尿素呼気検査とは

尿素呼気検査は、胃内にピロリ菌が存在するかを非侵襲的に確認するための検査です。ピロリ菌は、胃の粘膜に生息し、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因となることが知られています。尿素呼気検査では、尿素を含む薬を服用後、息を吹き込むだけで検査が完了し、短時間で結果が得られるため、患者様の負担が少ないことが特徴です。痛みもないため、幅広い年齢層の方にご利用いただけます。
尿素呼気検査の流れ
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事前準備
検査の正確性を保つために、検査前は厳密な飲食制限が必要です。検査当日は空腹状態で来院いただきます。検査前日の21時以降は飲水のみ可となります。
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検査の実施
検査では、尿素を含む薬剤を服用していただき、その後に特定のタイミングで息を吹き込んでいただきます。ピロリ菌が存在する場合、薬剤がピロリ菌によって分解され、呼気中に二酸化炭素が増加します。この二酸化炭素の量を分析することで、ピロリ菌の有無を確認できます。合計20-30分程度要します。
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結果の説明
検査結果は通常、数日以内に判明します。結果が陽性の場合はピロリ菌の除菌治療を検討する必要があります。
ピロリ菌の検査
ピロリ菌検査には、尿素呼気検査以外にも、血液検査(ピロリ菌抗体の有無を調べる)や便検査(ピロリ菌の抗原を調べる)などの方法があります。中でも尿素呼気検査は正確性が高く、胃内のピロリ菌感染を迅速に確認できるため、特にピロリ菌除菌後の判定を診断する際の第一選択となります。また、検査は短時間で終わるため、忙しい方にも負担が少なく、安心して受けていただける検査です。
ピロリ菌の除去
ピロリ菌が確認された場合には、胃がんや胃潰瘍のリスクを減らすため、除菌治療が推奨されます。除菌治療前に胃カメラを受ける必要があります。
除菌治療の内容
除菌治療は、通常2種類の抗生物質と1種類の胃酸抑制薬を1週間服用する治療法です。抗生物質によってピロリ菌を殺菌し、胃酸抑制薬により胃内の環境を整えることで、菌が増殖しにくい状態を作ります。治療は7日間続けますが、服薬は決まった時間にしっかりと続けることが大切です。
除菌治療の効果と副作用
除菌治療により、70~80%の確率でピロリ菌の除去が成功します。しかし、一部の方では、抗生物質による軽い下痢や腹痛などの副作用が出る場合があります。副作用が強く出た場合は、無理をせず、医師やスタッフにご相談ください。
除菌後のフォローアップ
除菌治療が完了した後は、1-2か月後に尿素呼気検査を行い、ピロリ菌が完全に除去されたかを確認します。万が一除菌が成功しなかった場合は、別の抗生物質を使用した二次治療を行うこともあります。除菌が完了すると、胃がんや胃潰瘍のリスクが低下し、健康を長く維持するための重要な予防策となります。
除菌治療後も定期的な検査を推奨しています。