でも特に発生しやすい部位

大腸がんの約60%は、S状結腸と直腸に発生します。
日本人の大腸がんのデータを見ると、がんが発生しやすい部位のトップはS状結腸と直腸です。両者を合わせると全大腸がんのおよそ60%を占めます。つまり、大腸がんの疑いがある場合、まずS状結腸と直腸を重点的に調べることが非常に重要です。
なぜS状結腸にがんが多いのかというと、便がS状結腸を通過するときに水分が吸収されて固まっており、腸の壁への刺激が強くなるためと考えられています。また、S字状の曲がりくねった構造が便を停滞させやすいことも一因とされています。
■S状結腸がんの症状

血便(鮮血が多い)
S状結腸は肛門に比較的近い部位にあるため、がんから出血した血液が便とともに排出されるまでの時間が短く、鮮やかな赤い血(鮮血)が便に混じったり、拭いたティッシュに血がついたりすることがあります。
「痔からの出血だろう」と自己判断して放置してしまうケースが多いのですが、血便は決して軽視すべき症状ではありません。痔と大腸がんは自分では区別できないため、血便があればかならず医療機関を受診することをお勧めします。
便が細くなる・残便感
がんが腸の内腔を狭くしてくると、便が通過する際に細くなります。「最近、便が細くなった」「何度もトイレに行きたくなるが、あまり出ない」という残便感も、S状結腸がんの典型的な症状です。
下痢・便秘の繰り返し
腸の通過障害が起こると、便秘と下痢が交互に繰り返されることがあります。特に以前は便通が規則的だったのに、最近になって便通のパターンが大きく変わったと感じる場合は注意が必要です。
腹痛・腹部膨満感
がんが大きくなり腸が狭くなってくると、便やガスが通りにくくなり、腹部の張り(腹部膨満感)や腹痛が生じます。さらに進行すると腸閉塞を起こすこともあります。
■早期S状結腸がんは無症状

早期のS状結腸がんは、ほぼ症状がありません。
上記に挙げた症状は、がんがある程度進行してから現れることが多いです。早期段階では粘膜の表面にとどまっており、出血も微量で自覚症状はほとんどありません。
「症状がないから大丈夫」という考えは非常に危険です。だからこそ、症状が出る前に定期的な検診を受けることが、命を守るうえで最も重要です。早期に発見されたS状結腸がんは、内視鏡的切除(カメラによる手術)だけで治癒できるケースも多くあります。
■S状結腸がんのリスクを高める要因

食生活・生活習慣によるリスク
•動物性脂肪・赤肉の過剰摂取:牛肉・豚肉などの赤肉や加工肉(ソーセージ・ハム)の食べすぎは大腸がんリスクを高めます
•食物繊維の不足:野菜・きのこ・海藻などの摂取不足は腸内環境を悪化させます
•運動不足・肥満:身体活動量が少ない方、BMI高値の方はリスクが上昇します
•飲酒:アルコールの過剰摂取はリスク因子です
•喫煙:喫煙は大腸がんを含む多くのがんのリスクを高めます
大腸ポリープ・遺伝的素因
大腸ポリープ(腺腫)はがんの前段階となりうる病変です。ポリープを早期に切除することでがんへの進行を予防できます。また、家族に大腸がんの方がいる場合は遺伝的リスクが高まるため、より積極的な検診が推奨されます。
■発見に最も有効な検査:大腸カメラ

便潜血検査の限界
市区町村の検診や職場の健康診断で行われる「便潜血検査(2日法)」は、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査です。S状結腸がんの一次スクリーニングとして有用ですが、早期がんでは出血がなく陰性になることもあります。便潜血検査が陰性だからといって、大腸がんがないとは言い切れないのです。
大腸カメラ(下部内視鏡検査)で直接確認

大腸がんを確実に診断できるのは、大腸カメラ(下部内視鏡検査)です。大腸カメラは、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内側を直接観察する検査です。S状結腸はもちろん、大腸全体をくまなく確認できます。がんの疑いがある病変があれば、その場で組織を採取して病理検査(がん細胞かどうかの診断)を行うこともできます。さらに、前がん病変であるポリープを発見した場合は、多くのケースでその場で切除することが可能です。
当院の大腸カメラについて

当院では、患者さまの苦痛を最小限にするために鎮静剤(静脈麻酔)を使用した大腸カメラを実施しています。うとうとした状態で検査を受けることができるため、「カメラは怖い」「以前に痛い思いをした」という方にも安心して受けていただけます。
大腸がんの早期発見のために、40歳を過ぎたら定期的な大腸カメラ検査を受けられることをお勧めします。特に以下に当てはまる方は、早めにご相談ください。
•血便・便が細い・残便感などの症状がある
•便潜血検査で陽性と指摘された
•家族に大腸がんの方がいる
•過去に大腸ポリープを指摘されたことがある
■さいごに

「血便があるけど、痔だろうから大丈夫」と放置せず、まずはご相談ください。大腸がんは早期発見・早期治療が何よりも大切です。当院では大腸カメラを含む消化器内科診療を行っております。どうぞお気軽にお越しください。