風が当たるだけで痛い「痛風」と、原因となる「高尿酸血症」

「ある日突然、足の親指の付け根が激しく痛み出した」
「健康診断で尿酸値が高いと指摘されたが、痛くないので放置している」

このような経験はありませんか?痛風は、その名の通り「風が当たるだけでも痛い」と表現されるほどの激痛が発作的に起こる病気です。患者様の多くは30代から50代の男性です。女性は女性ホルモンの働きで尿酸が排泄されやすいため、更年期以前に発症することはめったにありません。

痛風発作の激しい痛みは数日間続き、次第に治まってきます。しかし、痛みが引いたからといって治ったわけではありません。根本的な原因である「高尿酸血症」を治療せずに放置すると、発作を繰り返すだけでなく、全身の臓器に深刻なダメージを与えてしまいます。

高尿酸血症とは?痛風発作が起こるメカニズム

高尿酸血症とは、血液中の「尿酸」という物質が増えすぎている状態のことです。

尿酸とは?

尿酸は、食べ物に含まれる「プリン体」や、体内での新陳代謝・エネルギー代謝によって古い細胞が分解される際に発生する老廃物です。通常、体内で作られた尿酸は、尿や便として体外へ排泄され、一定の量に保たれています。しかし、プリン体の摂りすぎや排泄機能の低下などにより、作られる量と排泄される量のバランスが崩れると、血液中の尿酸濃度が高くなってしまいます。

痛風発作(急性の関節炎)について

血液中の尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が血液に溶けきれなくなり、鋭い針状の「結晶」となって関節に沈着します。特に体温が低く体重がかかりやすい「足の親指の付け根」に溜まりやすい特徴があります。
この尿酸の結晶が関節からはがれ落ちたとき、それを異物とみなした白血球が攻撃することで激しい炎症が起こります。これが痛風発作のメカニズムです。

あなたの尿酸値は大丈夫?治療の目安「6-7-8のルール」

血液検査で尿酸値が「7.0 mg/dL」を超えると、自覚症状がなくても「高尿酸血症」と診断されます。治療が必要かどうかの目安として、医療機関では「6-7-8のルール」を用いています。

放置は厳禁!痛風以外の恐ろしい合併症

高尿酸血症の本当の恐ろしさは、痛風発作だけではありません。尿酸の結晶は関節だけでなく、全身の至る所に沈着し、以下のような重大な病気を引き起こします。

1. 腎臓へのダメージ(痛風腎・慢性腎臓病)

尿酸の結晶が腎臓に溜まると、腎臓の機能が徐々に低下する「痛風腎」を引き起こします。悪化すると慢性腎臓病(CKD)となり、最終的には人工透析が必要になることもあります。

2. 尿路結石

尿酸が尿の通り道(腎臓や尿管など)で結晶化して石になり、背中や下腹部に激しい痛みを引き起こします。

3. 動脈硬化の進行(心筋梗塞・脳梗塞)

高尿酸血症の患者様は、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病といったメタボリックシンドローム(生活習慣病)を合併している割合が非常に高いことが分かっています。これらが重なることで血管の老化(動脈硬化)が急速に進み、命に関わる心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。

痛風・高尿酸血症の主な原因と生活習慣の改善

高尿酸血症の治療の基本は、食生活をはじめとする生活習慣の改善です。以下のポイントに気をつけましょう。

1. 肥満の解消・カロリーのコントロール

高尿酸血症の患者様の多くは太り気味であり、適正体重に向けて減量するだけで尿酸値が下がることが多いです。バランスの良い食事と腹八分目を心がけましょう。

2. プリン体の摂りすぎに注意する

プリン体の摂取量は「1日400mg」を目安に抑えましょう。

  • 極めて多い食品:鶏レバー、白子、マイワシ干物、あんこうの肝など
  • 多い食品:豚・牛レバー、カツオ、エビなど

※干し椎茸やかつお節などの乾物にも多く含まれます。

3. アルコールの飲みすぎに注意する

ビールにプリン体が多く含まれていることは有名ですが、実は「アルコールそのもの」に尿酸の生成を促し、排泄を邪魔する働きがあります。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒であっても飲みすぎは厳禁です。週に2日は休肝日を作り、1日の適量(ビールなら500ml、日本酒なら1合まで)を守りましょう。

4. 水分をしっかり摂る

尿酸を尿として体外に排出するため、1日に2リットル以上の水分を摂るように心がけてください。ただし、砂糖を多く含むジュースや清涼飲料水は、果糖の影響で逆に尿酸値を上げてしまうため、水や麦茶・お茶を選びましょう。

5. 激しい無酸素運動を避ける

肥満解消のために運動は大切ですが、短距離走や筋トレなどの「息を止めて行う激しい無酸素運動」は、体内で急激にエネルギーが消費される過程で尿酸を増やしてしまいます。ウォーキングや軽い水泳などの「有酸素運動」をマイペースに続けることが効果的です。

たなか内科クリニックの痛風・高尿酸血症治療

当院では、患者様の状態や「痛風発作が起きているか・起きていないか」によって、お薬を使い分けて治療を行います。

痛風発作が起きている時の治療(発作時)

発作の予兆がある場合や、激しい痛みがある期間は、炎症と痛みを抑えることを最優先にします。

  • コルヒチン:発作の予兆を感じた時に服用し、白血球の暴走を抑えて発作を防ぎます。
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):発作のピーク時に短期間服用し、激しい炎症と痛みを鎮めます。

※注意:痛風発作の最中に「尿酸値を下げる薬」を新たに飲み始めると、関節に溜まった尿酸が溶け出して急激に濃度が変化し、かえって痛みが激化・長期化してしまいます。発作時は痛み止めのみを使用します。

尿酸値を下げる治療(寛解期・慢性期)

痛風の痛みが完全に治まったら、根本原因である尿酸値を下げる治療を開始します。患者様のタイプ(尿酸を作りすぎるタイプか、排泄が苦手なタイプか)に合わせて適切なお薬を処方します。

  • 尿酸排泄促進薬:腎臓に働きかけ、尿酸を尿と一緒に外へ出しやすくします。
  • 尿アルカリ化薬:尿を酸性からアルカリ性に傾け、尿路結石を予防します。
  • 尿酸生成抑制薬:体内で尿酸が作られるのを抑えます。

お薬は少量から始め、数ヶ月かけてゆっくりと目標値(6.0 mg/dL以下)まで下げていきます。

痛風・高尿酸血症に関するよくあるご質問(Q&A)

痛風の痛みがおさまったら、通院をやめてもいいですか?
痛みがおさまったのは発作が過ぎ去っただけで、体内の尿酸値が高い状態は変わっていません。放置すれば必ず発作は再発し、腎臓などの臓器にもダメージが蓄積します。痛みがなくなってからが「高尿酸血症の本当の治療」のスタートです。自己判断で通院やお薬をやめないでください。
プリン体ゼロのビールなら、いくら飲んでも大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。アルコールが体内で分解される際に尿酸が作られ、同時に尿酸の排泄も妨げられてしまいます。プリン体の有無に関わらず、アルコール自体の摂取量を控えることが重要です。

健診で尿酸値が高いと言われたら、お早めにご相談ください

「痛くないからまだ大丈夫」という油断が、将来の激痛や腎臓病、動脈硬化を招きます。健康診断で尿酸値の高さを指摘された方や、足の指に違和感がある方は、明石市・JR大久保駅北口すぐのたなか内科クリニックへお早めにご相談ください。患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた無理のない治療をサポートいたします。